- 著者
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高橋 悟
佐藤 知久
牧口 千夏
- 出版者
- 京都市立芸術大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
本研究「感覚のアーキペラゴ:脱(健常)の芸術とその記録法」は、障害という言葉を割り当てられた創造行為について、健常者を中心に構築されてきた知覚・表現論理や個人・表現・受容者を前提とした従来の芸術論による評価とは異なる視点からのアプローチを目指したものである。方法としては、長年に渡り障害を有した人々の潜在的な可能性をアートを媒介にし、自由な手法で支援しつづけている一般財団法人たんぽぽの家(奈良)での実践的フィールドワークと創作過程の行為分析を中心に進めた。研究の方法としては、「関係的な領野の記述」と「創作としての新たな展示モデル」という2つのテーマを設定し、それらに対応するチーム編成により具体的な作業をすすめていった。具体的には、(1)集団の身体をテーマにしたワークショップから他を排除しない集団行為としてのアホーダンスの考案(2)集団コミュニケーションのワークショップから複数の身体、リズム、音によるラップの実験的な公演。(3)上記2つのワークショップの映像メディアによる実験的な記録である。これらは完成された作品(Art-Works)を現場の文脈と分断して記録・展示するという従来の手法ではなく、生の環境を多感覚的に捉える記録方法や関係的な領野の記述を含む(Art-Documentation)としての試行である。以上のように本年度は、作品という完結したモノの分析からではなく、モノ、集団、環境など活動の現場での相互行為や創作のプロセスに着目した分析を中心に研究を進めた。