- 著者
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伊藤 桂
福田 達哉
荒川 良
- 出版者
- 日本ダニ学会
- 雑誌
- 日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.1, pp.13-24, 2017-05-25 (Released:2017-06-25)
- 参考文献数
- 11
サガミナミハダニはクワクサを主な寄主植物とし,夏から秋にかけて高密度となる.サガミナミハダニがクワクサに適応しているという予測を検証するため,本種における寄主植物の適合性,および野外密度について調査を行い,それらの傾向を普通種のカンザワハダニ(カラムシ寄生)と比較した.葉の質について,サガミナミハダニの食性幅はカンザワハダニより狭く,クワクサでもっとも産卵数と生存率が高かったことから,クワクサに適応している可能性が示唆された.しかし,クワクサ上での産卵数や発育速度はカンザワハダニとは有意差がなかった.一方,野外ではサガミナミハダニとカンザワハダニはそれぞれクワクサとカラムシにしか見られず,サガミナミハダニの葉面積当たり密度はカンザワハダニよりも高かった.この傾向は,クワクサ上では捕食者のケナガカブリダニの密度が低いことと関係している可能性がある.