著者
王 財源 池田 裕子 遠藤 宏 川本 正純 藤川 治 吉備 登 北村 智 森川 和宥 河内 明
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.25-29, 1997-10-25

『山海経』東山経には"その下箴石多し",『説文解字』にも"〓石をもって病を刺す", 『帝王世紀』には"太昊九針を製し"などの記載文が認められる。中国医学の歴史はその時代の発展状況に応じて,鍼灸医学,漢方医学,気功学も多くの学説が唱えられた。注目すべきことは,何時の時代にしろ,学説,学派の出現が多いほど,学術論争が激しく,また中国医学の発展も加速されていた。今回は学派の地域別,手技別分類を行い,悠久な鍼灸医学発展の歴史を,古代中国文献を参考に明らかにするものである。尚,筆者らはチベット医学,モンゴル医学を調査するために,敦煌の莫高窟を始めとする内陸部にも現地調査を進めるが,これには限界があるため,本文では現在調査中のものを触れずに報告する。
著者
三国 英一 戸田 静男 森田 義之 黒岩 共一 坂口 俊二 川本 正純
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.887-892, 1995-04-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

The levels of stress-related hormones in the blood were measured before and after doing Qi Gong health-maintenance exercises, and a control group of walkers with a similar level of movement selected for the basis of a comparative study. The adrenaline, noradrenaline and growth hormone responses of the Qi Gong group were compared with the pre-exercise values. Although no significant difference was observed immediately after exercise, there was a significant drop in all values 30 minutes after exercising. Similar changes in the blood cortisol were noted in the Qi Gong group and walker group. Compared with the pre-exercise value, both group exhibited significant reduction in blood cortisol both immediately following exercise and 30 minutes after exercise, with the lowest value occurring 30 minutes after exercise. In contrast to the increase in stress-related hormones typical after light exercise that was seen in the walker group, the significant reduction response seen in the stress-related hormones of the Qi Gong group with the similar amount of movement was seen as unusual. This suggested that Qi Gong may be a positive means of stress-reduction and a useful health-maintenance method in today's stressful society.
著者
坂井 友実 津谷 喜一郎 津嘉山 洋 中村 辰三 池内 隆治 川本 正純 粕谷 大智
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.175-184, 2001-05-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

【背景】本邦での鍼に関するランダム化比較試験の試みは数少なく、対照群に鍼治療以外の治療法をおいた研究はほとんどない。本邦において、医療制度の中に鍼灸が位置付いてゆくためには、質の高い臨床研究の結果が求められている。今回の臨床試験はこのような状況を踏まえ鍼を受療することの多い「腰痛症」を対象として行われた。【目的】「腰痛症」に対する低周波鍼通電療法の有効性および安全性を経皮的電気刺激法を対照としたランダム化比較試験により検討する。本試験は1995年9月から1996年6月にかけて瀬踏み的になされた第1期の研究を引き継ぐ第2期に相当する探索的なもので, 第3期の確認的な試験へ向けてのデータ収集の意味を持つ。【対象および方法】下肢症状がなく、発症から2週間以上経過した腰痛患者を対象に低周波鍼通電療法 (A群) と経皮的電気刺激法 (T群) の多施設ランダム化比較試験とした。観察期間は2週間、治療回数は5回とした。通電は各群とも1 Hzで15分間行った。【結果】目標症例数の80例に対して71例の応募者があり、68例が封筒法によりA群とT群に割付けられ、最終的にはA群の31例とT群の33例が解析の対象となった。背景因子として、年齢、罹病期間などには両群間に有意差はみられなかったが、性別、鍼治療経験の有無、経皮的電気刺激法の経験の有無には有意差がみられた。疼痛スケール (以下「VAS」とする) は最終時でA群は5.3±3.0に、T群は5.9±3.4に軽減した。また、主要評価項目であるVASをもとにした痛み改善度の効果判定では、A群は13/31例 (41.9%) に改善がみられ、T群では10/33例 (30.3%) に改善がみられた。さらに、副次的評価項目である日本整形外科学会腰痛治療成績判定基準 (以下「JOAスコア」とする) は初診時14.5±3.0点、T群は15.0±2.8点であったが、最終時では15.9±2.0点と15.8±2.6点であった。しかし、A群とT群の両群問では、VAS及びVASをもとにした痛み改善度JOAスコアにおいて統計学的な有意差はみられなかった。【考察】プロトコールに沿ってデータの収集が行われたことは中央委員会の設立によるところが大きいと考える。目標症例数に達しなかったことは、臨床試験に対する患者の理解が低いことや参加施設のおかれている立地条件が考えられるが、患者募集の仕方にも工夫をしてみる必要があると思われる。また、鍼の効果を立証していくためには介入の方法や評価項目などについて検討していく必要があると思われた。【結論】腰痛症に対するA群とT群との間には有効性の差はみられなかった。第3期へ向けての基礎的データが収集された。
著者
辻本 太郎 奥野 英夫 川本 正純 錦織 綾彦 安雲 和四郎 布谷 晴男 大西 俊造 山口 雄三
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.118-128, 1981

Acupuncture needles were inserted and artificially broken in subcutaneous and muscle tissues in rats. Movement of the needles in the body and histo-pathological changes thus induced were studied in this experiment.<br>The needles moved in the body most often within 2 weeks of the beginning of experiments. The movement was observed more frequently in the needles buried in the foreleg than in other parts of the body. It was supposed that the movement was related to the motility of this part. The thin or short gold needles moved least of all. In contrast, stainless steel needles moved more actively, sometimes being found in the internal organs, such as the liver, testicles, heart and spermatic duct. Most of the needles remaining in the body were encapsulated in connective tissues after several weeks.<br>General implications of the buried needles for a organism were discussed from the histopathological point of view.
著者
坂口 俊二 川本 正純 藤川 治
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.58-63, 1998-06-30
被引用文献数
7

「冷え症」の定義の明確化に向け,富山医科薬科大学の寺渾が試作した「冷え症」調査用問診票(19項目)を参考に,我々が更に5項目を付加した問診票を作成し,一般人153名(男64名,女89名)を対象に調査を行った。さらに,冷えの程度を測定する目的でVisual Analogue Scale(以下,VAS)を併用した。冷えを自覚している人(「冷え症群」)は,男性で全体の26.6%に対し,女性は全体の55.1%で有意に多かった。寺澤は既に19項目の出現頻度を解析し,付帯条項付きの「冷え症」診断基準を掲げている。今回は,24項目について同様に項目出現頻度を「冷え症群」と「健常群」との間で解析を行い,我々の「冷え症」診断基準を設定した。寺澤と我々の「冷え症」診断基準の感度比較では,問診票の結果との合致率は寺澤の基準では男性35.3%,女性74.5%に対し,我々の基準では男性64.7%,女性83%で,我々の基準が男性の「冷え症」を捉える頻度が有意に高かった。「冷え症群」のVASによる比較では,問診票と寺澤ならびに我々の診断基準により選出された「冷え症群」間および男女間で有意差は認められなかった。以上のことから,項目が付加された我々の「冷え症」診断基準は,問診票の結果をより反映し,特に男性の「冷え症」を捉える頻度が高まった。さらに,VASの結果は問診票の精度を裏付けることにつながった。
著者
金井 成行 谷口 典正 川本 正純 遠藤 宏
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.241-244, 2001-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

A pathohysiological study of frozen shoulders was carried out by assessing thermography and deep body thermometry results together with the patients' subjective and objective symptoms. Active and dummy magnets were randomly assigned to patients (18 males and 20 females) in a double-blind study. All patients were magnets for three weeks, and subjective and objective symptoms were observed to be improved significantly 1 week after the application of the active magnets. The skin and deep body temperatures in the painful portion significantly increased with exposure to the active magnets at 2 weeks and 3 weeks after the application.These findings suggest that the static magnetic fields might gradually increase blood circulation.