著者
武藤 徹一郎 上谷 潤二郎 沢田 俊夫 杉原 健一 草間 悟
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.241-247, 1981-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
5

内視鏡的ポリープ摘除によって診断した早期癌(m,sm癌)21病変中7病変の周囲粘膜に内視鏡的に観察しうる白斑を認めた.同時期に観察した良性腺腫には,同様の所見は1例にしか認められなかった. 組織学的には,この白斑はH.E.で淡く染まる顆粒を含有する組織球の,表層上皮直下の粘膜固有層への集簇よりなっており,PAS-alcian blueで淡青色に,Mucicarmine,Toluidine blueで弱陽性に染った.電顕では,electron-densityのない円形顆粒の中に,わずかにdensityのある顆粒が混在して認められた.組織化学的にはこの白斑の性状はMuciphageに最も類似していると考えられた.その本態については,いくつかの可能性が示唆されたが,完全には解明しえなかった。 この所見は,良性腺腫・大腸腺腫症の腺腫の周囲粘膜,潰瘍性大腸炎などにも稀に見出されたが,内視鏡的にポリープ周囲粘膜に白斑を認めた場合には,悪性を強く疑うことができるという点で,臨床的に重要な所見であることを指摘した.
著者
杉原 健一 林 良嗣
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-74, 2006 (Released:2011-12-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

建物ポリゴンとは、GISで蓄積及び管理される電子地図上の建物境界線のことである。我々はこの建物ポリゴンに基づいて、3次元建物モデルを自動生成するGISとCGの統合化システムを提案する。3次元都市モデルは、都市計画、まちづくり、防災、景観評価、交通工学等のアカデミックな分野から公共事業の情報公開、まちづくりへの住民参加の場として利活用が期待される重要な「情報基盤」である。しかし、現状では、3次元都市モデルの主要な構成物である建物を3次元モデリングするのに、多大な時間と労力をかけている。そこで、本研究では、頂角が直角である建物ポリゴンを分割し、長方形の集まりとし、その上に建物の3次元モデルを配置して、3次元建物モデルを自動生成するアルゴリズムを提案する。分割する際、短冊状の長方形とならないように数ある分割線の中から、長方形の縦横比が1に近くなる分割線を採用して、分割処理を行い正方形に近い四角形の集まりとする手法を示す。
著者
山西 良典 杉原 健一郎 井上 林太郎 松下 光範
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.155-162, 2015 (Released:2015-02-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

Comic has, recently, been known as one of the most beloved entertainment and affective medium in the world. This paper describes about extraction of Kansei highlight from comic using social data. There seems to be Kansei highlight that most people approve in comic, because several related books where impressive scenes and captions for a comic are gathered are published. Through the experiments on impressions, we obtained social data for comics. We used the social data to extract Kansei highlight from comic. Through the three types of experiments, we confirmed that social data was available for extracting Kansei highlight from comic. Moreover, we designed the interface of social reading system for comic considering interaction on existing social service. We believe that the extraction of Kansei highlight from comic using social data increases attraction of digital comic.
著者
沈 振江 川上 光彦 杉原 健一 黄 光偉 馬 妍 鈴木 克徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、2007 年から国土主体機能区計画における中国の環境問題の取り込みを明らかにした上、2009 年5 月から国家戦略として発足した海西経済区を取り上げ、発展計画の段階にCO2の排出量削減を計画し、地域開発の事業地区のエネルギ評価指標を事業評価にしていることを明らかにした。低炭素都市づくりの実現には、持続可能な開発モデル地区として選ばれた平タン実験区、アモイ市では、地域開発のフレームワークの検討には、国の21Agendaによって作成された持続可能な開発の評価指標を適用していること、都市空間戦略レベルでは、新材料、グリーン建築、公共交通などの面で計画基準を設けていることを明らかにした。
著者
武藤 徹一郎 小西 富夫 上谷 潤二郎 杉原 健一 久保田 芳郎 安達 実樹 阿川 千一郎 斉藤 幸夫 森岡 恭彦 沢田 俊夫
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.492-499, 1983

教室におけるCrohn病17例の経験を報告し,最近の外科的治療方針の動向について文献的考察を行った.手術は9例に行われ,残る8例はいずれも経静脈栄養によって管理することができた.9例中6例には吻合術が可能であった,痔瘻は8例に合併していたが,7例は通常痔瘻と性状が変わらず,lay openにて治癒した.<BR>欧米ではCrohn病に対する外科的治療として,小範囲切除を行う一派と広範囲切除を行う一派とがあり,主として前者には英米の専門家が,後者にはスカンジナビア,ドイツの専門家が属している.広範囲切除派は術中の凍結切片標本の検索により,病変の取り残しを防ぐことを主張している.これら欧米のCrohn病に対する外科治療方針の現況を紹介し,われわれの方針についても述べた.
著者
林 良嗣 谷口 守 土井 健司 佐々木 葉 杉原 健一 冨田 安夫
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

人口減少・少子高齢化が早く進む地方都市において,郊外からの計画的撤退と中心市街地の再構築が必要であることを示し,さらにその具体的な方法論を明らかにするために,愛知県豊田市をスタディエリアとして,以下の検討を行った.1.将来状況予測:人口予測に基づき,市内各地点の居住環境質,インフラ維持コスト,環境負荷を計測し,郊外部での悪化傾向を示し,人口減少・少子高齢化が進行する地方都市では双対型都市戦略(郊外からの撤退・中心市街地の再構築)の必要性を示した.さらに,今後の都市域縮小策による社会基盤整備コスト削減効果を世代会計の手法を用いて評価した.2.政策目標運成度指標:QoLインディケータを適用した欧米の事例調査に基づき,わが国の都市構造検討に適用可能なQoL・市街地維持コスト・環境負荷の面からなる多元的評価手法を開発した.さらに,QoL向上を可能とする都市構造として分散集中型構造の提案を行った.3.市街地デザイン:街区デザイン検討のための3次元都市モデル自動生成システムの開発を行った.,これを用いて,複数のシナリオにもとづく将来の建物の更新結果の景観を予測評価し,現状の容積率の引き下げ(ダウンゾーニング)の案などを提示した.一方,中心市街地再構築に必要不可欠な自動車依存脱却策の1つとして,自動車共同利用に着目し,国内の事業化事例を対象とした分析を行った結果,自動車保有台数削減等の環境改善効果が観測された.4.事業化検討:日本の密集市街地整備事業の現状と課題を整理し,民間非営利組織による密集市街地整備事業の先進的な事例分析に基づいて,民間非営利組織の役割および特徴について明らかにした.また,TDR制度導入による郊外田園の開発抑制と,都市空間の広域的管理手法としての開発権取引の導入効果について検討した.
著者
杉原 健一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.28-36, 1984 (Released:2007-12-26)
参考文献数
31

本邦では右側大腸憩室症が高頻度に認められるが, その成因は不明である. 著者は右側大腸憩室症の発生病態を解明する目的にて, 右側大腸憩室症患者13例と正常者10例の上行結腸に大腸内視鏡を用いて Mikro-Tip 圧力トランスデューサーを留置し, 腸管内圧を測定した. 安静時, 右側大腸憩室症群の運動指数は正常群よりも高い値を示した. Neostigmine 静注後, 両群ともにおいて高圧の波が多数出現したが, 特に憩室症群では正常群に比べよい高圧の波がより高頻度に出現し, 憩室症群の運動指数は正常群より有意に高い値であつた. また, 憩室症群のうち有症状群と無症状群の間には腸運動に差を認めなかつたが, 憩室症の無症状群の運動指数は安静時, neostigmine 刺激後のいずれにおいても正常群より有意に高値であつた. さらに, このような腸管内圧を上昇させる圧力波は segmental contractiom により発生した波であつた. これらの観察結果から, 上行結腸における腸管内圧の上昇および腸運動異常が右側大腸憩室症の発生に重要な役割を演じていると考えられる.
著者
本橋 英明 小畑 満 森本 慎吾 加藤 俊介 桑山 隆志 岡本 直子 石田 孝雄 杉原 健一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1939-1943, 2004 (Released:2011-06-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

症例は86歳の女性で, 腹痛を主訴に外来受診し, 腹部単純X線検査にて腸閉塞と診断され入院となった. ガストログラフィン注腸検査ではS状結腸に高度の狭窄が見られ, 腹部造影CTで同部位に浮腫性変化による壁肥厚と憩室を認めたため, 憩室炎による腸閉塞と診断した. 大腸内視鏡は, 腸の屈曲が強く病変部まで挿入できなかった. 開腹するとS状結腸周囲は炎症が激しく, 強固に癒着していたが剥離可能であった. 口側の大腸は著しく拡張していたため大腸亜全摘を施行した. 切除標本の肉眼所見ではS状結腸は約6cmの壁肥厚を伴う狭窄が見られた. 病理組織学的所見では異型性のない大腸粘膜と, 筋層の肥厚, 著しい炎症細胞浸潤が認められ, 憩室による筋層の肥厚に, 浮腫性の変化が加わって狭窄がおきたと考えた. 悪性所見は認めなかった. 大腸憩室症の合併症は多彩であるが, 腸閉塞となり, 手術を要した症例の報告は少ないことから, 文献的考察を加えて報告する.
著者
大川 卓也 仁瓶 善郎 山下 俊樹 林 哲二 杉原 健一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.73-77, 2004-01-01
被引用文献数
14

腸開腹デスモイド腫瘍はまれな疾患で,家族性大腸腺腫症,手術,外傷,妊娠などの既往を有する症例に発生することが多い.今回我々は,小腸間膜原発デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は58歳の男性で,56歳時に食道癌の手術を受けた.腹部腫瘤触知・腹痛を主訴に近医受診,腹部腫瘤と診断され当科紹介となった.腹部超音波・CT・MRI・血管造影検査にて小腸間膜に境界比較的明瞭な腫瘤を認め,小腸間膜充実性腫瘍と診断し,腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は110×65×58mmで,組織学的には分化した線維芽細胞と豊富な膠原線維からなり,核分裂像は認めず,Masson染色で青染,Vimentin染色陽性にてデスモイド腫瘍と診断した.腸開腹腫瘍の術前質的診断は困難なことが多いが,本症例のように画像上腫瘍血管像を認めない充実性腫瘍の場合,デスモイド腫瘍も念頭において手術に臨むべきである.