著者
青池 亨 木下 貴文 里見 航 川島 隆徳
雑誌
じんもんこん2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.115-120, 2019-12-07

国立国会図書館電子情報部電子情報企画課次世代システム開発研究室(次世代室)では,機械学習技術を図書館サービスに取り入れ,応用することで,資料の検索可能性と提供可能性の拡張を実現するべく調査研究活動に取り組んできた[1].また,これらの研究成果を活用したサービスを一般に利用可能な形で提供する場として,2019 年3 月に「次世代デジタルライブラリー(https://lab.ndl.go.jp/dl/)[2][3]」を公開した.他方,国立国会図書館のデジタル化資料の利活用促進や学術コミュニティへの貢献の観点から,外部の研究者やエンジニアが研究・技術開発用途に利用可能なデータセットを公開することも大きな意義がある.本論文では,国立国会図書館デジタルコレクションのデジタル化資料を活用して作成・公開したデジタル化資料のレイアウトのデータセット(NDLDocL)について,その特色や先行する他機関のデータセットとの相違点を紹介する.また,実際の構築過程における検討事項や開発したアノテーションツールの紹介と,現時点で想定している活用方法のアイデアについて述べる.
著者
稲本 勝彦 木下 貴文 山崎 博子
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.243-251, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では,ガーベラ(Gerbera jamesonii Bol. ex Adlam.)の地表面に形成され,頂端分裂組織を含む短縮茎(「クラウン」と呼ぶ)部の局所的な加温は花茎発生と伸長を促進することを示した.当年夏季新植株を用いて冬季2回(実験1:品種‘バナナ’および‘キムシー’;実験2:品種‘キムシー’),温水チューブならびにステンレステープヒーターを用いたクラウン部局所加温を行って栽培した.局所加温により,切り花収穫時期が早まり,総切り花収穫本数および切り花長40 cm以上の収穫本数が増加した.局所加温の効果はクラウン部の平均温度が高く保たれた区で大きく室温を低く設定すると明確であった.株当たりの切り花重は無局所加温区と比較して局所加温諸区で増加あるいは有意差がなかった一方で,切り花1本当たりの切り花重,頭花径は無局所加温区と比較して局所加温諸区で小さくなる傾向にあった.ガーベラに対するクラウン部局所加温技術は,暖房コストの低減や収穫時期の調整技術に活用が期待される.