著者
阿部 真大 中島 健太 新妻 実保子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.651-656, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20

仮想空間でのスムーズな作業を行うためには,空間を正確に認識し,三次元空間内の物体などの情報を直感的に扱えることが重要である.本研究では,HMDを用いた両眼視差に基づく立体視と.距離画像センサによる身体動作計測を融合したVRゲームを構築した.また,没入感や操作性を高めるために,振動グローブを用いて触覚情報を提示した.実験により,実スケールの身体動作,三次元立体視,触覚提示による物体操作の有用性を検証した.その結果,立体視によってゲームの印象が向上し,実スケール身体動作によりゲームのスコアが向上することが確認された.
著者
新妻 実保子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では、人とロボットの長期的なコミュニケーションを目指して、人と犬の関係に着目し、ロボットの行動モデルを構築した。特に、犬の人への愛着行動は人と犬の社会的関係を築く上で基礎的な振る舞いであると考え、犬の愛着行動をモデル化し、ロボットへ適用した。また、犬の行動特性の要因となるパラメータ(人へのなつき度と不安への感受性)を導入し、異なる行動特性を示すロボットの愛着行動モデルを構築した。また、人とロボットの直接的なインタラクションとしてボール遊びや誘導行動の実現に取り組んだ。人はロボットの振る舞いを適切に解釈できるか、インタラクションの頻度がどのように変化するか、という点から評価を行った。
著者
新妻 実保子
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ロボットの愛着行動モデルの堅牢性に課題があり,長時間安定してロボットを動作させることが困難であることが実験の準備を通じて明らかになった。また,「なつき度」としてモデル化している人とロボットの関係性を,人とロボットのインタラクションの履歴から更新する処理が適切に計算されていないことがわかった。そのため,今年度は,長時間の実験実施に向けた愛着行動モデルの改良を行った。その結果,長時間安定して動作できることを確認し,愛着行動の有無によるロボットとのコミュニケーション実験を通じて,新しく改良した行動モデルによって,適切に愛着行動が示され,さらにロボットやロボットの振る舞いについて事前知識のない被験者であっても,ロボットが誰に対して懐いているかといった愛着行動の特徴を適切に理解していることを確認した。なつき度の適切な変化に関しては引き続き取り組んでいく。また,生活空間でのロボットの利用を考え,ロボットの愛着行動に加え,見守り機能を実装した。3次元測域センサによる人の位置,姿勢の計測,及びカメラとの統合による人の視野推定を新たに実現し,環境の構成と人,ものなどの動物体の移動履歴を表した環境地図を生成し,不審者,不審物,人の危険などを検出し,ロボットが人へ伝達する。この機能は,生活空間でのロボットの長期利用を想定しやすくするものと位置付けられる。さらに,不審物の存在などを非言語情報で伝達できることを確認し,また愛着行動をベースとして見守り行動を導入した際も被験者はロボットの愛着行動を理解していることを確認した。
著者
阿部 真大 新妻 実保子
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.2A1-J11, 2017
被引用文献数
1

<p>To work smoothly in a virtual space, it is necessary to recognize the space exactly and interact 3D information intuitively. In this study, we created a VR game environment that integrated stereoscopic vision based on a binocular parallax by a HMD with body motion measurement by a range image sensor. Also, to enhance immersion and operation feeling, we presented tactile information by using a vibro tactile globe and we verified usefulness of the operation by real-scale body motions, the stereoscopic vision and the tactile information. From the results of experiments, we could confirm that the operation by real-scale body motions and the stereoscopic vision are useful in the VR game environment created, and the tactile information is effective assistance for the operation by real-scale body motions.</p>
著者
新妻 実保子
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

(1)角度比較による時系列データの分類位置座標に依存しない時系列データの分類について検討した。初期姿勢が類似度計算に影響を与えないよう,初期姿勢補正を考慮した類似度計算手法を提案し,人の歩行経路の分類,及び手の動作の分類に適用し,位置の近さではなく形状の類似度に基づく分類を行い,その有用性を示した。(2)地図による活動内容の記述とその分類環境地図,及び活動履歴を階層に分けて,選択的にデータを更新・利用できる仕組みを提案した。人,物の移動履歴として,移動度合いを移動頻度,及び移動速度に基づいて算出し,グリッド地図として表現する手法を提案した。(3)持続的な観測のための観測システムの実装RTミドルウェアによるシステムのコンポーネント化を行い,ロボティクス技術の埋め込まれた住宅実証環境へ統合・実装した。活動モデルの構築と活動内容の推定を行うためのプラットフォームを整えることができた。
著者
新妻 実保子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

知能化空間における人と環境(場所やモノ)とのインタラクションを観測し,「人がある場所やモノをどのような目的で使用しているのか」を示す人に対する「場所やモノに対する意味づけ」を推定することにより,人の活動内容に応じた柔軟にサービス設計を実現しようとするものである.場所やモノの機能や意味づけを設計者が一意的に紐付けてしまうことは,実際にサービスを提供されるコンテキストと紐付け内容(サービス)との不一致を引き起こし,知能化空間にとって根本的な問題となる.本研究はこれを解決するものである.場所やモノヘの意味づけを推定するためには人の活動履歴を獲得する必要かおる.本研究では,"Spatial-Knowledge-Tag(SKT)"と名づけた仮想的なタグを用いて,実空間内の3次元座標と情報とを紐付け,人の活動履歴を実空間へ記述する「空間メモリ」を使用する.空間メモリシステムは,利用者が自らの手先や胴体の位置を用いて実空間における情報の蓄積と取り出しを実現するものであり,従来のコンピュータに比べて直感的かつ瞬時な情報の取り扱いが実現する.そのため,SKTは空間内に配置された利用者にとって活動を遂行するうえで必要な情報とみなすことができ,またその配置の構成は利用者の活動目的や情報整理のポリシーの現れであると考えることができる.すなわち,利用者によって主体的に作成されたSKTはその利用者の活動履歴そのものであるといえる,これより,利用者がある環境を使用する中で作成されたSKTを(事前知識を用いずに)分類すること,人の活動内容を表現する表現形式を検討する(パラメータを選定する)こと,分類されたSKTの構成と表現形式に基づいて活動内容を記述すること,活動内容による場所とモノの意味づけを推定(マッピング)することが課題となる.空間メモリを用いた活動内容の記述において,観測される活動は空間メモリを用いている場合のみであるというける問題点あつた.人の活動は,空間と人,人と物の動的な相互作用とみることができることから,物を観測対象として含めることによって,記述対象を広げ,かつ記述精度を向上させることにつながると考えられる.人とモノの動的な関係を記述するため,いつ(when),だれが(who),なにを(what),どこで(where),どのように(how)使用したか,という人とモノの物理的なインタラクションに着目し,モノ情報として記述するシステムを構築した.物理的インタラクションの発生を検出するため,人の手とモノに3軸加速度センサを有するアクティブ型RFIDタグを取り付けた.操作者を特定することにより,(when,who,what)が取得される.それぞれのモノの位置を計測することは困難であるため,人の手の位置を観測し,モノの操作者が特定されたときモノの位置として与える手法を提案した(where).そして,人の手には慣性センサを取りつけ,腕の加速度や姿勢を計測し,モノの使用動作とした,これをクラスタリングすることにより,主要な使用動作パタンを抽出する(how),という手順で4W1Hとしてのモノ情報の獲得を実現した.