著者
張 涵泳 沖井 英里香 後藤 栄治 宮原 文彦 宮崎 潤二 前田 一 古澤 英生 宮里 学 吉田 茂二郎 白石 進
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.88-93, 2019-04-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
31

九州の8地域に生息するマツノザイセンチュウの遺伝的多様性と遺伝的構造の解明を10個のEST遺伝子座の塩基配列多型を用いて行った。九州全域の遺伝子分化係数(GST)は0.53で,全遺伝子多様度(HT=0.63)の半分以上が地域集団間に存在し,集団間に大きな差異があった。8地域集団のHTは0.12~0.59であり,多様性に富んでいたのは,川内,新富,松浦,唐津(0.59,0.57,0.56,0.55)で,地域集団内におけるGST(0.43,0.35,0.25,0.25)も高く,被害木内集団(亜集団)間に大きな差違があった。一方,多様性が特に低いのは,天草,宮崎(0.12,0.18)で,そのGSTも小さく(0.01,0.02),亜集団間の違いは極めて小さかった。これらの2集団の形成には,ボトルネック/創始者効果が影響していることが示唆された。九州では地域集団が保有する多様性の二極化が進行していると思われる。
著者
橋本 洋美 後藤 栄 坪内 美紀 泉 陽子 吉村 由香理 笠原 優子 塩谷 雅英
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.209-213, 2004-10-01
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

IVFとICSIを回収された卵子の半数ずつに行うSplit ICSIを考慮すべき精液所見を検討することを目的とした.当院で初回ARTを施行した682症例の精液所見を目視法で調べ,精液濃度および運動率別の受精率,妊娠率の検討を行った.受精率30%が以下の症例では受精率50%以上の症例と比較し妊娠率は有意に低かった.精子濃度が2,000万/ml未満の症例では受精率は50.0~53.8%であり,2,000万/ml以上の症例における受精率の65.0~79.5%と比較して有意に低率であった.精子運動率が20%未満の症例では受精率は0~29.6%であり,運動率20%以上の症例の受精率66.8~76.8%と比較して有意に低率であった.精子濃度2,000万/ml未満または精子運動率が20%未満の症例に対してはsplit ICSIを考慮すべきと考えられた.<br>
著者
後藤 栄 横井 崇子 高倉 賢二 廣瀬 雅哉 木村 俊雄 竹林 浩一 秋山 稔 中西 桂子 布留川 浩之 野田 洋一
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-5, 2000-01-01 (Released:2010-09-27)
参考文献数
10

正常排卵周期を有する不妊症患者に対する排卵誘発の有効性について検討した.1998年1月から12月の12ヵ月間に不妊治療あるいは指導を受けた185婦人のうち,排卵障害を伴わない131症例を対象とした.中枢性無月経,多嚢胞卵巣症候群,早発卵巣不全,高プロラクチン血症および稀発月経や頻発月経など月経異常を有するものは排卵障害を有する症例として本解析から除外した.両側卵管閉鎖,無精子症などの絶対不妊も除外症例とした.各不妊原因に対する治療を行うとともに,初診後3ヵ月間の待機期間を経ても妊娠に至らない症例に対して,1司意を得たうえでクロミフェン,シクロフェニル,hMG(FSH)+hCGを単独または併用した排卵誘発を行い,各種排卵誘発法の周期あたりの妊娠率を,自然排卵周期(自然周期)における妊娠率と後方視的に比較検討した.排卵障害を有さない131症例において,1998年1月から12月の間に妊娠が確認されたのは33周期であった.このうち排卵誘発により妊娠に至ったのは23周期であった.自然周期における妊娠は10周期で,このうち初診後3ヵ月以内に妊娠に至った周期は7周期であった.初診後3ヵ月間の待機期間を過ぎた症例では,IVF-ET周期を除く排卵誘発周期では周期あたりの'妊娠率は4.3%(16/374)であり,自然周期での妊娠率の1.1%(3/284)と比較して有意に高率であった.排卵誘発法別の妊娠率はhMGを含む周期,シクロフェニルを含む周期ではそれぞれ6.7%(4/60),4.4%(5/114)であり,自然周期より有意に高率であった,しかしクロミフェンを含む周期の妊娠率は3.3%(7/209)であり,自然周期と有意差を認めなかった.自然排卵周期を有する不妊症患者に対し,シクロフェニルまたはゴナドトロピンによる排卵誘発法は有効な方法と考えられたが,クロミフェンの有効性は認めなかった.〔産婦の進歩52(1);1~5,2000(平成12年1月)〕
著者
林 嘉彦 高倉 賢二 山出 一郎 石川 弘伸 石 紅 後藤 栄 和久田 晃司 野田 洋一
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.516-527, 1997

子宮内膜内微小環境を修飾することにより胚着床率が改善するか否かを明らかにするために,胚と各種生理活性物質との子宮内膜内共移植を試みた.移植には胚盤胞(ICR)を用い,受卵雌には8~10週齢の同系偽妊娠マウスを用いた.生理活性物質はヒスタミン,プロスタグランジンE2,プロゲステロン,hCGについて検討したが,ヒスタミン(100μM)との共移植でDay2受卵雌の着床率が改善(31.5%)した.マウス子宮内膜間質細胞の培養系にヒスタミンを添加(100μM)したところ脱落膜化の過程にはなんら影響が認められず,また卵孚化胞胚培養系にヒスタミン添加(100μM)を行ってもトロフォブラストの発育にはなんら影響が認められなかった.一方,胚・ヒスタミン共移植後の子宮内膜には著明な間質の浮腫が認められた.以上より着床率改善の機序はヒスタミンによる脱落膜化修飾作用あるいは胚発生促進効果を介したものではなく,血管透過性充進の機序を介した微小環境の変化によるものと考えられた.本研究により胚・生理活性物質の内膜内共移植によって着床率が改善されうる実験的根拠が得られた.〔産婦の進歩49(5);516~527,1997(平成9年9月)〕