著者
数藤 雅彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.231-237, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
被引用文献数
1

本稿では,インターネット上に公開された肖像が,どのような場合に肖像権の侵害となるか,裁判例の分析を通じて判断基準を解説する。肖像権侵害の判断基準としては,2005年の最高裁判決において,被撮影者の社会的地位や活動内容等の諸要素を総合考慮する手法が示されていたところ,この手法はインターネット上の肖像権侵害を検討する際にも適用可能である。そこで,最高裁が示した6つの考慮要素を軸に,侵害例と非侵害例を多数紹介し,総合考慮における実務的な注意点を解説する。加えて,発信者情報開示請求の問題や,なりすましの問題等,インターネット特有の論点についても裁判例をふまえて解説する。
著者
原田 健一 数藤 雅彦
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.360-366, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)
参考文献数
11

デジタルアーカイブ学会法制度部会は2019年9月に「肖像権ガイドライン(案)」を公にした。今回、新潟大学地域映像アーカイブ研究センター「にいがた 地域映像アーカイブデータベース」の写真を用いて、新潟大学の学生にガイドラインにもとづいた採点とコメントをする調査を実施した。本報告は、学生の採点とコメント等から得られたガイドラインへの示唆について、まず、報告する。その上で、ガイドラインを人びとが映像にどういう社会的意味や価値を付与しているのかを計る尺度として用いることで、デジタル以降の若年層における意識の変容が、自らの意識や行動を規定し、肖像権の問題をも浮かび上がらせていることを明らかにする。
著者
数藤 雅彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.484-490, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)

インターネット上で匿名の第三者に自分の肖像をアップロードされ,肖像権を侵害された場合に,加害者である第三者の氏名や住所等の情報を得るために,プロバイダを被告とする発信者情報開示請求訴訟を提起することが考えられる。この訴訟における肖像権侵害の判断には,関連する法律の規定や事案の特質等をふまえ,通常の損害賠償請求事件とは異なる特徴も見られる。本稿では,裁判例の分析をふまえ,発信者情報開示請求事件における肖像権侵害の判断の特徴を明らかにする。
著者
平野 桃子 柳与 志夫 東 由美子 数藤 雅彦
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.115-118, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
2

紙でのみ発行されていた過去の新聞記事のデジタル化とその活用策を検討することを目的に、2017年に地方紙デジタル化の状況を把握するためのアンケート調査を行なった。本発表では、上記の調査結果から浮き彫りになった課題・問題点を、(1)法制度的・倫理的、(2)社会的、(3)技術的、(4)経済的・制度的課題の4項目に整理し、各項目について、過去及び現在のデジタル化記事を今後活用していくための課題抽出を行なった。