著者
大沼 保昭 斎藤 民徒 川副 令 豊田 哲也 伊藤 一頼 申 惠〓 王 志安 伊藤 剛
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本共同研究は、多極化・多文明化へと向かう今日の国際社会の現実が、欧米中心の現行国際法秩序の再考を迫っているという問題意識の下、21世紀の国際社会の現実に即した国際法秩序のあり方を模索し、研究の公刊を通じてその理解を広めることを目指すものであった。その際特に、世界人口の過半数を占め、歴史的に豊かな文明を生み出しながらも、国際法秩序の形成にその地位に見合った役割を果たすことなく、欧米中心の国際法秩序の消極的受容者と見なされてきたアジアの存在に着目し、21世紀の国際法秩序におけるアジアの位置、その貢献可能性を明らかにした。
著者
斎藤 民 近藤 克則 村田 千代栄 鄭 丞媛 鈴木 佳代 近藤 尚己 JAGES グループ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.596-608, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
39
被引用文献数
24

目的 生きがいや社会的活動参加の促進を通じた高齢者の健康づくりには性差や地域差への考慮が重要とされる。しかしこれらの活動における性差や地域差の現状は十分明らかとはいえない。本研究では高齢者の外出行動と社会的・余暇的活動の性差と地域差を検討した。方法 Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES)プロジェクトが2010年~2012年に実施した,全国31自治体の要介護認定非該当65歳以上男女への郵送自記式質問紙調査データから103,621人を分析対象とした。分析項目は,週 1 日以上の外出有無,就労有無,団体・会への参加有無および月 1 回以上の参加有無,友人・知人との交流有無および月 1 回以上の交流有無,趣味の有無を測定した。性,年齢階級(65歳以上75歳未満,75歳以上),および地域特性として都市度(大都市地域,都市的地域,郡部的地域)を用いた。年齢階級別の性差および地域差の分析にはカイ二乗検定を実施した。さらに実年齢や就学年数,抑うつ傾向等の影響を調整するロジスティック回帰分析を行った(有意水準 1%)。また趣味や参加する団体・会についてはその具体的内容を記述的に示した。結果 年齢階級別の多変量解析の結果,男性は有意に週 1 回以上の外出や就労,趣味活動が多く,団体・会への参加や友人・知人との交流は少なかった。ほとんどの活動項目で都市度間に有意差が認められ,郡部的地域と比較して大都市地域では週 1 回以上外出のオッズ比が約2.3と高い一方,友人との交流のオッズ比は後期高齢者で約0.4,前期高齢者で約0.5であった。性や都市度に共通して趣味の会の加入は多い一方,前期高齢者では町内会,後期高齢者では老人クラブの都市度差が大きく,実施割合に30%程度の差がみられた。趣味についても同様に散歩・ジョギングや園芸は性や都市度によらず実施割合が高いが,パソコンや体操・太極拳は性差が大きく,作物の栽培は地域差が大きかった。結論 本研究から,①外出行動や社会的・余暇的活動のほとんどに性差や都市度差が観察され,それらのパターンが活動の種類によって異なること,②参加する団体・会や趣味の内容には男女や都市度に共通するものと,性差や都市度差の大きいものがあることが明らかになった。以上の特徴を踏まえた高齢者の活動推進のための具体的手法開発が重要であることが示唆された。
著者
大久保 豪 斎藤 民 李 賢情 吉江 悟 和久井 君江 甲斐 一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1050-1058, 2005-12-15
参考文献数
30
被引用文献数
5

<b>目的</b>&emsp;介護予防事業における男性高齢者の参加割合は少ないと言われている。より効果的,効率的な介護予防事業の実施のために,男性の参加を促す必要があるが,その参加に関わる要因を検討した研究はこれまでに行われていない。本研究では,介護予防事業例の検討を通じて男性高齢者の介護予防事業への参加に関わる事業側の要因を探り,男性高齢者の参加を促進するために有益な知見を得ることを目的とした。<br/><b>方法</b>&emsp;平成14年 3 月に厚生労働省老健局計画課がまとめた『介護予防事例集』に掲載されている介護予防事業例を検討した。事例数は32自治体73事例である。事例集に掲載のない男女別参加人数,より詳細な事業特性について把握するために自治体への電話調査を行った。分析項目は内容,目的,対象者,周知方法,企画立案段階における地域高齢者の参画度,活動内容設定に関する参加者の参画度および地域特性である。男女別参加者数を把握できた事例のうち,参加者の少ない 1 事業と参加型の事業ではない 2 事業を除外した29事例を対象に男性参加割合と特性との関連を分析した。<br/><b>結果</b>&emsp;約50%は男性の参加割合が20%未満であった。総人口が 1 万人未満,高齢化率が20%以上,茶話・ふれあいサロン系の内容,当該年齢以上の住民全員対象,民生委員等へのチラシ配布による周知に該当する事業で非該当事業に比べて統計的有意に男性参加割合が低かった(<i>P</i><.10)。統計的有意では無かったものの,第 1 次産業就業人口割合が10%以上,転倒予防目的に該当する事業で男性参加割合が低く,教養,健康情報の講義という事業内容に該当する事業で男性参加割合が高い傾向がみられた。<br/><b>結論</b>&emsp;男性高齢者の介護予防事業への参加割合が低い現状が明らかになるとともに,茶話やふれあいサロンのような内容など事業要因との関連がみられた。今後は,より代表性の高い標本を用いた研究を行うほか,同一自治体における事業間比較や,地域住民調査により参加に関連する個人的要因の把握も通じ,男性高齢者が参加しやすい事業のあり方についてさらに検討を進めるすることが重要と考えられる。
著者
斎藤 民 近藤 克則 村田 千代栄 鄭 丞媛 鈴木 佳代 近藤 尚己 JAGES グループ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.596-608, 2015

<b>目的</b> 生きがいや社会的活動参加の促進を通じた高齢者の健康づくりには性差や地域差への考慮が重要とされる。しかしこれらの活動における性差や地域差の現状は十分明らかとはいえない。本研究では高齢者の外出行動と社会的・余暇的活動の性差と地域差を検討した。<br/><b>方法</b> Japan Gerontological Evaluation Study (JAGES)プロジェクトが2010年~2012年に実施した,全国31自治体の要介護認定非該当65歳以上男女への郵送自記式質問紙調査データから103,621人を分析対象とした。分析項目は,週 1 日以上の外出有無,就労有無,団体・会への参加有無および月 1 回以上の参加有無,友人・知人との交流有無および月 1 回以上の交流有無,趣味の有無を測定した。性,年齢階級(65歳以上75歳未満,75歳以上),および地域特性として都市度(大都市地域,都市的地域,郡部的地域)を用いた。年齢階級別の性差および地域差の分析にはカイ二乗検定を実施した。さらに実年齢や就学年数,抑うつ傾向等の影響を調整するロジスティック回帰分析を行った(有意水準 1%)。また趣味や参加する団体・会についてはその具体的内容を記述的に示した。<br/><b>結果</b> 年齢階級別の多変量解析の結果,男性は有意に週 1 回以上の外出や就労,趣味活動が多く,団体・会への参加や友人・知人との交流は少なかった。ほとんどの活動項目で都市度間に有意差が認められ,郡部的地域と比較して大都市地域では週 1 回以上外出のオッズ比が約2.3と高い一方,友人との交流のオッズ比は後期高齢者で約0.4,前期高齢者で約0.5であった。性や都市度に共通して趣味の会の加入は多い一方,前期高齢者では町内会,後期高齢者では老人クラブの都市度差が大きく,実施割合に30%程度の差がみられた。趣味についても同様に散歩・ジョギングや園芸は性や都市度によらず実施割合が高いが,パソコンや体操・太極拳は性差が大きく,作物の栽培は地域差が大きかった。<br/><b>結論</b> 本研究から,①外出行動や社会的・余暇的活動のほとんどに性差や都市度差が観察され,それらのパターンが活動の種類によって異なること,②参加する団体・会や趣味の内容には男女や都市度に共通するものと,性差や都市度差の大きいものがあることが明らかになった。以上の特徴を踏まえた高齢者の活動推進のための具体的手法開発が重要であることが示唆された。