著者
ジュリアノ ボッチ ルイジ リッツィ 斎藤 衛
出版者
日本言語学会
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.154, pp.29-51, 2018 (Released:2019-06-04)
参考文献数
52

イタリア語左方周縁部における焦点句とwh句の共起は,主文では文法的に不適格であるが,補文内では許容度が向上する。また,焦点句とwh句の共起制限は,焦点句の文法機能によっても左右される。例えば,焦点句が間接目的語であれば,直接目的語の場合に比べて許容度が高い。本論文では,まず,これらの一般化を,文法性判断に関する実験研究により裏付ける。次に分析を提示して,特に,主文と補文の非対称性を,統語と意味のインターフェイスにおける焦点文,wh疑問文の構造から導く提案を行う。この分析は,一般的に二重焦点が排除されることを含意するが,最後に日本語の関連する現象を取り上げて,その普遍性を検証する。具体的には,wh疑問文において観察される介在効果が,同様の分析により説明されること,また,いわゆる多重焦点分裂文がこの分析と矛盾するものではないことを示す。
著者
坂本 元子 杉浦 加奈子 香川 芳子 池上 幸江 江指 隆年 倉田 忠男 斎藤 衛郎 鈴木 久乃 八尋 政利 吉池 信男
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.311-317, 2001-10-10
被引用文献数
5 1

食品に含有する栄養成分についての表示が国際的な流れの中で, 急速に, また複雑な形で市場に出回ってきている。そのため, 厚生労働省では「栄養成分表示基準制度」を平成8年に発足し, 国民の普及啓発がすすめられている。食品表示制度の発足と市場にあふれる食品表示情報に対し, 消費者はどのような対応をし, どのように活用しているのか, さらに表示の内容, 方法, それに対する意識について調査をし, 消費者の現状について検討した。表示があることは約70%の人が認知しているが, 毎日の使用はまだ低率である。表示栄養素のニーズは, 主要栄養素を中心に女子ではエネルギー, 脂肪が多く, 男子ではミネラル類が多い。しかし, 日本人に不足している栄養素, カルシウムや鉄分, 過剰なもの, 脂肪やコレステロールについては表示へのニーズが高く見られた。表示の活用目的では男女, 年齢を問わず, 健康上の理由や食べ物に注意が必要なときが多く, 健康意識の高まりや健康維持のために使用を目指す人が多く, とくに高齢者層に多く見られている。栄養成分表示の利用について主要なポイントは,「自分の必要量がわからない」ために, どれくらいとっていいかが不明であるという指摘が見られた。今後の表示内容・方法の検討に重要な示唆となるであろう。