著者
菅田 良仁 東家 一雄 大西 基代 黒岩 共一 戸田 静男 木村 通郎
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-45, 1988-04-01

Clinically, it has been recognized that moxibustion with artemisia stimulates the internal parts of the body without a burn on the skin. Recently, Matsuyama et al. reported that the maximum temperature of moxibustion varied with every change of size, mass, hardness, quality, and humidity of moxa. The purpose of this study was to investigate experimentally the temperature-changes in vivo with moxibustion by using laboratory animals. Male mice of the C57BL/6CrSlc strain (30 weeks old) and chromel-alumel thermocouples (0.32 mm diam. and 0.5Ω electric resistance) were used. Following autoclave sterilization, the chromel-alumel thermocouples were surgically set in the subcutaneous and the muscle layers of the mice. Three weeks later, the temperature-changes in the mice with 50 mg of Ibuki-moxa were registered by a calibrated recorder. As illustrated in Fig. 1, maximum temperatures diminished in the following order ; on the skin (A), in the subcutaneous layer (B), and in the muscle layer (C). And the time occupied on the temperature restoration in the body became longer than that on the skin. As illustrated in Fig. 2, a series of three moxa-cauterizations induced the maximum temperatures to diminish on the skin (A), and to augment in the subcutaneous (B) and muscle layer (C). The former is caused by the barriers of prior moxa tar, sap, and ash to the heat conduction, while the latter is due to the accumulation of previous moxibustion heat. These results indicate that a series of three moxibustions enhances the stimulation not to the shallow parts but to the deep parts of the body. However, it should be made to clarify whether this conclusion holds good for clinical cases.

10 0 0 0 OA 灸研究の現在

著者
會澤 重勝 校條 由紀 東家 一雄 仲西 宏元 戸田 静男
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.601-613, 2003-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
12
被引用文献数
3 4

灸の生体に及ぼす作用についての研究は, いまだ十分とはいえない.全日本鍼灸学会学術大会では, 1997年にミニシンポジウム, 1998年にパネルデイスカッション「ここまで判った灸の科学」, 2001年にシンポジウム「鍼灸と免疫」などの特集が組まれて, それに対する研究成果の議論がなされてきた。そして, 年を追うごとにその内容が深まってきているといってよい。このようなことから, 2003年の第52回全日本鍼灸学会学術大会 (香川大会) では, 現在日本での最先端の研究者によるシンポジウム「灸研究の現在」が企画され, 以下のようにまとめられた。會澤重勝 : 灸基礎研究の概観では, 各種データベースにもとついて現在までの研究論文について述べられている。灸の特に基礎的研究は, 免疫学, 解剖学, 生化学, 神経生理学その他さまざまな方面から研究が試みられている。そして, その研究者の多くは全日本鍼灸学会で発表をしている。そのことから, 本学会の灸研究に果たしている役割は, 多大なものといえる。校條由紀 : 施灸部位の組織学的検討では, 施灸後の皮膚組織が変化する範囲が施灸部位を中心として見られた。その範囲は, 施灸終了60分後も拡大していた。特に, 皮下組織の変化の範囲は文の底面の広さを長時間経過しても超えていた.このことは, 施灸刺激の程度を決定する上で参考になる。東家作雄 : 灸の免疫系への作用が, 実験動物を用いて施灸皮膚所属リンパ節におけるサイトカインmRNA発現様式について検討された。作L-12, IFN-γのようなサイトカンのmRNAに発現様式が認められ, その作用機序に文含有成分の関与することが示唆された.仲西宏元 : 温灸の作用機序の検討から, 灸刺激特に温灸は鍼刺激とは異なる伝達系があり, 灸刺激の局所的な刺激が生理活性物質を奮起し, 機能の活性を引き起こし, この効果が神経系にも影響を与えると考えられた。ただし, 灸の原料であるヨモギの産地によって, 含有する金属元素の含有率の違いが大きく認めたことから, 同質重量の刺激を行ってもその治療効果に差が生じるのではないかと推測された。以上のように, 日本ではさまざまな角度から灸研究がなされているといってよいであろう。今回のシンポジウムは, 「灸研究の現在」を情報提供することが出来, 鍼灸医学の発展に寄与出来たものと思われる。
著者
菅田 良仁 東家 一雄 大西 基代 戸田 静男 黒岩 共一 木村 通郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.241-245, 1989-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

われわれは, 前報で透熱灸が生体内にあたえる温度変化について報告した。その際, 皮下では50℃以上に上昇することを示したが, 今回の隔物灸 (生姜および大蒜灸) でも同様に, 皮下で50℃をこえる温度変化が認められた。しかも, 透熱灸にくらべ50℃以上の状態を維持する時間が長く, 温熱刺激を緩和すると考えられている隔物灸が, むしろ透熱灸より強い刺激をあたえている可能性があることがわかった。また, その隔物灸の生体内におよぼす温度変化は, 隔物の含水量と皮膚組織の含水量の影響を強く受けることが予想された。
著者
大西 基代 戸田 静男 菅田 良仁 東家 一雄 黒岩 共一 木村 通郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.420-422, 1988-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7

隔物灸は, その温熱刺激と隔物の作用を生体に与え, 治療効果を得ていると考えられている。そこで, 隔物の灸により溶出する含有成分の検出を thin layer chromatography を用いて行った。その結果, 隔物として用いた生姜, 大蒜より各々の含有成分の溶出が確認された。このことは, 隔物から溶出する成分の薬理作用が, 温熱刺激とともに重要な役割を持つことを示唆している。
著者
三国 英一 戸田 静男 森田 義之 黒岩 共一 坂口 俊二 川本 正純
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.887-892, 1995-04-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The levels of stress-related hormones in the blood were measured before and after doing Qi Gong health-maintenance exercises, and a control group of walkers with a similar level of movement selected for the basis of a comparative study. The adrenaline, noradrenaline and growth hormone responses of the Qi Gong group were compared with the pre-exercise values. Although no significant difference was observed immediately after exercise, there was a significant drop in all values 30 minutes after exercising. Similar changes in the blood cortisol were noted in the Qi Gong group and walker group. Compared with the pre-exercise value, both group exhibited significant reduction in blood cortisol both immediately following exercise and 30 minutes after exercise, with the lowest value occurring 30 minutes after exercise. In contrast to the increase in stress-related hormones typical after light exercise that was seen in the walker group, the significant reduction response seen in the stress-related hormones of the Qi Gong group with the similar amount of movement was seen as unusual. This suggested that Qi Gong may be a positive means of stress-reduction and a useful health-maintenance method in today's stressful society.
著者
戸田 静男
出版者
関西医療大学
雑誌
関西医療大学紀要 (ISSN:18819184)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.49-53, 2011-09-20
著者
亀 節子 前田 〓子 戸田 静男
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸大学紀要 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-12, 2005-05-03

『古写本鍼灸秘書 全』は、独立した内容の三部から成立しており、第一部は、禁忌や経穴を中心とした治療法、第二部は、針治諸虫論、第三部は、中世の病理観や鍼の治療法が記されている。内容、及び字体から判断して、17世紀初頭の写本であると認められるが、この時期は、我が国独自の近世医学の興隆期に相当する。現代では、1989年に開催されたジュネーヴのWHO本部での会議の結果を受け、経穴や経絡を巡って、ほぼ世界共通の認識がなされている。しかし、経穴に関しては、依然流動的な要素もあり、また逆に、有効な治療穴でありながら、時代の波の中に消えてしまった経穴の存在も考えられ得る。従って本写本は、医史学的研究の対象としてばかりでなく、現代の正穴との比較、更には有効と思われる治療法の発掘という見地からも、価値を有すると考えられる。そこで、この写本の翻字を試みた。