著者
藤盛 真樹 鳥谷部 純行 角 伸博 嶋﨑 康相 宮澤 政義 宮手 浩樹 北田 秀昭 佐藤 雄治 三澤 肇 山下 徹郎 中嶋 頼俊 針谷 靖史 小林 一三 西方 聡 太子 芳仁 杉浦 千尋 笠原 和恵 浅香 雄一郎 榊原 典幸 岡田 益彦 柴山 尚大 末次 博 鈴木 豊典 阿部 貴洋 谷村 晶広 工藤 章裕 道念 正樹 川口 泰 野島 正寛 牧野 修治郎
出版者
公益社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.168-183, 2022-04-20 (Released:2022-06-20)
参考文献数
38

Tooth extraction is reported as the main trigger of bisphosphonate (BP) -related osteonecrosis of the jaw (BRONJ). A method to prevent BRONJ has not been scientifically proven. The American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons (AAOMS) differs from the International Task Force on Osteonecrosis of the Jaw with regard to the prevention of BRONJ via prophylactic withdrawal before tooth extraction. We performed a multicenter prospective study regarding the development of BRONJ after tooth extraction in BP-treated patients for the purpose of determining factors associated with the frequency of BRONJ. We extracted teeth from patients with a history of current or prior treatment with BP preparations; teeth were extracted using a common treatment protocol. The presence or absence of BRONJ and adverse events were evaluated. A total of 1,323 cases were targeted for this study; 2,371 teeth were extracted. The overall incidence of BRONJ was 1.74%; in the prophylactic withdrawal group it was 1.73%, whereas in the prophylactic non-withdrawal group it was 1.75%. Factors associated with the onset of BRONJ were sex, preparation adaptation classification, oral hygiene state, site of tooth extraction, and Denosumab usage. From analysis that considered the effect of confounding using the propensity score, prophylactic BP withdrawal did not result in a reduction of BRONJ (onset odds ratio with withdrawal: 1.13, 95%CI 0.36-3.57).
著者
林 信 上田 倫弘 山下 徹郎 矢島 和宜
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.160-165, 2013
被引用文献数
1

前外側大腿皮弁(Anterolateral Thigh Flap:ALT)は穿通枝皮弁で,比較的薄くしなやかで口腔再建術に適した皮弁である。組織量は前腕皮弁と腹直筋皮弁のほぼ中間であり,ALTの選択肢を持つことにより患者の体格,欠損量に適合した的確な再建が可能となる。皮弁採取創は一期的縫縮が可能で,比較的露出されない部位であるため,整容的にも認容される。穿通枝皮弁であるため皮弁挙上には技術を要するが,血管のバリエーションを含めた解剖の熟知,3D-CTAやカラードップラーなどの術前検査,拡大視による挙上,などにより安全・確実な挙上は可能である。口腔再建に際し選択肢の1つとして備えておく必要のある皮弁であると考える。
著者
中山 英二 大内 知之 賀来 亨 柴田 考典 有末 眞 永易 裕樹 安彦 善裕 上野 繭美 河津 俊幸 吉浦 一紀 浅香 雄一郎 上田 倫弘 山下 徹郎 仲盛 健治 平塚 博義 針谷 靖史 関口 隆
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.59-68, 2011-09-15 (Released:2011-10-20)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

唾液腺腫瘍は病理組織像が多彩であり,また,一つの腫瘍型の中にも多様な組織成分が混在するので,唾液腺腫瘍の病理組織学的診断は難しいことがある。それゆえ,唾液腺腫瘍において,良性と悪性の画像鑑別診断もまた困難なことがある。境界が画像上でほとんど明瞭のようであっても,実際は微妙に不明瞭である唾液腺腫瘍は悪性腫瘍のことがある。そこで,唾液腺腫瘍の画像診断においては,画像上の境界の明瞭度は非常に重要で,境界の明瞭度の注意深い判定は必須である。境界の明瞭度はCTではなく,超音波検査とMRIで判定されるべきである。さらに,CTとMRIでは,可能であれば,DICOMビューワー上で最適な画像表示状態で観察されるべきである。大唾液腺腫瘍について:耳下腺腫瘍では良性腫瘍が70%以上であり,顎下腺腫瘍では40%が悪性で,舌下腺腫瘍では80%が悪性である。この事実は唾液腺腫瘍の画像診断をする上で重要である。境界が必ずしも明瞭とはいえない耳下腺腫瘍は悪性を疑う。画像所見が舌下腺から発生したことを示す病変は悪性腫瘍と診断されるべきである。小唾液腺腫瘍について:腫瘍が小さい場合はたとえ悪性でも境界が明瞭なことがしばしばである。そこで,病変の境界が明瞭である画像所見は,その病変が良性である証拠とはならない。口蓋部の悪性唾液腺腫瘍では,画像所見として検出できない微妙な骨浸潤があることに特に注意を払う必要がある。口唇と頬部の唾液腺腫瘍には超音波検査が最も有用である。顎骨内に粘表皮癌が発生することについても注意したい。