- 著者
-
大野 寿子
野呂 香
早川 芳枝
池原 陽斉
- 出版者
- 東洋大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
『メルヒェン集』、『伝説集』の森の特性を検証しつつ、グリム兄弟の「理念としての森」の意義を、「生の連続性」という観点から明らかにした。言語、歴史、文学、文化における「古いにしえのもの」の喪失を森林破壊プロセスにたとえ、「古いにしえのもの」の再評価の重要性を説く彼らの自然観および詩ポエジー観は、19世紀エコロジー運動の理念における先駆的地位を担いうる。伝承文芸に必要な想像力の豊かさとは、心情としての内面的「自然」を豊かにする「癒し」の力を有する意味で、現代社会における「心のエコロジー」にも繋がりうる。