著者
佐野 優太 伊藤 康雄 湯口 友梨 村木 厚紀 鶴田 勝久 小松 智徳 木村 亨 辻 克和 後藤 百万 絹川 常郎
出版者
日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.278-283, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
10

【緒言】結石性腎盂腎炎の感染治療後, 結石の主な治療選択肢としてextracorporeal shock wave lithotripsy (ESWL) やtransurethral ureterolithotripsy (TUL) がある. 当院にて結石性腎盂腎炎後の結石治療に関してレトロスペクティブに検討した. 【対象と方法】当院にて2014年1月から2019年3月に結石性腎盂腎炎と診断された104例を対象とした. その中のESWL (9例) とTUL (71例) の治療効果や合併症を比較検討した. 【結果】80例のうち治療後に38度以上発熱を認めたのはESWLで1例 (11%), TULで14例 (19.7%) であった. Stone free rate (SFR) はESWLで66.6%, TULで95.1%であった. 【考察】TUL後に発熱する割合が高かったが, 1回でほぼstone freeを達成でき, 重篤な合併症は生じず安全に施行できていた.
著者
近藤 厚生 木村 恭祐 磯部 安朗 上平 修 松浦 治 後藤 百万 岡井 いくよ
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.551-559, 2003-07-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

(目的) 神経管閉鎖障害に罹患する胎児の発生リスクは, 母親が妊娠前に葉酸を摂取すると低減できる. 研究目的は, 女性が食事から摂取する葉酸について検討し, 葉酸血清濃度を測定することである.(対象と方法) 対象者は一般女性, 二分脊椎患者の母親, 妊婦, 二分脊椎患者, 看護学生の5群からなる222名の女性. 食事から摂取した葉酸量は, 食事記録を5訂日本食品標準成分表に準拠して解析した. 葉酸血清濃度は化学発光免疫測定法で測定した.(結果) 対象者は食事から葉酸を平均293μg/日摂取しており, 血清濃度は平均8.1ng/ml, エネルギー摂取量は平均1,857Kcalであった. 妊婦が食事から葉酸を最も多く摂っており, 血中濃度も最高値を示した.「日本人の栄養所要量」が規定する葉酸量を充足しない対象者の割合は, 成人女性が22%, 妊婦が72%であった. 葉酸は第3食品群 (香川綾分類) から最も多く摂取されていた. 葉酸サプリメント400μg/日を16週間内服すると, 基線値は7.8ng/mlから17.3へ上昇した.(結論) 葉酸経口摂取量は平均293μg/日, 血清濃度は平均8.1ng/mlであった. 妊婦の過半数は政府が勧告する葉酸量を摂取していなかった. 妊娠可能期の女性は葉酸に富む第3食品群を多く摂り, 妊娠を計画する女性は妊娠4週前から妊娠12週まで葉酸サプリメント400μg/日の内服が望ましい.
著者
矢萩 美和 鈴木 重行 後藤 百万
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0823, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】本邦では治療を必要とする腹圧性尿失禁患者が現在約500万人いるとされている.しかしこれに対する理学療法評価および介入法の確立はされていない.今回は腹圧性尿失禁患者を対象として研究を実施する前段階として,健常女性(尿失禁のない経産婦)を対象に骨盤底筋群の機能評価を定量化し,基礎データを得ることを目的とした.また,本研究に対する対象者の主観的評価を把握するために測定後アンケート調査を行った.【対象と方法】本研究は,名古屋大学医学部倫理委員会の承諾を得てから実施した.対象は,健常女性(尿失禁のない経産婦)24名とした.平均年齢は53.2±10.1歳,平均出産回数は2.2±0.6回,平均Body Mass Index(BMI) は21.9±2.2であった.方法は,臥位と立位にて膣センサー(Cardio Design 社製 Peritron)を膣へ挿入した後,骨盤底筋群の持続収縮を30秒間行い,骨盤底筋群の最大収縮圧,平均収縮圧,収縮持続時間,仕事率を測定した.また,アンケートは膣センサーの使用感,骨盤底筋群収縮・弛緩獲得の難易度,肢位別による骨盤底筋群の収縮・弛緩の難易度の違い等を中心とした9項目について調査した.【結果】骨盤底筋群の最大収縮圧の平均値は臥位で35±18(cmH2O),立位で31±11(cmH2O),平均収縮圧の平均値は臥位で19±8(cmH2O),立位で20±7(cmH2O),持続収縮時間の平均値は臥位で18±2(秒),立位で19±2(秒),仕事率の平均値は臥位で351±159(cm秒;平均収縮圧×収縮持続時間),立位で362±140(cm秒;平均収縮圧×収縮持続時間)であった.以上の全てにおいて臥位と立位における有意差はなかった.アンケート結果は,膣センサーの使用感の項目で,多少なりとも不快感を生じた人が半数以上を占めた.骨盤底筋群の収縮・弛緩の難易度は,約90%の人が数度の練習により要領がつかめたと答えている.また,肢位別による収縮・弛緩の難易度では臥位の方が容易であったと答えた人が約80%であった.【考察】健常者の骨盤底筋群の筋活動は,膣圧の定量化による側面からみると肢位により左右されないことが明らかとなった.しかし,最大収縮圧の平均値は臥位の方が大きいことと,アンケートから臥位の方が容易であったと答えている人が大多数を占めていることを考慮すると,理学療法介入時の肢位は臥位の方がより適切ではないかと考えられる.また,膣センサーの使用感に問題があることも明らかとなり,測定時により不快感の少ない機器の改良が必要であると考えられた.今後は今回の基礎データを基に腹圧性尿失禁患者との比較を検討していきたい.
著者
後藤 百万 舟橋 康人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

膀胱虚血再灌流モデルラット、及び下部尿路閉塞モデルラットを用い、ペンシル型CCD生体顕微鏡により膀胱虚血再灌流における膀胱壁微小循環の変化を解析した。下部尿路閉塞における膀胱蓄尿障害は、膀胱過伸展による虚血再灌流障害による膀胱血流障害に起因することを示した。また、膀胱微小循環の障害が交感神経α1遮断薬の前投与によりα1A受容体を介して抑制されることを示した。これらの結果から、下部尿路閉塞に基づく蓄尿障害の新規治療として、膀胱微小循環、特に交感神経α1A受容体をターゲットとした薬剤開発が有用であることが示唆された。