- 著者
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山本 克之
浜岡 隆文
川初 清典
工藤 信樹
清水 孝一
- 出版者
- 北海道大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1999
本研究は,筋組織酸素濃度計測における皮下脂肪層の影響を系統的に解析し,その影響を除去し得る絶対値計測可能な近赤外分光(NIRS)組織酸素モニタを開発して,本装置の最も効果的な適用分野と考えられるスポーツ医学の分野で,その有効性を実証することを目的とした.1.時間分解法を用いたin vivo計測と多層モンテカルロシミュレーションにより,組織の不均一性を考慮して,筋および脂肪層の平均的な光学特性(吸収係数,散乱係数)を決定した.2.光拡散理論を適用し,吸光度変化と吸収係数の非直線的関係をも考慮した組織酸素濃度算出式を理論的に導出し,その具体的な係数を上記光学特性から決定した.3.脂肪層の影響で近赤外分光法の測定感度が大きく減少するので,測定感度を脂肪厚で補正することにより,均質な系を仮定した上記理論式に適用可能な補正式を決定した.また,安静時の筋酸素消費量を磁気共鳴スペクトル法と試作装置で計測・比較し,補正法の妥当性を確認した.4.NIRSの運動能力の評価法として,トップレベルの選手(ノルディック複合ナショナルチーム,13名)を対象に測定を実施し,高地トレーニングにより筋組織酸素濃度回復速度が6日後で11%,11日後で20%程度増加することを見出した.5.NIRSの筋代謝の評価法として,筋収縮・弛緩に伴う血液量変化から局所的血液酸素飽和度を,筋収縮時の酸素濃度低下率から局所的筋酸素消費量を測定する手法を考案し,1収縮ごとに酸素飽和度と酸素消費量を推定できることを検証した.6.当初の計画を進展させ,200チャネルの受光系を有する組織酸素濃度画像化システムを試作し,膝屈曲・伸展運動時の大腿部各筋の酸素化・脱酸素化ヘモグロビン量,血液量の時空間変化をイメージングすることに成功した.