著者
宮田 裕章 大久保 豪 吉江 悟 甲斐 一郎
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.83-94, 2011 (Released:2011-02-25)
参考文献数
69
被引用文献数
1 3

Debate about the relationship between quantitative and qualitative paradigms is often muddled and confusing and the clutter of terms and arguments has resulted in the concepts becoming obscure and unrecognizable. In this study we conducted content analysis regarding evaluation methods of qualitative healthcare research. We extracted descriptions on four types of evaluation paradigm (validity/credibility, reliability/credibility, objectivity/confirmability, and generalizability/transferability), and classified them into subcategories. In quantitative research, there has been many evaluation methods based on qualitative paradigms, and vice versa. Thus, it might not be useful to consider evaluation methods of qualitative paradigm are isolated from those of quantitative methods. Choosing practical evaluation methods based on the situation and prior conditions of each study is an important approach for researchers.
著者
武田 裕子 大滝 純司 高橋 都 甲斐 一郎 稲福 徹夜 高屋敷 明由美 大滝 純司 高橋 都 甲斐 一郎 森尾 邦正 稲福 徹也 高屋敷 明由美 安井 浩樹 武村 克哉
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本調査では、医師が専門とする診療科および勤務地選択の際の要因や関連する因子を探るべく、全国の医学部4年生・6年生ならびに研修医を対象に、アンケート調査を実施した。また、すでに専門診療科をもって診療している医師会会員(3県)にも同様の調査を実施した。回答者の属性や個人的な体験・考え方、生育地の規模が特定の診療科選択や最終的な勤務地の決定に影響することが見出された。回答した学生・研修医の2/3がへき地勤務を肯定的にとらえていることがわかった。また、勤務地の決定には生育地の規模が大きく影響していた。
著者
谷山 牧 荒木田 美香子 山下 留理子 橋本(小市) 理恵子 大久保 豪 甲斐 一郎
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.263-273, 2018 (Released:2019-02-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】就労支援を受ける生活保護受給者,生活困窮者自立支援法対象者(以下,生活困窮者)31名への面接調査を通じ,就労意欲に影響を与える健康特性を明確化すること.【結果】質的分析の結果,【他者から理解されがたい持続的な苦痛】,【ストレスへの脆弱さ】,【社会的適応の困難さ】,【自己流の健康管理】の4カテゴリーを抽出した.また,就労意欲への影響要因として,【就労することへの期待】,【生活保護廃止への不安と葛藤】,【社会から排除されているという感覚】の3カテゴリーを抽出した.これらが関連し〖健康課題を抱えながらの就労と,生活保護受給継続との間での就労意欲のゆらぎ〗を引き起こしていた.【結論】今回抽出した健康特性からみると,生活困窮者の就労支援に医療や心理の専門職が参加することにより,効果的な就労支援につながる可能性が示唆された.
著者
水木 麻衣子 高橋 都 甲斐 一郎
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.222-231, 2010 (Released:2011-09-14)
参考文献数
71
被引用文献数
1

看護師の役割拡大に対する認識は立場によって異なり,関係者間でコンセンサスが得られにくいため潜在的な問題を把握できないまま政策課題の設定がなされる可能性がある.本研究では,看護師の処方権導入にあたり利害関係者間の問題を明らかにするために文献研究を行った.その結果,処方権をもつ看護師と利害関係者間には認識の「ずれ」があり,処方権をもつ看護師の処方実践の障害になっていること,「ずれ」を調整する仕組みがないことがわかった.
著者
大久保 豪 斎藤 民 李 賢情 吉江 悟 和久井 君江 甲斐 一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1050-1058, 2005-12-15
参考文献数
30
被引用文献数
5

<b>目的</b>&emsp;介護予防事業における男性高齢者の参加割合は少ないと言われている。より効果的,効率的な介護予防事業の実施のために,男性の参加を促す必要があるが,その参加に関わる要因を検討した研究はこれまでに行われていない。本研究では,介護予防事業例の検討を通じて男性高齢者の介護予防事業への参加に関わる事業側の要因を探り,男性高齢者の参加を促進するために有益な知見を得ることを目的とした。<br/><b>方法</b>&emsp;平成14年 3 月に厚生労働省老健局計画課がまとめた『介護予防事例集』に掲載されている介護予防事業例を検討した。事例数は32自治体73事例である。事例集に掲載のない男女別参加人数,より詳細な事業特性について把握するために自治体への電話調査を行った。分析項目は内容,目的,対象者,周知方法,企画立案段階における地域高齢者の参画度,活動内容設定に関する参加者の参画度および地域特性である。男女別参加者数を把握できた事例のうち,参加者の少ない 1 事業と参加型の事業ではない 2 事業を除外した29事例を対象に男性参加割合と特性との関連を分析した。<br/><b>結果</b>&emsp;約50%は男性の参加割合が20%未満であった。総人口が 1 万人未満,高齢化率が20%以上,茶話・ふれあいサロン系の内容,当該年齢以上の住民全員対象,民生委員等へのチラシ配布による周知に該当する事業で非該当事業に比べて統計的有意に男性参加割合が低かった(<i>P</i><.10)。統計的有意では無かったものの,第 1 次産業就業人口割合が10%以上,転倒予防目的に該当する事業で男性参加割合が低く,教養,健康情報の講義という事業内容に該当する事業で男性参加割合が高い傾向がみられた。<br/><b>結論</b>&emsp;男性高齢者の介護予防事業への参加割合が低い現状が明らかになるとともに,茶話やふれあいサロンのような内容など事業要因との関連がみられた。今後は,より代表性の高い標本を用いた研究を行うほか,同一自治体における事業間比較や,地域住民調査により参加に関連する個人的要因の把握も通じ,男性高齢者が参加しやすい事業のあり方についてさらに検討を進めるすることが重要と考えられる。
著者
吉江 悟 高橋 都 齋藤 民 甲斐 一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.522-529, 2004 (Released:2014-08-29)
参考文献数
19

目的 行政保健師は,介護保険が実施される以前から高齢者介護サービス提供に携わるなかで,高齢者ケアマネジメントの経験・知識を蓄積してきた。原則としてその役割が介護支援専門員へ移管された介護保険施行後も,様々な対象からの相談対応を行っている。本研究では,高齢者在宅介護における対応困難事例のうち,これまであまり焦点の当てられなかった同居家族が問題の主体となるものに焦点を絞り,行政保健師の視点からみてどのような状況が対応困難と認識されているか明らかにし,具体的内容の類型化を行うことを目的とした。方法 人口67,000人,高齢化率約19%の長野県 A 市の平均経験年数10年の行政保健師に対し,同居家族が問題の主体となる対応困難事例の具体的内容を探る目的で,約90分のフォーカスグループインタビューと,1 人平均約60分の個別インタビューを実施し,インタビュー内容を質的に分析した。フォーカスグループインタビューには 6 人の保健師が参加し,個別インタビューはフォーカスグループインタビューの参加者 4 人を含む計 5 人に対して実施した。結果 同居家族が問題の主体となる対応困難事例について,「生じている介護の問題」と,その背景要因としての「同居家族の背景」の 2 つの大カテゴリーに関して,その具体的内容が分類された。 「同居家族の背景」に含まれるカテゴリーとして「1)精神・知的障害がある」,「2)介護意欲が低い」,「3)人間関係が悪い」,「4)他人が家に入ることに抵抗がある」,「5)金銭面の問題がある」が抽出され,「生じている介護の問題」に含まれるカテゴリーには「a)家族による介護量の不足」,「b)サービスの受け入れ拒否」,「c)介護における逸脱行動」が抽出された。結論 同居家族が問題の主体となる高齢者在宅介護の対応困難事例について具体的内容の類型化を行った。今回挙げられたような背景を同居家族がもつ場合には,将来対応困難となる可能性を考慮することが重要である。
著者
赤林 朗 甲斐 一郎 久保木 富房 吾郷 晋浩 末松 弘行
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.517-527, 2001-10-01
被引用文献数
1

心身医療・心理療法領域におけるカルテ開示の意識に関連する要因を明らかにし, 今後の方向性を考察するため, 日本心身医学会の会員を対象に, 郵送による無記名・自記式質問紙調査を行った(回収率62%).回答者の多数は, カルテ開示の問題に関心・知識をもっており, カルテの一部あるいは全面開示に基本的に賛成を示した.一方, 心理療法におけるカルテ開示についての意識は二分した.重回帰分析の結果, 病名・病状の説明等に困った経験, 精神分析療法をしばしば用いることが, カルテ開示に消極的な意識に有意に関連していた.心理療法におけるカルテ開示の問題は, 各心理療法や個別疾患の特徴に沿った議論を行う必要性があると考えられた.
著者
渡邊 祐紀 赤林 朗 池田 智子 富田 真紀子 渡辺 直紀 甲斐 一郎
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.111-119, 2000-09-13
被引用文献数
3

高齢化社会を迎えつつある現在、医療現場における高齢者の治療法決定への参加のあり方は、早急に検討するべき課題となっている。本研究では、心肺蘇生法(CPR)を取り上げ、寿命があと2、3ヵ月の末期癌の入院患者において、CPR施行の決定者、CPR施行の希望、患者本人の意向と家族や周囲の者の意見が異なった際の対応等について、中・高齢者(50歳以上)を対象に面接による意識調査を行い、CPR施行について意思決定の過程を考察した。調査は1999年5月〜6月に都内A寺において行われ、110名より有効回答が得られた。解析の結果、患者自身による治療法決定の考え方(自己決定)が中・高齢者の間に浸透していることが明らかになり、CPR施行を希望しないという回答者が多数を占めた。また、決定者間で意見に不一致が見られた場合には、必ずしも患者本人の意向を優先しなくてもよいとする傾向や、おかれた状況が患者本人か家族であるかによって、回答内容が変化する傾向も明らかになった。
著者
赤林 朗 甲斐 一郎 伊藤 克人 津久井 要
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-40, 1997-09-08
被引用文献数
9

アドバンス・ディレクティブ(事前指示)とは、患者あるいは健常人が、将来判断能力を失った際に、自らに行われる医療行為に対する意向を前もって示すことである。今後の日本の医療現場における患者の意思表示の具体的なあり方を模索するために、人間ドック男性受診者を対象に「治療に関する事前の意思表示」についての知識、経験、意識を問う自記式アンケート調査を行った。有効回答は210部で、81.9%の者が何らかの形で事前の意思表示を示しておきたいと回答した。意向を残しておきたい内容は、終末期の治療方針、病名の告知、臓器提供の意思などについてが多かった。また、意思表示の方法は、だいたいの方針を口頭で家族や知人に伝えておき、代理の決定者は家族または親戚とし、法的整備の必要性はあまり強く意識しない、という回答が多く認められた。最後に今後の日本における患者の意思表示のあり方についての考察を加えた。