著者
曽山 いづみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.305-321, 2014-06-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究は新任小学校教師9名を対象に1年間計4回の継時的インタビューを行い, 新任教師の経験過程を明らかにした。1学期, 夏休み, 2学期, 3学期末以降のインタビュー時期別に, 1: 子どもへの理解とかかわり方, 2: 先生としての自分のあり方, 3: 1, 2を促進する要因, 阻害する要因, について分析を行った。新任教師は【わからなさ/難しさに直面する】【子どもの色々な姿を見る】ことを通して徐々に【自分なりの感覚をつかむ】ことができるようになっていた。一方で【先生としてのあり方に悩む】ことと【自分らしいあり方が明確になる】ことを揺れ動きながら, 教師としてのアイデンティティを模索, 形成していた。担任クラスでの困難が大きく, かつ周囲のサポートが得られにくいときには【担任としての責任の範囲】に深く悩むことが示唆された。発達過程を阻害する要因として, 1学期時はリアリティ・ショックや環境への適応が強くあったが, 徐々にその影響は小さくなっていた。同僚教師や保護者との関係は, 阻害/促進どちらの要因にもなり得, 状況文脈によってその影響は大きく変わること, 新任教師にとっては主体性の発揮が大きなテーマであることが示唆された。
著者
大西 真美 曽山 いづみ 杉本 美穂 大瀧 玲子 山田 哲子 福丸 由佳
出版者
一般社団法人 日本家族心理学会
雑誌
家族心理学研究 (ISSN:09150625)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.137-154, 2022-03-31 (Released:2023-05-19)
参考文献数
15

In Japan, more than 200,000 children experience their parents' divorce annually. To help parents and children cope with problems that result from divorce, a psychoeducational program called Families in Transition (FAIT) has been conducted with Japanese families since 2013. The current authors have noted the importance of understanding the differences and similarities between custodial parents (CPs) and non-custodial parents (NCPs). The purpose of the current study was to examine differences and similarities between the experiences of CPs and NCPs. This study also examined how conflicts occur and ways to improve the program. Participants were 17 parents who participated in the FAIT program. Data were collected via semi-structured interviews and analyzed using the KJ method. The main findings were as follows. Both parents felt hurt and unstable after the divorce. CPs felt as if they were the victims of the divorce, and NCPs felt ignored and lonely as a result of the divorce and not being able to see their children. These emotions hampered their ability to relate to the other parent. Both parents also felt that they had not received sufficient support and information during the divorce. As a result of participating in the FAIT program, both parents felt accepted by sharing their experiences and emotions and they also learned the importance of the child's perspective. CPs changed their view towards visitation, and NCPs' emotions changed when they were treated the same as CPs. Results revealed the importance of understanding both parents' point of view and keeping a balance between sharing personal experiences and maintaining the framework of a psychoeducational program.
著者
曽山 いづみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.305-321, 2014
被引用文献数
1

本研究は新任小学校教師9名を対象に1年間計4回の継時的インタビューを行い, 新任教師の経験過程を明らかにした。1学期, 夏休み, 2学期, 3学期末以降のインタビュー時期別に, 1: 子どもへの理解とかかわり方, 2: 先生としての自分のあり方, 3: 1, 2を促進する要因, 阻害する要因, について分析を行った。新任教師は【わからなさ/難しさに直面する】【子どもの色々な姿を見る】ことを通して徐々に【自分なりの感覚をつかむ】ことができるようになっていた。一方で【先生としてのあり方に悩む】ことと【自分らしいあり方が明確になる】ことを揺れ動きながら, 教師としてのアイデンティティを模索, 形成していた。担任クラスでの困難が大きく, かつ周囲のサポートが得られにくいときには【担任としての責任の範囲】に深く悩むことが示唆された。発達過程を阻害する要因として, 1学期時はリアリティ・ショックや環境への適応が強くあったが, 徐々にその影響は小さくなっていた。同僚教師や保護者との関係は, 阻害/促進どちらの要因にもなり得, 状況文脈によってその影響は大きく変わること, 新任教師にとっては主体性の発揮が大きなテーマであることが示唆された。