- 著者
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塚原 康子
平高 典子
- 出版者
- 東京藝術大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
海軍軍楽長・吉本光蔵(1863~1907)の日記を精読し、以下の研究成果を得た。(1)ベルリン留学時代の日記(1900~1902年)から吉本のベルリンでの音楽体験を把握した。海軍軍楽隊が1908年に始める東京音楽学校への依託生制度はベルリン音楽院の軍楽学生制度をモデルにした可能性が高い。20世紀初頭のヨーロッパには、川上音二郎一座らの興行や吉本が作成した五線譜を通して日本音楽の情報が流布した。(2)日露戦争中の日記(1904~1905年)から第二艦隊旗艦・出雲に乗艦中の軍楽隊の活動状況を把握した。軍楽隊は定例の奏楽以外に作戦遂行や戦死者追弔にも奏楽し、兵員による琵琶・尺八の私的演奏もあった。