著者
渡邊 忍 山田 麻紗子 小平 英志 橋本 和明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.25-38, 2017-09-30

本研究の目的は,児童虐待における虐待者の特徴と児童相談所職員の対応の困難さとの関連を明らかにすることであった.2012 年度にA 市児童相談所が受理・対応したリスクアセスメントレベルが3 もしくは4 の314 件を調査対象とし,各ケースにかかわりのあった職員45 名に調査票への回答を依頼した.虐待者の特徴を示す39 の項目のカテゴリカル主成分分析の結果,イライラやストレスから子どもに行き過ぎたしつけを行う「過度のしつけ」,育児の放棄や家族の生活の不成立を示す「生活能力の乏しさ」,問題を自覚しつつも精神的な安定が得られずに子どもと関われない「感情不安定」の3 つの成分が抽出された.児童相談所職員の感じる困難さとの関連では,行為は認めるが虐待を否認するケース,感情的で話ができないケースで虐待者の「過度のしつけ」が高く,虐待を認めたり消極的に否定するケース,穏やかで関係が形成しやすいケースで虐待者の「感情不安定」が高くなっていた.また,全面的な解決に至らず長期化するケースにおいて「過度のしつけ」と「生活能力の乏しさ」の両方が高かった.これらの結果をふまえ,ソーシャルワークの観点から効果的な支援について議論がなされた.
著者
小平 英志
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.165-174, 2002-04-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1 2

本研究の目的は, (1) どの程度の被調査者が理想自己と義務自己の2種類の自己指針を区別しているのかを確認すること, (2) 現実-理想不一致と現実-義務不一致がそれぞれ自己肯定感, 自己否定感と強い関連があるという自己不一致理論 (SDT) の想定を, 優越感・有能感自己嫌悪感を指標に検証すること, (3) 現実-理想不一致, 現実-義務不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連における相対的重要性の影響を検討することであった。女子大学生219名を対象に, 自己不一致測定尺度, 優越感・有能感尺度, 自己嫌悪感尺度, 及び自己指針に関する質問票が実施された。その結果, 理想自己と義務自己を異なる状態であるとした被調査者は4割ほどであり, 同じ状態であるとする被調査者が3割以上確認された。自己不一致と優越感・有能感自己嫌悪感との関連では, 現実-理想不一致は優越感・有能感, 自己嫌悪感の両方と, 現実-義務不一致は自己嫌悪感とのみ関連が有意であった。続いて, 相対的重要性から理想自己重視群, 義務自己重視群, 両自己重視群の3群に分割し, 偏相関係数を算出した。その結果, 理想自己を重視する群では, SDTの想定通り, 現実-理想不一致と優越感・有能感, 現実-義務不一致と自己嫌悪感との問のみに有意な関連が見られた。義務自己を重視するとした被調査者は全体の15%未満であり, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。両方の自己を重視している群では, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。本研究の結果から, 少なくとも理想自己を重要であるととらえる被調査者においては, 自己不一致と感情との弁別的関連がより明確になる可能性が示唆された。
著者
速水 敏彦 小平 英志
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.171-180, 2006-01-31
被引用文献数
1 6

これまで,他者軽視に基づく仮想的有能感に関して,感情経験との関連を中心とした検討が行われてきた(速水ほか,2003).本研究では,低い自尊感情を補償しようと,他者軽視を行う典型的なタイプを抽出するために有能感の類型論的アプローチを用い,学習観と学習に対する動機づけとの関連を検討した.高校生395名に対して他者軽視,自尊感情,学習観(学習量,環境,方略志向),および自己決定理論に基づく動機づけ(外的,取り入れ的,同一化的,内発的動機づけ)の尺度が実施された.相関関係からは,他者軽視に基づく仮想的有能感は学習量志向と負の関連にあることが示された.また各類型の特徴を整理した結果,仮想型では,自尊型と比べて,外的動機づけおよび取り入れ的動機づけが高く,同一化的動機づけと内発的動機づけが低い傾向にあった.萎縮型では,いずれの動機づけも低い傾向にあった.
著者
末盛 慶 小平 英志 鈴木 佳代
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.39-52, 2017-09-30

近年,ワーク・ライフ・バランスに関する研究が蓄積されている.しかし,その多くは共働き世帯など夫婦世帯を対象とした研究が多い.しかし,ワーク・ライフ・バランスの実現がより困難であることが推測されるのはひとり親家庭である.ひとり親家庭の場合,理論的に1 人で家庭役割や職業役割等を遂行していく必要があるからである. 以上の問題意識から,本稿では,シングルマザーの家庭領域から仕事領域に対するワーク・ファミリー・コンフリクト(FWC)の規定要因を分析した.分析対象は,名古屋市区部に在住し,年齢の記入があり,就業しているひとり親の母親113 名である. 分析の結果,時間のFWC に関しては,仕事過重と貧困状態が有意な関連を示した.ストレインのFWC に関しては,仕事過重,上司のサポート,および貧困状態が有意な関連を示した.行動価値のFWC に関しては,学校関与と上司のサポートが有意な関連,貧困状態は有意傾向で関連を示した.以上の結果から,仕事の過剰や上司のサポートといった要因に加え,貧困状態がシングルマザーのワーク・ファミリー・コンフリクトを高めることが示された.
著者
山田 麻紗子 渡邊 忍 小平 英志 橋本 和明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.133-151, 2017-09-30

筆者たちは児童虐待への効果的支援のあり方を探るため,2015 年の児童虐待対応の先進国であるアメリカ(ニューヨーク市,バージニア州)視察に続いて,2016 年に韓国(ソウル市)の関係機関10 ケ所を,次の2 つの知見を得るために視察した.それらは,①韓国の児童虐待に関わる各関係機関の役割・機能,②各関係機関の連携・協働の実際についてである.その結果,過去10 年間における韓国の児童虐待等に関する取り組みには格段の進歩があり,日本にとって学ぶ点が複数みられた.政府,司法,地方自治体,民間機関が縦横に連携・協働している点やひまわり児童センターの総合支援システムには,目を見張るものがある.本稿では,韓国ソウル市における児童虐待,児童福祉の現状と課題などを紹介したい.
著者
小平 英志 小塩 真司 速水 敏彦
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.217-227, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
22
被引用文献数
11 6

本研究の目的は,対人関係で経験される抑鬱感情と敵意感情に焦点を当て,仮想的有能感と日常の感情経験との関連を検討することであった。調査1では,仮想的有能感尺度および自尊感情尺度が実施された。続く調査2では,大学生445名(男性238名,女性207名)を対象に,1日のうち印象に残っている対人関係上の出来事とそれに対する抑鬱感情・敵意感情を7日間に渡って記入するように求めた。その結果,他者軽視傾向が強く自尊感情の低い『仮想型』が,抑鬱感情,敵意感情の両方を強く感じていること示された。また,7日間の評定値の変動に関しても,他者軽視傾向が弱く自尊感情の高い『自尊型』と比較して大きいことが示された。本研究の結果から『仮想型』に分類される個人は,特に対人関係に関わる出来事に関して,日常から不安定で強い抑鬱感情,敵意感情を経験していることが示された。
著者
安藤 史高 布施 光代 小平 英志
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.160-170, 2008-06-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,児童の積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について,自己決定理論の枠組みを用いて検討することであった。小学校3年生から6年生までの1064名を2群に分け,国語または算数いずれかの積極的授業参加行動と動機づけに関する調査を実施した。分析の結果,「注視・傾聴」「挙手・発言」「準備・宿題」の3つの積極的授業参加行動がどちらの教科でも確認され,その尺度得点についても教科差は見られず,積極的授業参加行動は両教科において共通してみられるものであることが示された。積極的授業参加行動に対する動機づけの影響について構造方程式モデリングによる検討を行ったところ,内発的動機づけは全ての積極的授業参加行動を促進しているが,低自律的外発的動機づけは積極的授業参加行動を抑制することが明らかとなった。また,高自律的外発的動機づけは「挙手・発言」と関連しておらず,子どもの授業に対する意欲・動機づけを判断するためには,多様な行動を考慮する必要があると言える。さらに,学年差についても検討を行ったが,学年が上がることに伴う何らかの方向性を持った変化は確認されなかった。
著者
小平 英志
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.165-174, 2002
被引用文献数
2

本研究の目的は, (1) どの程度の被調査者が理想自己と義務自己の2種類の自己指針を区別しているのかを確認すること, (2) 現実-理想不一致と現実-義務不一致がそれぞれ自己肯定感, 自己否定感と強い関連があるという自己不一致理論 (SDT) の想定を, 優越感・有能感自己嫌悪感を指標に検証すること, (3) 現実-理想不一致, 現実-義務不一致と優越感・有能感, 自己嫌悪感との関連における相対的重要性の影響を検討することであった。女子大学生219名を対象に, 自己不一致測定尺度, 優越感・有能感尺度, 自己嫌悪感尺度, 及び自己指針に関する質問票が実施された。その結果, 理想自己と義務自己を異なる状態であるとした被調査者は4割ほどであり, 同じ状態であるとする被調査者が3割以上確認された。自己不一致と優越感・有能感自己嫌悪感との関連では, 現実-理想不一致は優越感・有能感, 自己嫌悪感の両方と, 現実-義務不一致は自己嫌悪感とのみ関連が有意であった。続いて, 相対的重要性から理想自己重視群, 義務自己重視群, 両自己重視群の3群に分割し, 偏相関係数を算出した。その結果, 理想自己を重視する群では, SDTの想定通り, 現実-理想不一致と優越感・有能感, 現実-義務不一致と自己嫌悪感との問のみに有意な関連が見られた。義務自己を重視するとした被調査者は全体の15%未満であり, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。両方の自己を重視している群では, いずれの偏相関係数も有意ではなかった。本研究の結果から, 少なくとも理想自己を重要であるととらえる被調査者においては, 自己不一致と感情との弁別的関連がより明確になる可能性が示唆された。
著者
末盛 慶 小平 英志 鈴木 佳代
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.39-52, 2017-09-30

近年,ワーク・ライフ・バランスに関する研究が蓄積されている.しかし,その多くは共働き世帯など夫婦世帯を対象とした研究が多い.しかし,ワーク・ライフ・バランスの実現がより困難であることが推測されるのはひとり親家庭である.ひとり親家庭の場合,理論的に1 人で家庭役割や職業役割等を遂行していく必要があるからである. 以上の問題意識から,本稿では,シングルマザーの家庭領域から仕事領域に対するワーク・ファミリー・コンフリクト(FWC)の規定要因を分析した.分析対象は,名古屋市区部に在住し,年齢の記入があり,就業しているひとり親の母親113 名である. 分析の結果,時間のFWC に関しては,仕事過重と貧困状態が有意な関連を示した.ストレインのFWC に関しては,仕事過重,上司のサポート,および貧困状態が有意な関連を示した.行動価値のFWC に関しては,学校関与と上司のサポートが有意な関連,貧困状態は有意傾向で関連を示した.以上の結果から,仕事の過剰や上司のサポートといった要因に加え,貧困状態がシングルマザーのワーク・ファミリー・コンフリクトを高めることが示された.
著者
小平 英志
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.136, pp.1-14, 2017-09

Correlations and causal relationships among undervaluing others, self-formation, and self-change in Japanese university students were investigated. In Study 1, university students( n=163) completed scales that assessed undervaluing others, self-esteem, sense of self-formation, and intention for self-change. Results indicated a significant negative correlation between undervaluing others and imitation-oriented self-change defined as the will to change and agree with close others. This result was replicated in Study 2 with a different sample of undergraduates (n=298). Moreover, in study 3, structural equation approach with cross-lagged models and synchronous effects models were conducted on oneyear longitudinal data (n=161). Results suggested a significant covariance between undervaluing others and imitation-oriented self-change at Time 1. However, there were no significant causal effects among these variables. The meaning of undervaluing others in the development of young adults was discussed.
著者
小平 英志 末盛 慶 鈴木 佳代
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.170-172, 2017

<p>This study investigated the effect of work-family conflict of single mothers on family image and attitude of their adolescent children towards marriage. Participants were 219 pairs of mothers and their adolescent children, and 103 pairs of those were single-mother families. They completed the questionnaire about work-family conflict of mothers and children's family image and hopes about getting married. Structural equation modeling analysis showed that work-family conflict was negatively associated with family image and hopes about getting married among adolescent children in single-mother families. The formation of families of children from single-parent families was discussed.</p>
著者
小平 英志 末盛 慶 鈴木 佳代
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.170-172, 2017-11-01 (Released:2017-11-04)
参考文献数
11

This study investigated the effect of work-family conflict of single mothers on family image and attitude of their adolescent children towards marriage. Participants were 219 pairs of mothers and their adolescent children, and 103 pairs of those were single-mother families. They completed the questionnaire about work-family conflict of mothers and children's family image and hopes about getting married. Structural equation modeling analysis showed that work-family conflict was negatively associated with family image and hopes about getting married among adolescent children in single-mother families. The formation of families of children from single-parent families was discussed.
著者
山田 麻紗子 渡邊 忍 小平 英志 橋本 和明
出版者
日本福祉大学社会福祉学部
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University (ISSN:1345174X)
巻号頁・発行日
vol.137, pp.133-151, 2017-09-30

筆者たちは児童虐待への効果的支援のあり方を探るため,2015 年の児童虐待対応の先進国であるアメリカ(ニューヨーク市,バージニア州)視察に続いて,2016 年に韓国(ソウル市)の関係機関10 ケ所を,次の2 つの知見を得るために視察した.それらは,①韓国の児童虐待に関わる各関係機関の役割・機能,②各関係機関の連携・協働の実際についてである.その結果,過去10 年間における韓国の児童虐待等に関する取り組みには格段の進歩があり,日本にとって学ぶ点が複数みられた.政府,司法,地方自治体,民間機関が縦横に連携・協働している点やひまわり児童センターの総合支援システムには,目を見張るものがある.本稿では,韓国ソウル市における児童虐待,児童福祉の現状と課題などを紹介したい.
著者
安藤 史高 Ando Fumitaka 中西 良太 Nakanishi Yoshifumi 小平 英志 Kodaira Hideshi 江崎 真理 Esaki Mari 原田 一郎 Harada Ichiro 川井 加奈 子 Kawai Kanako 小川 一美 Ogawa Kazumi 崎濱 秀行 Sakihama Hideyuki
出版者
名古屋大学大学院教育発達科学研究科
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.237-245, 2000-12 (Released:2006-01-05)

The purpose of this study is to construct the Multidimensional Optimism Assessment Inventory (MOAI) and to examine its reliability and validity. Prior to the investigation, three subconcepts of optimism (optimistic expectancy, optimistic evaluation, and easy switching) were hypothesized and 46 items (optimistic expectancy; 24 items, optimistic evaluation; 16 items and easy switching; 6 items) were selected. Four hundred and sixty undergraduates were administrated MOAI and other scales. Exploratory factor analysis yielded 6 factors, so 6 subscales were constructed (optimistic evaluation for ability, easy switching, optimistic expectancy for external resources, optimistic expectancy for luck, groundless optimism and optimistic expectancy for future). Except for groundless optimism subscale (α=.56), Cronbach's alpha coefficients of five subscales were moderately high (they were greater than .65). The correlations between the score of MOAI and other scales supported hypothesized relations. Taken together, the result confirmed the reliability and validity of MOAI, at least partially.
著者
速水 敏彦 小平 英志 青木 直子
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

家事の動機づけを測定する項目を収集し質問紙を構成し、成人女性に実施して因子分析を行った。その結果、興味関心・効力感、義務感、生活習慣、生活必要感、代替者不在感の5つの因子が抽出された。また、各家事の動機づけが現実の家事行動とどのように関係するのか、さらに専業主婦と就業者では動機づけに違いがあるのかについても検討した。さらに家事の動機づけの高低を規定するパーソナリティや価値観、家族の人間関係との関連についても調べた。
著者
速水 敏彦 小平 英志
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.171-180, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
25
被引用文献数
14 6

これまで,他者軽視に基づく仮想的有能感に関して,感情経験との関連を中心とした検討が行われてきた(速水ほか,2003).本研究では,低い自尊感情を補償しようと,他者軽視を行う典型的なタイプを抽出するために有能感の類型論的アプローチを用い,学習観と学習に対する動機づけとの関連を検討した.高校生395名に対して他者軽視,自尊感情,学習観(学習量,環境,方略志向),および自己決定理論に基づく動機づけ(外的,取り入れ的,同一化的,内発的動機づけ)の尺度が実施された.相関関係からは,他者軽視に基づく仮想的有能感は学習量志向と負の関連にあることが示された.また各類型の特徴を整理した結果,仮想型では,自尊型と比べて,外的動機づけおよび取り入れ的動機づけが高く,同一化的動機づけと内発的動機づけが低い傾向にあった.萎縮型では,いずれの動機づけも低い傾向にあった.