著者
西口 沙也加 村田 晃一 宇部 尚樹 上野 琴巳 手林 慎一 寺石 政義 奥本 裕 森 直樹 石原 亨
出版者
Pesticide Science Society of Japan
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.191-197, 2018-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
46
被引用文献数
8

イネにおいて1 mM のジャスモン酸を処理することで蓄積量が増加する化合物の探索を行った.その結果,2つの化合物1と2の蓄積量が増加することがわかった.マススペクトルとHPLCにおける保持時間を標準品と比較することで,1と2をそれぞれ13-oxooctadeca-9,11-dienoic acid(13-KODE)および9-oxooctadeca-10,12-dienoic acid(9-KODE)と同定した.これらの化合物の蓄積はイネごま葉枯病菌の感染によっても誘導された.一方で,各KODEをイネの葉に処理すると,抵抗反応に関連する二次代謝産物のサクラネチンやナリンゲニン,セロトニンの蓄積が誘導されたため,これらのKODEが病害応答に関与していることが示唆された.KODEと同じくα,β-不飽和カルボニル構造を持つ化合物について,同様の活性があるか調べたが,KODEの作用は再現されなかった.二次代謝産物の誘導には一定の長さをもった炭素鎖など他の構造因子が必要であると考えられた.
著者
石原 亨 手林 慎一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スワインソニンなどのインドリジジンアルカロイドは、マメ科植物に感染するエンドファイトや病原菌が生産する二次代謝産物である。本研究では、その生理・生態学的役割を明らかにすることを目的とした。まず、新たな分析法を確立した上で、生物活性について調べた。その結果、スワインソニンは鱗翅目昆虫の生育を抑制することを見出した。スワインソニンはムラサキツメクサの防御応答も抑制することがわかった。したがって、スワインソニンは、植物への感染や共生において多面的な役割を果たしていることが示唆された。加えて、スワインソニンの生合成は前駆物質のリジンの生合成と協調的に制御されていることも明らかにした。