著者
伊藤 和幸 数藤 康雄 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.495-503, 2000-05-25
被引用文献数
75

重度肢体不自由者のQOL(生活の質)向上を目指し, 眼球運動を利用した視線入力によるコミュにケーション装置の開発を試みた.筋ジストロフィー患者や筋萎縮性側索硬化症患者のような障害者では, 病状の進行に伴い四肢が動かなくなり, 走査選択式装置へのスイッチ操作に眼球の動きを利用せざるを得ないといったケースが出てくる.従来このような障害者は, 上下左右への眼球の動きや目の開閉をスイッチ入力のオンオフに利用していたが, 障害者が見つめた対象をそのまま選ぶことのできる視線入力が実現できるなら, 操作はわかりやすく, 入力効率も上がることになる.本論文では直接選択式による視線入力装置の開発内容とその臨床評価結果について報告する.眼球の運動を随意に制御できる障害者であれば, 視線入力方式だけで手軽に文章作成が可能であることがわかった.
著者
伊藤 和幸 数藤 康雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.31-38, 1996-09-12
被引用文献数
5

何らかの障害や病状の進行により、自分自身による発声や筆談によるコミュニケーションができなくなる障害者が少なからず存在する。このような状況に対するには随意運動が比較的最後まで残る目の動きや瞬きを利用してコミュニケーションをとることが考えられ、現在のところ、瞬きや目の左右の動きを「はい」「いいえ」等としたり、目の開閉をスイッチ入力のON/OFFに利用している例が多い。しかし、視線を入力として利用できる機器があれば、文字盤やメニューボードを直接見つめることで任意の文字やメニューを自由に選択することができ、障害者自身で環境制御等を行ったり、他者とのコミュニケーションを行うことが可能となる。本報告では、被験者が文字盤を見つめる視線を計測・解析し、コミュニケーション機器への入力として使用するにはどのような処理を行えばよいかを検討した