著者
三野 和宏 後藤 順一 土橋 誠一郎 服部 優宏 飯田 潤一 小野寺 一彦
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.835-840, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
15

被嚢性腹膜硬化症(encapsulating peritoneal sclerosis: EPS)は,腹膜透析患者に発症し癒着,被膜により腸閉塞を起こす病態である.一方,リフィーディング症候群は,飢餓状態に対し急速にブドウ糖負荷を行った際に,主にリン低下により心不全・痙攣等を起こす病態である.今回,われわれはリフィーディング症候群を合併したEPS症例を経験したので報告する.症例は41歳女性で,EPSに対し癒着剥離を施行した.1,000kcal/日の補液を開始したところ,術後5日目に血清リン値が0.6mg/dlまで下降し,心不全兆候を認めた.以後,リンの投与を行い症状の安定を得た.当科ではEPS術後生存例の50%にリフィーディング症候群を認めていた.EPSはリフィーディング症候群となるリスクが高いと考えられ,注意深いモニタリングのもと,適切なエネルギー・電解質の補充を行う必要があると考えられた.
著者
後藤 順一 眞野 成康 島田 美樹 山口 浩明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プロテオミクス手法を駆使して、脳内胆汁酸の機能解明に挑戦するとともに、胆汁酸シグナル伝達解析法の構築を試みた。まず、成長ホルモンとケノデオキシコール酸の結合につき、アフィニティーラベル化法により解析し、受容体結合部位とは異なる部分にケノデオキシコール酸が結合することが判った。次に、特異的誘導体化法と疑似ニュートラルロスを組み合わせるリン酸化タンパク質解析法を構築し、本法が複雑なタンパク質混合物中のリン酸化タンパク質の特定に有用なばかりか、リン酸化部位の同定にも優れることが判明した。さらに、ケノデオキシコール酸固定化cleavable affinity gelを用いて肝細胞中の結合タンパク質の抽出を試み、胆汁酸結合タンパク質として知られているジヒドロジオールデヒドロゲナーゼのほか、ペルオキシレドキシン1 がケノデオキシコール酸と結合することが明らかになった。