著者
工藤 慎一 桑原 保正 Zoltán Korsós 市来 弥生 森田 将史 浅野 泰久 中村 泰之 田辺 力
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.135-137, 2014-10-05 (Released:2019-04-25)
参考文献数
9

We observed egg-brooding behavior in two Japanese millipedes, Eutrichodesmus elegans (Miyoshi, 1956) (Polydesmida: Haplodesmidae) and Cryptocorypha sp. (Pyrgodesmidae), under field conditions. In the former, females remained curling the body around the soil-made mound-like egg-chamber (containing eggs) constructed on dead leaves in the litter. In the latter, a female brooded an egg-mass under the bark of a decaying fallen log.
著者
野間口 眞太郎 工藤 慎一
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

亜社会性ミツボシツチカメムシおいて、2つの家族が混ざり合い、2匹の雌親が共同で給餌などの子の世話をする「家族融合」という現象が最近発見された.本研究では,野外調査や室内実験を通して,家族融合の形成プロセス、家族融合を起こさせる主要な要因,雌親同士の個体間相互作用を調べ,この家族融合が亜社会性から真社会性に至る昆虫の社会性進化の次の段階である擬似社会性への移行につながるか否かを検討した.その結果、融合雌の中に給餌をやめて次の繁殖の準備を始める「抜け駆け」雌が現れるため、集団としてより高度な社会性への移行は困難であることが分かった.
著者
玉田 祐介 雫田 享佐 厚芝 源太郎 平田 健太郎 石川 博規 工藤 慎一
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
pp.22-00009, (Released:2023-07-07)
参考文献数
36

フクジュソウ Adonis ramosa は,主に落葉樹林に生育するキンポウゲ科の多年草で,北海道中央部から南部,本州,四国に分布し,多くの都道府県で絶滅危惧種となっている.フクジュソウの保全対策を効果的かつ効率的に実施するためには,生育環境について知見を蓄積することが重要な課題の一つである.フクジュソウの生育環境については,光条件による影響を報告した研究は存在するが,フクジュソウの生育に影響を与える局所スケールの環境要因及びその相対的重要性を明らかにした研究は見られない.そこで,本研究では,北海道中央部及び南部において,光条件,土壌条件,リター層,周辺植生といった環境要因に着目してフクジュソウの生育環境を調査した.北海道中央部及び南部のフクジュソウの開花結実期にあたる2021 年 4~ 5 月において,各調査地域(計 7 地域)のフクジュソウ生育地に方形区(1 m×1 m)を 5 個設置し,計 35 個の方形区でフクジュソウの個体数を記録した.また,フクジュソウの生育に関係し得る環境要因として,相対照度,土壌硬度,リター層の厚さ,林床被度,樹冠被度を計測した.その結果,相対照度が高く,リター層が薄く,かつ林床被度が低いほど,フクジュソウ個体数は多かった.そのため,フクジュソウの保全対策を実施する場合には,相対照度が高く,リター層が薄く,かつ林床植生が少ない環境に着目することが重要であり,開発事業によりフクジュソウ生育地を改変せざるを得ない場合は,そのような環境へ移植を実施する必要があると考えられる.また,フクジュソウ生育地のモニタリングや維持管理を実施する場合には,草刈りや落ち葉かきが有効と考えられる.
著者
工藤 慎一 長谷川 英祐 小汐 千春
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は, 雄が抱卵する多足類ヒラタヤスデを対象とし, 配偶システムと繁殖行動の進化を理解することを目的とした。雄は, 菌類の感染から卵を保護していた。野外では, 体節幅の広い雄ほど繁殖に成功し抱卵数も多かった。これは, 体節幅の広い雄ほど雌に配偶者として選ばれ, 抱卵しながら複数の雌と配偶した結果であると考えられた。これらの結果は, 性選択が雄による子の保護の進化に重要な役割を果たすことを示唆している。