著者
河野 峰 柴田 敏之 永易 裕樹 北所 弘行 中田 大地 有末 眞
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.16-21, 1998-01-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
13

We studied whether epidermal growth factor (EGF) enhances the motility of human oral squamous cell carcinoma (SCC) cells in an autocrine manner. The motility of five SCC cell lines (SAS, Ca 9-22, HSC-2, -3, -4) was examined with the use of a phagokinetic track assay. The motility of SAS cells and HSC-2 cells was significantly increased without EGF stimulation as compared with the three other cell lines. Amounts of EGF in the culture supernatants of the five cell lines after 48h of culture were examined with the immunoblotting method. EGF was detected in the supernatants of SAS cells and HSC-2 cells (SAS, 8.65±0.45; HSC-2, 2.60±1.13ng/ml). SAS cells, showing the highest levels of motility and EGF production, was used for further study. When SAS cells were treated with anti-EGF antibody, anti-EGF receptor antibody, and erbstatin analog, the motility of SAS cells was significantly inhibited. Furthermore, the culture supernatant of SAS cells enhanced the motility of HSC-3 cells in a concentration-dependent fashion. These results suggest that EGF may stimulate the motility of human oral SCC cells in an autocrine manner.
著者
藤田 温志 永易 裕樹
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.255-260, 2018-12-20 (Released:2019-02-04)
参考文献数
9

今回,脳神経外科手術後に生じる開口障害の臨床的特性について検討した。札幌禎心会病院脳神経外科において手術を施行した114例を対象として,手術アプローチ,術前の開口量,術直後の開口量の変化,開口訓練後の開口量の変化,開口訓練期間について解析した。術後の開口量の変化は術前と術後の比で表し,開口訓練後の開口量の変化は術前と開口訓練後の比で表した。待機手術を受けた114例について側頭部に切開を加える手術群(以下,側頭切開群:前頭側頭開頭法63例,側頭開頭法2例,前頭側頭開頭法+頸部切開3例,計68例),側頭部に切開を加えない手術群(以下,非側頭切開群:前頭開頭法25例,外側後頭下開頭法17例,頸部切開4例,計46例)の2群に分けて,術直後からの開口量の変化,開口訓練後の開口量の変化,開口訓練期間について比較検討を行った。その結果,術直後の開口量の変化は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に減少していた。開口訓練後の開口量の変化は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に低下していた。開口訓練期間は,側頭切開群が非側頭切開群に比較して有意に長かった。検討の結果,脳神経外科手術によって開口障害が生じる可能性があり,なかでも側頭部に切開を加える手術アプローチにおいて開口障害が増悪した。
著者
河野 豊 吉田 純一 原田 文也 植原 治 安彦 善裕 永易 裕樹 舞田 建夫 川上 智史 江口 有一郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.388-391, 2022-08-01 (Released:2022-08-10)
参考文献数
4

We investigated whether the humanoid robot, Pepper, could help patients in taking hepatitis virus tests at an oral dental clinic. Ninety-five patients interacted with Pepper, followed by visiting the physician and answering a questionnaire. One asymptomatic patient was diagnosed as HBs-Ag positive. Most patients who operated Pepper were female and older than 50 years of age. Only a few patients (16%) knew a hepatitis subsidy system. Results of the questionnaire revealed that Pepper's promotion was beneficial and useful for understanding the severity of hepatitis. These findings suggest that the application of a humanoid robot may encourage hepatitis examinations in an oral dental clinic.
著者
中山 英二 大内 知之 賀来 亨 柴田 考典 有末 眞 永易 裕樹 安彦 善裕 上野 繭美 河津 俊幸 吉浦 一紀 浅香 雄一郎 上田 倫弘 山下 徹郎 仲盛 健治 平塚 博義 針谷 靖史 関口 隆
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.59-68, 2011-09-15 (Released:2011-10-20)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

唾液腺腫瘍は病理組織像が多彩であり,また,一つの腫瘍型の中にも多様な組織成分が混在するので,唾液腺腫瘍の病理組織学的診断は難しいことがある。それゆえ,唾液腺腫瘍において,良性と悪性の画像鑑別診断もまた困難なことがある。境界が画像上でほとんど明瞭のようであっても,実際は微妙に不明瞭である唾液腺腫瘍は悪性腫瘍のことがある。そこで,唾液腺腫瘍の画像診断においては,画像上の境界の明瞭度は非常に重要で,境界の明瞭度の注意深い判定は必須である。境界の明瞭度はCTではなく,超音波検査とMRIで判定されるべきである。さらに,CTとMRIでは,可能であれば,DICOMビューワー上で最適な画像表示状態で観察されるべきである。大唾液腺腫瘍について:耳下腺腫瘍では良性腫瘍が70%以上であり,顎下腺腫瘍では40%が悪性で,舌下腺腫瘍では80%が悪性である。この事実は唾液腺腫瘍の画像診断をする上で重要である。境界が必ずしも明瞭とはいえない耳下腺腫瘍は悪性を疑う。画像所見が舌下腺から発生したことを示す病変は悪性腫瘍と診断されるべきである。小唾液腺腫瘍について:腫瘍が小さい場合はたとえ悪性でも境界が明瞭なことがしばしばである。そこで,病変の境界が明瞭である画像所見は,その病変が良性である証拠とはならない。口蓋部の悪性唾液腺腫瘍では,画像所見として検出できない微妙な骨浸潤があることに特に注意を払う必要がある。口唇と頬部の唾液腺腫瘍には超音波検査が最も有用である。顎骨内に粘表皮癌が発生することについても注意したい。
著者
安彦 善裕 齊藤 正人 長澤 敏行 永易 裕樹 古市 保志 辻 昌宏
雑誌
北海道医療大学歯学雑誌 (ISSN:18805892)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.25-32, 2010-06

糖尿病患者における口腔粘膜の創傷治癒が遅延するメカニズムについて、口腔粘膜の創傷治癒とそれに影響を及ぼす因子、糖尿病での血流・血管新生、免疫能の変化、糖尿病での唾液量と成分の変化、糖尿病での成長因子の変化、糖尿病患者の心理的ストレスに分けて考察した。創傷治癒遅延には様々な現象が関わると考えられ、これらの現象が影響しあい遅延を引き起こしているものと考えられる。