- 著者
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乗木 新一郎
海老原 真弓
工藤 純子
- 出版者
- 日本海洋学会
- 雑誌
- 海の研究 (ISSN:09168362)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.4, pp.205-217, 2000-07-05
- 被引用文献数
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2
1995年12月から1996年12月の一年間, 東京湾湾口部の水深890mの790m層で時間分画式セジメントトラップを用いて沈降粒子を集めた。全粒子束は5-65g m~-2day~-1であった。粒子中の全二酸化ケイ素, アルミニウムそしてマンガンの濃度は, それぞれ, 47-62%, 4.4-7.3%, 800-1400ppmであった。春季から秋季にかけて, 陸源粒子束と生物起源二酸化ケイ素粒子束が増大したことによる全粒子束の極大が, 5回観測された。その時, 丁度東京湾上を台風または低気圧が通過していた。二つのことが考えられる。一つは, 表層堆積物の舞い上がりによる粒子の再移動であり, もう一つは, 台風の通過によって成層化が崩れて栄養塩の豊富な亜表層の海水が表面に出てきて, その後の日照時間の増加によってプランクトン増殖が促進されたことによる一時的な生物活動の増大である。また, 東京湾中央の表層堆積物には正のガドリニウム異常があったが, 沈降粒子には異常が見られなかった。このことから, 粒子が東京湾湾口の海底斜面に沿って外洋へ移動する経路があることを明らかにした。