著者
金子 明 五十棲 理恵 脇村 孝平 皆川 昇 平山 謙二 金子 修 平塚 真弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は研究期間を通じた横断的マラリア調査により、ケニア・ビクトリア湖周辺地域でのマラリア感染の非均一性を明らかにした。さらに感染の多くは無症候性でかつ顕微鏡検出限界以下であることを示した。これは、集団投薬とともに地域特性に基づいた対策の必要性を裏付けるものである。さらにNgodhe島における集団投薬の介入試験から、中~高度流行地に囲まれた低度流行地における持続的なマラリア撲滅のためには、外からの原虫移入および媒介蚊への対策強化による伝播抑制が必要であることを明らかにした。本研究により、不均一に高度マラリア流行地が残存するサハラ以南アフリカでのマラリア対策を進めるうえで鍵となる知見が提示された。
著者
平塚 真弘
出版者
東北薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

これまでの検討結果から、等温遺伝子増幅法とイムノクロマトグラフィーを組み合わせる方法は困難であることが判明した。しかし、血液からの直接遺伝子増幅法や高速サーマルサイクラーを用いたPCR増幅の検討を行うことで遺伝子診断時間の大幅な短縮が期待できる。そこで、島津製作所製Ampdirectを用いて血液からの直接PCRを試みた。また、高速サーマルサイクラーであるアイダホテクノロジー社製Rapid Cycler2及びインディーを用いることにより、従来、約2時間を要していた遺伝子増幅時間を1時間にまで短縮することを目標とした。さらに、現在、検出デバイスとしてイムノクロマトグラフィーであるDNA検出ストリップを用いているが、この遺伝子診断法がこのデバイス以外にも応用可能か否かを検証するため、東洋紡製イムノチップを用いてSNP検出を試みた。基本的なPCR反応はこれまでと同様であるが、イムノチップのメンブラン上には、抗ビオチン抗体が結合されている。PCR後の操作としては、産物にperoxidase標識抗FITC抗体液を5分間反応させ、全量をチップに添加する。続いて洗浄液を添加し非特異的な結合を除去し、最後に発色基質溶液を添加し、SM)が存在すれば青色に発色する。つまりチップを2個用意し、一方には野生型検出プローブを用いた時の反応液を、もう一方には変異型検出プローブを用いた時の反応液を添加することによって遺伝子型を視覚的に判別することができる。これらを検討することにより、Ampdirectを用いて血液からの直接PCRが可能となり、DNA精製に要していた遺伝子診断時間を大幅に短縮することができた。また、高速サーマルサイクラーを用いることにより、従来約2時間を要していた遺伝子増幅時間を1時間にまで短縮することができた。さらにイムノチップの利用により、DNA検出ストリップ以外の検出デバイスでも良好な遺伝子診断が可能となった。