著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.306-317, 2015 (Released:2018-04-23)
参考文献数
7
被引用文献数
2

フランス北部,ベルギーとの国境に近いシャンパーニュ地方は,寒冷な気候でワインブドウが完熟するには厳しい条件だが,逆にその条件を活かしたシャンパンは世界のスパークリングワインをリードしている。このシャンパン造りを支えるブドウの栽培方法は,厳しい自然環境のなかで先人たちの努力と試行錯誤の積み重ねによって見出されたものと言えるだろう。シャンパン醸造について研修・情報収集をされた筆者に,この地方のブドウ栽培の概要とシャンパンの品質と名声を維持するために設けられている種々のルールについて解説していただいた。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.108, no.12, pp.881-889, 2013 (Released:2018-02-13)
参考文献数
23
被引用文献数
1

フェノレやブレットと呼ばれる赤ワインのフェノール性の異臭は,世界中のワインで深刻な問題となっている。これまで国内では充分な情報がなかったが,国産ワインのフェノレに取り組んでおられる著者に,国産ワインのフェノレの現状と予防について解説していただいた。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.712-727, 2016 (Released:2018-08-06)
参考文献数
13
被引用文献数
1 7

シャンパーニュ委員会技術部門で研修を受けられた筆者には,これまでにブドウ栽培,アサンブラージュ,醸造の前編としての果汁の調製について詳細な解説をしていただいている。今回はベースのワイン(原酒ワイン)の醸造について,通常のスティルワインとの違いや新しい醸造技術を含めて解説していただいた。シャンパーニュの原酒ワインは,シャンパーニュ製造に特化して造られていることがよく理解できる。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.5, pp.286-301, 2016 (Released:2018-07-12)
参考文献数
9

シャンパーニュ製造について研修をされた筆者には,これまでに本誌でブドウ栽培やアサンブラージュについて解説をしていただいたが,今回はシャンパーニュ製造のための果汁の調製について貴重な情報を紹介していただいた。日本でも瓶内二次発酵のスパークリングワインの生産が増えているが,通常の白ワインの果汁調整とは考え方が異なることが分かり,大変興味深い。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.3, pp.168-180, 2014 (Released:2018-03-06)
参考文献数
4
被引用文献数
5 8

シャンパンの製造には,ベースのワインをブレンドして各製品に相応しい酒質を造り上げるアサンブラージュが重要なポイントの一つであると言われる。では,実際にはどのようにして毎年ほぼ同じ酒質のノンヴィンテージ・シャンパンが造られるのだろう? アサンブラージュの方法は永く各生産者の秘密とされていたが,シャンパーニュ委員会初の外国人研修生となった筆者に,その秘密を解き明かしていただいた。
著者
恩田 匠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.628-635, 2015 (Released:2018-05-18)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ワインのマロラクティック乳酸菌は,ワイン酵母に較べてスターターの実用化が困難とされていたが,近年では色々な特長を持った乳酸菌スターターが市販されるようになり,マロラクティック乳酸菌も使い分ける時代になってきた。今回は,これらのスターターの性質を日本の赤ワインに使用して比較した結果を解説していただいた。
著者
恩田 匠 乙黒 親男 飯野 修一 後藤 昭二
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.407-417, 1997-06-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
29
被引用文献数
3

酵母により変敗した梅加工品の品質変化を調べ,さらに酵母汚染試料から酵母の分離を行い,得られた酵母菌株の同定と,その各種食塩濃度および各種pHにおける生育挙動ついて検討し,以下の結果を得た.(1) 酵母汚染した梅加工品は,主要成分である有機酸が減少しており,それに伴いpHが上昇していた.また,酵母汚染した梅漬は,硬度低下,あるいは組織崩壊を起こし,硬さを左右する構成ペクチンの分解が認められた.このペクチン分解にも産膜酵母が関与していることが考えられた.(2) 産膜汚染試料から分離した酵母25菌株は,Debaryomyces hansenii 4菌株,Pichia anomala 1菌株,Pichia membranaefaciens 3菌株,Torulaspora delbrueckii 1菌株,Candida jamata 1菌株,Candida krusei 3菌株,Candida pelliculosa 3菌株,Kloeckera apiculata2菌株,以下未同定の3菌種Candida sp. UME-A 2菌株,Candidasp. UME-B3菌株,Candida sp. UME-C 2菌株の5属11種に同定された.(3) 分離酵母の各種食塩濃度および各種pHにおける生育を検討した結果,P. anomala, C. famata, Candtda sp. UME-AおよびCandida sp. UME-Bと同定された菌株は食塩濃度20%のYM液体培地に良好に生育が可能な著しい耐塩性(中等度好塩性)とpH 2.0の梅酢液にも生育良好な低pH耐性を示した.(4) 低pH耐性を示す菌株,特にCandida sp. UME-B YITC 114株は,梅酢液中で高い有機酸の資化能を示した.これらの有機酸資化能の強い酵母が,梅漬類における主要産膜酵母であると思われた.