著者
河野 峰 柴田 敏之 永易 裕樹 北所 弘行 中田 大地 有末 眞
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.16-21, 1998-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
13

We studied whether epidermal growth factor (EGF) enhances the motility of human oral squamous cell carcinoma (SCC) cells in an autocrine manner. The motility of five SCC cell lines (SAS, Ca 9-22, HSC-2, -3, -4) was examined with the use of a phagokinetic track assay. The motility of SAS cells and HSC-2 cells was significantly increased without EGF stimulation as compared with the three other cell lines. Amounts of EGF in the culture supernatants of the five cell lines after 48h of culture were examined with the immunoblotting method. EGF was detected in the supernatants of SAS cells and HSC-2 cells (SAS, 8.65±0.45; HSC-2, 2.60±1.13ng/ml). SAS cells, showing the highest levels of motility and EGF production, was used for further study. When SAS cells were treated with anti-EGF antibody, anti-EGF receptor antibody, and erbstatin analog, the motility of SAS cells was significantly inhibited. Furthermore, the culture supernatant of SAS cells enhanced the motility of HSC-3 cells in a concentration-dependent fashion. These results suggest that EGF may stimulate the motility of human oral SCC cells in an autocrine manner.
著者
村田 勝 今井 佐和子 佐藤 大介 佐々木 智也 有末 眞
出版者
日本硬組織研究技術学会
雑誌
Journal of hard tissue biology (ISSN:13417649)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.143-147, 2002-03-01
参考文献数
23
被引用文献数
2

我々はリコンビナントBMP(r h BMP-2)アテロコラ-ゲンコラ-ゲンインプラントシステムが骨膜下骨増生に極めて有効であることを報告している。本研究では、骨膜を剥離せず部分的に線状切開を加えた骨膜状にr h BMP-2/コラーゲン複合物を埋入し、骨膜と母骨の細胞組織反応や骨誘導について形態学的に観察することを目的とした。ウイスター系雄性ラット(40週齢)を正常骨膜観察に5匹、切開骨膜上実験のために20匹使用した。全身麻酔科で頭部に皮下切開を加えた。r h BMP-2(10mg)/I型アテロコラーゲン(10mg)複合物を挿入後、1,2,4,8週目に5匹ずつ屠殺し、埋入物入と頭部を一塊として摘出した。脱灰切片作成後、ヘマトキシリン-エオジン染色とエラスティカワンギーソン染色、増殖細胞核抗原(PCNA)抗体による免疫染色を行い光学懸顕微鏡で観察した。正常骨膜には扁平な骨芽細胞層、菲膜化した線維層、脂肪層からなる3層構造が認められた。PCNA陽性細胞率は0.8±4.6%、非切開部で9.3±1.5%であった。2週後、埋入物層に環状の骨形成がみられ、骨膜切開部でのみ母骨と増整骨は新生骨で連続していた。4週後、非切開部骨膜は正常骨膜に類似した構造を呈した。8週後、増生骨の骨髄形成が進行し、骨膜切開部のみに形成された骨架橋は維持されていた。非切開部には骨膜を含む軟組織が介在していた。以上より、r h BMP-2/アテロコラ-ゲンインプラントシステムハ骨膜上で骨増生が可能であり、切開部のみで骨架橋が形成された。また切開部以外の骨膜は非石灰化組織として増生骨と母骨間に介在したことから、骨膜は骨形成能を有する組織境界膜として存在する恒常性機構を有している可能性が考えられた。
著者
中山 英二 大内 知之 賀来 亨 柴田 考典 有末 眞 永易 裕樹 安彦 善裕 上野 繭美 河津 俊幸 吉浦 一紀 浅香 雄一郎 上田 倫弘 山下 徹郎 仲盛 健治 平塚 博義 針谷 靖史 関口 隆
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.59-68, 2011-09-15 (Released:2011-10-20)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

唾液腺腫瘍は病理組織像が多彩であり,また,一つの腫瘍型の中にも多様な組織成分が混在するので,唾液腺腫瘍の病理組織学的診断は難しいことがある。それゆえ,唾液腺腫瘍において,良性と悪性の画像鑑別診断もまた困難なことがある。境界が画像上でほとんど明瞭のようであっても,実際は微妙に不明瞭である唾液腺腫瘍は悪性腫瘍のことがある。そこで,唾液腺腫瘍の画像診断においては,画像上の境界の明瞭度は非常に重要で,境界の明瞭度の注意深い判定は必須である。境界の明瞭度はCTではなく,超音波検査とMRIで判定されるべきである。さらに,CTとMRIでは,可能であれば,DICOMビューワー上で最適な画像表示状態で観察されるべきである。大唾液腺腫瘍について:耳下腺腫瘍では良性腫瘍が70%以上であり,顎下腺腫瘍では40%が悪性で,舌下腺腫瘍では80%が悪性である。この事実は唾液腺腫瘍の画像診断をする上で重要である。境界が必ずしも明瞭とはいえない耳下腺腫瘍は悪性を疑う。画像所見が舌下腺から発生したことを示す病変は悪性腫瘍と診断されるべきである。小唾液腺腫瘍について:腫瘍が小さい場合はたとえ悪性でも境界が明瞭なことがしばしばである。そこで,病変の境界が明瞭である画像所見は,その病変が良性である証拠とはならない。口蓋部の悪性唾液腺腫瘍では,画像所見として検出できない微妙な骨浸潤があることに特に注意を払う必要がある。口唇と頬部の唾液腺腫瘍には超音波検査が最も有用である。顎骨内に粘表皮癌が発生することについても注意したい。
著者
三重野 雅/村瀬 博文/深瀬 秀郷/福栄 克浩/土岐 光伸/永山 裕/笠原 邦明/玄間 美健/小田 浩範/大森 一幸/前田 静一/加藤 元康/磯貝 治喜/原田 尚也/平 博彦/有末 眞 ミエノ タダシ/ムラセ ヒロフミ/フカセ シュウゴウ/フクエイ カツヒロ/トキ ミツノブ/ナガヤマ ヒロシ/カサハラ クニアキ/ゲンマ ヨシタケ/オダ ヒロノリ/オオモリ カズユキ/マエダ セイイチ/カトウ モトヤス/イソガイ ハルキ/ハラダ ナオヤ/タイラ ヒロヒコ/アリスエ マコト MIENO Tadashi/MURASE Hirofumi/FUKASE Shugoh/FUKUEI Katsuhiro/TOKI Mitsunobu/NAGAYAMA Hiroshi/KASAHARA Kuniaki/GENMA Yoshitake/ODA Hironori/OOMORI Kazuyuki/MAEDA Seiichi/KATO Motoyasu/ISOGAI Haruki/HARADA Naoya/TAIRA Hirohiko/ARISUE Makoto
雑誌
東日本歯学雑誌
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.227-232, 1993-12-31

Generally, the repositioning and fixation of fragments in the treatment of jaw fractures is performed based on proper occlusion conditions of the upper and lower jaws. However, the treatment of fractures of the mentally and physically handicapped pose a number of problems caused by lack of patient comprehension and cooperation. In this paper, we present two cases of mandibular fracture of handicapped patients, whose closed reduction and fixation was impossible. In these cases, open reduction and ridged fixation of fragments was carried out with screw and plate without intermaxillary fixation. Problems of the treatment of jaw fracture of mentally and physically handicapped patients were discussed.