著者
岡田 一祐
出版者
日本デジタル・ヒューマニティーズ学会
雑誌
デジタル・ヒューマニティーズ (ISSN:21897867)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.26, 2020-11-20 (Released:2020-11-20)
参考文献数
11
被引用文献数
32

TEIをもとにした日本古辞書の効率的な符号化モデルについて論ずる。日本の古辞書(1615年以前の日本編纂辞書)、具体的には平安時代の漢字字書を本稿では例とする。古辞書はしばしば構造を見いだしがたく資料として利用しにくい。そのような懸隔を構造注記によって補いたい。また、これらの資料を共通のモデルで符号化することで、資料間の構造差が見いだしやすくなることが期待される。ここで用いるスキーマは、TEI(Text Encoding Initiative)で、国際的に用いられている本文符号化の取り決めである。さまざまな符号化の考え方を包摂し、そのなかには辞書や語彙データベースに関するものもある。TEIは現状東アジアの古典的辞書への適用が十分に検討されているわけではないので、符号化に際しては考慮すべきことが多い。本稿では、古辞書に見られるさまざまな要素をどのように符号化することが情報交換において望ましいか論ずる。
著者
岡田 一祐 山本 和明 松田 訓典
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.144-145, 2018

<p>本発表は,日本語の歴史的典籍(明治時代以前の書物)の情報基盤とすべく構築された新日本古典籍総合データベースに関する知見について議論する.国文学研究資料館では,2017年10月に新日本古典籍総合データベースを公開した.これは,日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画の一環で進められた古典籍のデジタル画像化,およびその利活用の基盤として作られたものである.</p><p>新日本古典籍総合データベースは,古典籍に関する総合ポータルたるべく,書誌データのみならず,画像タグなどの画像アノテーションや,全文テキストへの検索機能を通じて,多角的な視点からの古典籍へのアクセスを可能としている.このほかにも,資料へのアクセスの永続性を確保するために,多機関に分散する資料のデジタル画像をデータベースで一元管理し,またデジタルオブジェクト識別子(DOI)を個々の資料に附与するなどして,利用に関する安定性を確保すべく努めている.</p>
著者
岡田 一祐
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.97-83, 2014-10-01

一八八六年、文部省は尋常小学校読書科の教科書(読本)における平仮名字体の導入段階を整理し、ふたつの段階を設け、見本となる読本も刊行を始めた。まず、いろは歌手本に用いられる平仮名を学び、ついでそのほかの平仮名字体を導入したのである。民間出版者の読本も数年内にこの順序に従った。従来注意されてこなかったこの方針は、八六年前後の読本の平仮名字体の観察からあきらかになった。文部省著作教科書にまず現れたこの方針に、すべての民間出版者が自発的に従ったわけでないことは、八六年以降もこの順序どおりでない読本があること、そのなかに検定で不適と指摘されたもののあることから分る。これらの検定意見が採用されなかったことは、この方針が全面的に受け入れられるまでに数年を要したことを説明する。根拠となる法の欠如と消極的な検定により強制しがたかったのである。この方針の確立は一九〇〇年の平仮名字体統一の先蹤と位置附けられる。
著者
岡田 一祐
雑誌
国語国文研究 (ISSN:02890488)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.33-43, 2013-02
著者
岡田 一祐
巻号頁・発行日
2015-03-25

北海道大学. 博士(文学)
著者
岡田 一祐 山本 和明 松田 訓典
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.144-145, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
3

本発表は,日本語の歴史的典籍(明治時代以前の書物)の情報基盤とすべく構築された新日本古典籍総合データベースに関する知見について議論する.国文学研究資料館では,2017年10月に新日本古典籍総合データベースを公開した.これは,日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画の一環で進められた古典籍のデジタル画像化,およびその利活用の基盤として作られたものである.新日本古典籍総合データベースは,古典籍に関する総合ポータルたるべく,書誌データのみならず,画像タグなどの画像アノテーションや,全文テキストへの検索機能を通じて,多角的な視点からの古典籍へのアクセスを可能としている.このほかにも,資料へのアクセスの永続性を確保するために,多機関に分散する資料のデジタル画像をデータベースで一元管理し,またデジタルオブジェクト識別子(DOI)を個々の資料に附与するなどして,利用に関する安定性を確保すべく努めている.
著者
岡田 一祐
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 文学研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature (ISSN:18802230)
巻号頁・発行日
no.45, pp.239-256, 2019-03-15

本稿では、明治二十年前後の国語国字改良運動のうち、仮名文字専用運動のなかでも見過ごされてきた音義派の活動の一端について紹介したい。いしこみつてる(石河光煕)の『いつらのこゑのかむがへ』(一八八六)は、仮名文字専用運動の一大組織かなのくわいでは圧倒的少数派であった音義派の声を伝えるものとして貴重である。貴重な資料を影印するとともに、かなのくわいにおける音義派の位置づけを検討しつつ、本書をかなのくわい史にどのように据えるべきか検討する。In this article, we will introduce some aspect of the activities of the Ongi-ha, or phonosemantic school — an actor that has been overlooked within the kana-only writing system movement during the Japanese language and script reform movements around Meiji 20 (1887). The Ongi-ha school, who adopted the idea that Japanese words consist of the meaning of each sound, had little, if not nothing, presence in the kana-only writing movement. Itsura no koe no kangae (1886) by Ishiko Mitsuteru is invaluable in that we can find in it the voice of the Ongi-ha school as an overwhelming minor group among the Kana-no-kwai, the largest union in the kana-only writing system movement. By reproducing this valuable material in facsimile, we will discuss how this little book can be placed in the history of the Kana-no-kwai, considering the position of the Ongi-ha school in the Kana-no-kwai.
著者
岡田 一祐
出版者
千葉大学文学部日本文化学会
雑誌
語文論叢 (ISSN:03857980)
巻号頁・発行日
no.27, pp.26-42, 2012-07