著者
武藤 徹一郎 小西 富夫 上谷 潤二郎 杉原 健一 久保田 芳郎 安達 実樹 阿川 千一郎 斉藤 幸夫 森岡 恭彦 沢田 俊夫
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.492-499, 1983

教室におけるCrohn病17例の経験を報告し,最近の外科的治療方針の動向について文献的考察を行った.手術は9例に行われ,残る8例はいずれも経静脈栄養によって管理することができた.9例中6例には吻合術が可能であった,痔瘻は8例に合併していたが,7例は通常痔瘻と性状が変わらず,lay openにて治癒した.<BR>欧米ではCrohn病に対する外科的治療として,小範囲切除を行う一派と広範囲切除を行う一派とがあり,主として前者には英米の専門家が,後者にはスカンジナビア,ドイツの専門家が属している.広範囲切除派は術中の凍結切片標本の検索により,病変の取り残しを防ぐことを主張している.これら欧米のCrohn病に対する外科治療方針の現況を紹介し,われわれの方針についても述べた.
著者
小西 文雄 古田 一裕 斉藤 幸夫 片岡 孝 柏木 宏 岡田 真樹 金澤 暁太郎 菅原 正 篠原 直宏
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.789-796, 1994 (Released:2011-06-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

直腸癌に対する術前放射線化学治療において, 温熱療法を加えることによる腫瘍壊死効果の増強について検討した.A群 (18例) では放射線温熱化学併用治療を, B群 (18例) では放射線化学治療を施行した.放射線照射は総量40.5Gy, Whole Pelvisの照射野で施行した.温熱療法は, 8MHzRadiofrequencyを用いて1回50分計5回施行した.また, 5-nuorouracil坐薬1日200mg計3,400mgを投与した.治療前後で施行した下部消化管注腸造影における腫瘍の縮小率の平均値は, A群では31.8%, B群では18.2%であり, A群において有意に縮小率が高かった.切除標本の病理組織学的所見における治療効果を, 胃癌取扱い規約の規準に従って評価した結果, A群ではB群と比較して有意により高度な腫瘍の変性や壊死が認められた.以上より, 温熱療法を併用することによって治療効果が増強されることが示され, 放射線温熱化学併用治療は直腸癌の術前治療法として有用であろうと考えられた.