著者
早川 勝 ハヤカワ マサル Hayakawa Masaru
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.1-32, 2009-02-28

論説(article)2004年に発効したイタリア会社法の改正法は、会社法の現代化を目指して、企業グループに関する規制を導入した。これは、1965年のドイツ株式法コンツェルン法以来の画期的立法である。イタリア方式は、ドイツ法と異なり、企業グループを一律として捉え、従属会社に生ずる損害の補償の方式について独自性がある。
著者
早川 勝
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法学 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.256-228, 2010-05

論説(Article)会社の資本金制度は、実際には債権者保護として機能しないという視点から会社法は最低資本金制度を撤廃した。株主の有限責任制度を維持しながら、どのように債権者保護を図るかということは、会社法の重要な課題である。本稿では、その一つの方策として、取締役の破産申立義務が債権者保護に役立つという視点に立ち、この義務を現行会社法の解釈から導くことを展開する。
著者
スピンドラー ジェラルド 早川 勝
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.2440-2431, 2010-03

翻訳(Translation)2004年のSE規則は、当初の構想と異なり、枠組み法であって、基本的な骨組みを定めるにすぎず、その肉付けは、EU加盟国の国内法によるため、極端な場合は、加盟国数に相応したSEが存在することになる。当初慎重であったドイツ・オーストリアでは、少しずつSEを創設してきているが、超国家性という特色を生かすというよりも、ヨーロッパブランドという側面を重視している。訳:早川勝
著者
メストメッカー エルンスト-ヨアヒム 早川 勝[訳]
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.1426-1404, 2011-07

万人の万人に対する競争(Bellum omnium contra omnes)? -自然状態における競争について 放牧地で時を過ごす羊の平穏は、比較的な自己愛と競争を欠いているひとの社会に関してカントが述べた比喩である。どうもうな狼の食欲は、市民社会における安全と安寧の自由をあきらめさせる自然状態におけるひとに対するホッブスが述べた比喩である。これらの見解は、自由と平等に関する正反対の原則を教える。カントにとっては、個人の自由は、対立する自由であって、この自由は、法の支配の下での平等な自由と共存することができる。これに対して、トーマス・ホッブスの明らかに反対の立場では、デヴィッド・ヒュームの法と社会の研究およびアダム・スミスの法と経済学の研究を意識しかつ考慮に入れた法と社会の諸原則が展開される。ホッブスは、法と経済を動かす力としての幸福に関するかれの功利主義の解釈と同じ様に、法実証主義に関するベンサムの基本的な説明を採り入れた。それは、法と幸福主義との同一視であり、競争と競争法に関するひとつの重要な論争に導く。つまり、個々人の競争的行為に対する貢献を結果として生じる幸福のプラスまたはマイナスの成果と同一視できるかという問題である。この論争は、ドイツでは、カルテルの禁止かまたはカルテルに対する濫用規制なのかという二者択一の問題を支配した。それに対して、米国では、成果に関する評価審査が有効競争理論のひとつの論点であった。つまり、この論争は、福利のマイナスの成果について特別な立証(specific proof of negative welfare effects)がなされない場合には、伝統的な反トラスト法違反を弁明することができないと主張する反トラストシカゴ学派によってもたらされた。欧州では、それは、もちろん、競争ルールに関する解釈についてより経済的なアプローチをするEU委員会の解釈によって、消費者に対する福利審査(consumer welfare test)の実行可能性に関する論争について終止符が打たれた。それは、デヴィッド・ヒュームの理論の伝統を引き継ぎながら、特別な競争行為の福利に関する成果審査では解明できない理由を説明する制度複合現象理論を展開したF.A.フォン・ハイエクの理論である。筆者は、本稿では、競争ルールが、契約の自由、個人の財産権に関する私法制度の一部であるとして、また、競争を発見手続きとして解している。競争の自由に関する個人の権利は、競争過程における公益とそれに対して適用できるルールを形成するのである。
著者
早川 勝
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.2101-2156, 2006-11

EU加盟国は、2004年に成立したEU第13会社指令を2006年5月までに国内法化する義務を負っている。本稿は、ドイツがどのように指令を国内法化しようとしているのか、公表された政府草案について検討する。ドイツは、指令が認める選択権を行使して、取締役の中立義務や透視ルール(ブレークスルー・ルール)についてはオプト・アウトし、国内企業にオプト・インすることを認めていることが大きな特徴である。わが国で参考になるものとしては、公開買付法でも残留株主に株式買受請求権を定めたこと、および新たに規定した商法上の開示規制であることを指摘している。
著者
メストメッカー エルンスト ヨアッヒム 早川 勝[訳]
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.1-19, 2010-07

翻訳(Translation)自由社会を特徴づける正義に適った(公正な)行動ルール、分業および競争は、ひとの行為の積み重ねの所産である。しかし、これらの制度は、なんら最初から設計されていたものではなく、経験を通じて認識できるようになった点において共通の特徴がある。翻訳:早川勝
著者
スピンドラー ジェラルド 早川 勝 ハヤカワ マサル Spindler Gerald Hayakawa Masaru
出版者
同志社法學會
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.61, no.7, pp.1-10, 2010-03-31

翻訳(Translation)2004年のSE規則は、当初の構想と異なり、枠組み法であって、基本的な骨組みを定めるにすぎず、その肉付けは、EU加盟国の国内法によるため、極端な場合は、加盟国数に相応したSEが存在することになる。当初慎重であったドイツ・オーストリアでは、少しずつSEを創設してきているが、超国家性という特色を生かすというよりも、ヨーロッパブランドという側面を重視している。