著者
中野 智之 上條 隆志 高山 浩司 岸本 年郎 廣田 充
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

小笠原諸島の西之島は、2013年からの噴火によりほぼ全ての陸地が溶岩に覆われ新たな島となった。西之島は最も近隣の小笠原諸島父島から約130km離れた海洋島であり、海洋島における生態系の成立過程を観察できる世界で唯一の場所である。令和元年度に環境省が実施した総合学術調査において海産無脊椎動物、陸上植物、昆虫等陸棲節足動物、土壌微生物が採集された。本研究課題では、主にDNA解析に基づき、海産無脊椎動物、植物、昆虫、土壌微生物の視点から、「なにが」、「いつ」、「どこから」、「どのように」遷移が起きたのかを人類史上初めて明らかにするものである。
著者
廣田 充
出版者
日本森林学会
雑誌
森林科学 (ISSN:09171908)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.38-39, 2017 (Released:2017-04-14)
参考文献数
3
著者
上條 隆志 廣田 充 川上 和人
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究 = Ogasawara research (ISSN:03868176)
巻号頁・発行日
no.46, pp.69-77, 2020-03

小笠原諸島の西之島は、2013年からの火山活動によって大きく面積が拡大した。2013年以前から存在していた島の大部分は、新たな溶岩流やスコリアに覆われ、ほぼ新島に近い状態となった。本調査は、西之島の植物、植生、土壌の現況を明らかにすることを目的として、2019年9月に現地調査を行った。現地調査の結果、維管束植物として、オヒシバ、イヌビエ、スベリヒユの3 種を確認した。これまでの記録を基に検討すると、これら3種は2013年噴火以前から生育していた個体群由来と考えられた。土壌については、表層土壌を採取し、全炭素量、全窒素含量を測定した。さらに、今後のモニタリングのために、5地点において方形区(10m × 10m)を設置し、方形区内の植生調査を行った。
著者
上條 隆志 廣田 充 川上 和人 森 英章
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース 第131回日本森林学会大会
巻号頁・発行日
pp.800, 2020-05-25 (Released:2020-07-27)

西之島は、小笠原諸島父島の西約130kmに位置でする火山島である。1973~1974年に噴火し、2013年から2019年に至るまで断続的に噴火している。特に2013年以降の噴火では大きく面積を拡大した。このように現在の西之島は、そのほとんどが新たに成立した生態系であり、孤立した生態系が回復してゆくプロセスを観測するのに極めて適している。本研究では、このような西之島において、新島(一部に旧島部分が残存)における初期状態を記録し、今後のモニタリングの基礎を作ることを目的とした。現地調査は2019年9月に実施した。調査は、上陸できた西側と南西側の浜の2地域で行い、踏査による植物の確認と、10m×10mの方形区(5地点)の設置により行った。現地調査の結果、オヒシバ、スベリヒユ、イヌビエの3種の生育を確認した。なお、2008年時点では、これら3これら3種に加え、グンバイヒルガオ、ハマゴウ、ツルナの3種が生育していた。現在確認できる3種の分布は主に旧島部分であるが、オヒシバとスベリヒユについては、旧島部分の直下の海浜にも分布を広げていることが確認された。その一方で、2013年以降に堆積した溶岩上では、これら植物の生育は確認できなかった。