著者
工藤 純也
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-19, 2015-11

東北地方太平洋沖地震により、岩手県沿岸地域は甚大な被害を被った。地域の産業としての観光業は機能の多くを失ったが、被災地では「復興応援」や「支援」と銘打ったパッケージツアーが多数実施されている。被災地における観光を通じて、被災地の住民と観光客との間に意識のギャップが生じたり、地域の社会的アイデンティティが消費されるという問題は従前から指摘されてきた。そこで、これまで明らかになっていなかった、震災後に増加した「復興応援バスツアー」の全体像を、独自に構築したデータベースによって把握するとともに、観光客、観光地に暮らす住民、観光業従事者への聞きとり調査・質問紙調査を通じて、岩手県沿岸地域における東日本大震災後の観光の実態把握を行った。調査の結果、多数の復興応援バスツアーが被災地で実施されている一方、観光業従事者、地域住民、被災地を訪れる観光客との間の意識と関係性には、ズレが生じていることが明らかになった。このことをふまえ、地域住民と観光客、観光業従事者とを結びつける仕掛けの必要性について論じた。
著者
早坂 洋史 木村 圭司 工藤 純一
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-9, 2005 (Released:2011-03-16)
参考文献数
14

ロシア極東サハ共和国の森林火災傾向について気象データを基に検討した。最近の焼損面積の増加傾向は,気候変動に伴う気温の上昇,5~9月の降水量の減少,特に,日平均降雨量の半減傾向の影響が原因と思われた。この低降雨量条件下で,2002年に焼損面積約2.3万km2の大規模な森林火災がヤクーツク周辺で発生した。この大火災の経過を,衛星観測と気象計測とのデータを使って詳細に解析し,大火災となった原因について考察した。(オンラインのみ掲載)
著者
工藤 純夫 和智 明彦 佐藤 潔
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.370-375, 1995-07-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

MRIを用いて髄液の拍動速度を測定することで,脊髄くも膜下腔内をゆっくり移動する髄液を捉える方法を開発した.本方法により髄液循環における拍動とは異なった髄液のゆっくりした移動が測定可能と考えられた.各年齢層の正常例において,頸髄周囲4箇所の髄液拍動と移動の測定を試みたところ,髄液のゆっくりした移動は脊髄腹側が背側,側面のものに比較して有意に遠かった.また脊髄腹側の髄液移動と髄液拍動速良には正の相関がみられた.髄液のゆっくりした移動速度の年齢分布は乳児期から加齢とともに増加する傾向を有し,10歳前後で100〜200mm/minとpeakに達した.また,頭蓋骨縫合の癒合を認めない新生児,乳児では,1心拍間の髄液移動距離は少ないものの心拍数は多く,1分間の移動距離(速度)は成人に匹敵するかそれを上まわる特徴があった.
著者
工藤 純一 八木 順一郎
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.73, no.15, pp.2020-2027, 1987-11-01 (Released:2010-01-19)
参考文献数
26
被引用文献数
8

An attempt was made on the simultaneous analysis of the gas flow and heat transfer in the blast furnace by a mathematical model which considered complex structure and nonuniform sink and source terms for both heat and mass. ERGUN'S equation was used for the equation of motion of gas and potential flow approximation was used for the equation of solid flow. Two dimensional distribution for the velocities of gas and solid was obtained numerically by applying the finite element method with quadratic elements. Fundamental equations of heat transfer on gas and solids were composed of the terms for convection, heat exchange and heat source. Numerical computation of the fundamental equations was carried out in accordance with the method of characteristics. In this analysis, sink and source terms regarding fusion of ore in the cohesive zone and combustion of coke in the raceway were incorporated in the mathematical model as well as radial distributions of particle size and void fraction. It was consequently found that the temperature distribution was affected principally by nonuniform gas flow and thermal flow ratio. Within the cohesive zone, strong consumption of heat by fusion of ore and decrease in the solids velocity appeared. These phenomena affected significantly the temperature distribution in the lower region of the blast furnace together with the generation of heat in the raceway region.
著者
乗木 新一郎 海老原 真弓 工藤 純子
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.205-217, 2000-07-05
被引用文献数
2

1995年12月から1996年12月の一年間, 東京湾湾口部の水深890mの790m層で時間分画式セジメントトラップを用いて沈降粒子を集めた。全粒子束は5-65g m~-2day~-1であった。粒子中の全二酸化ケイ素, アルミニウムそしてマンガンの濃度は, それぞれ, 47-62%, 4.4-7.3%, 800-1400ppmであった。春季から秋季にかけて, 陸源粒子束と生物起源二酸化ケイ素粒子束が増大したことによる全粒子束の極大が, 5回観測された。その時, 丁度東京湾上を台風または低気圧が通過していた。二つのことが考えられる。一つは, 表層堆積物の舞い上がりによる粒子の再移動であり, もう一つは, 台風の通過によって成層化が崩れて栄養塩の豊富な亜表層の海水が表面に出てきて, その後の日照時間の増加によってプランクトン増殖が促進されたことによる一時的な生物活動の増大である。また, 東京湾中央の表層堆積物には正のガドリニウム異常があったが, 沈降粒子には異常が見られなかった。このことから, 粒子が東京湾湾口の海底斜面に沿って外洋へ移動する経路があることを明らかにした。