著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.e24-e32, 2023 (Released:2023-07-03)
参考文献数
34

本稿ではデジタルアーカイブ資料の活用を促進する二次利用条件のあり方を提示する。まず、ジャパンサーチとADEACを対象として資料の二次利用条件を調査する。その結果、それぞれ38.9%、57.9%のアーカイブで活用の阻害要因となる条件が設定されていることが確認された。この課題をふまえ、資料公開機関と教員による教材化ワークショップを実践する。その結果、酒田市の事例では、学校利用が制限なく可能な条件に変更された。以上より、1. 多くのアーカイブで活用の阻害要因となる二次利用条件が設定されていること、2. 資料公開機関とユーザが活用を基盤とした連携を行うことで資料のオープン化を推進できる可能性が示唆された。
著者
大井 将生 宮田 諭志 大野 健人 大向 一輝 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.e1-e9, 2023 (Released:2022-11-25)
参考文献数
36

本研究の目的は、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することである。その手法として、生徒自身の「問い」を起点とした「キュレーション学習」を提案する。また、分野横断型検索プラットフォーム「ジャパンサーチ」の検索機能と協働キュレーション機能を「キュレーション学習」における協働的な資料収集と「問い」の構造化を支援する空間として活用する。この手法を用いて、中学校において継続的な授業実践を行ない、生徒のリテラシー変容を分析する。その結果、学習成果物に対する評価点が有意に上昇し、生徒の「問い」に基づいて「資料」を収集する力や「資料」をもとに考察する力が向上したことが示唆された。このことから、提案手法の効果が確認され、探究学習における生徒の「問い」と「資料」の接続を支援する学習モデルを開発することができたと考える。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.352-359, 2020-10-01 (Released:2020-11-16)
参考文献数
12

情報化の進展を背景に、学習指導要領では調査や諸資料から様々な情報を調べてまとめる技能や、多面的・多角的に考察する力の育成が教育目標として記されている。この実現のためにMLA資料の活用が推奨されているが、その学習デザインについては十分に議論されていない。そこで本研究では、ジャパンサーチを活用した探究的キュレーション授業を開発し、小学校・中学校・高等学校で授業実践を行なった。これにより、児童生徒が自ら立てた問いに基づいて学びを展開することで多面的・多角的な視座を育む契機を創出する学習デザインの一例を示すことができた。一方で実践を通して、ジャパンサーチの教育活用を進展する上での課題も明らかになった。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.207-210, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
4

新学習指要領では「多面的・多角的に考える力」「膨大な情報から必要なことを判断し、自ら問いを立てる力」等が重要であるとされ、そうした力を育むために図書館・博物館等の活用が推奨されている。しかし、図書館・博物館等の教育利用は深化していない。そこで本研究では、教育現場とMLAアーカイブ群の狭間にある問題を明らかにし、多面的・多角的な視座を育むためのデジタルアーカイブ資料群の教育利用を推進する学習環境をデザインする。そのための手法としてジャパンサーチを活用し、小・中・高校で授業実践を行い児童生徒の認識変容を分析する。ジャパンサーチの活用を通して、児童・生徒自らが探求的に資料を集め、複数の資料から問いを立てることで、多面的・多角的な考え方ができるようになると予想する。長期的には通年カリキュラムに合わせたジャパンサーチ活用実践を断続的に行い、教育に特化したメタデータを付与したアーカイブ構築を目指す。
著者
大井 将生 中川 亮 岑 天霞 Desislava Bankova ピーピョミッ 季高 駿士 趙 誼 朴 美煕 張 宇傑 飯塚 陽美 松井 晋 Steven Braun 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.119-124, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
20

本調査の目的は、COVID-19禍における国内及び国外の地域に暮らす人々の生活意識を記録することである。そのための手法として、生活実態や意識をはかるアンケートを作成し、スノーボールサンプリング方式で国内外からデータを収集した。収集したデータに対してワードクラウド・グラフを用いて可視化を行い、回答全体の傾向を考察した。また、回答者数の多かった言語・地域については比較分析を行った。その結果、COVID-19の影響によって意識・考え方が「変化し続けている」と感じている回答者が多いことが明らかになった。また、政治及び情報元への信頼性に関するトピックにおいて、人々の意識・考え方に、回答者の居住地域や使用言語属性による差異があることが示唆された。
著者
大井 将生 渡邉 英徳
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.s1, pp.s69-s72, 2020 (Released:2020-10-09)
参考文献数
25

本稿の目的は、初等中等教育におけるデジタルアーカイブを活用したハイブリッド型学習のあり方を提示することである。そのために、遠隔オンライン授業をめぐる社会的背景とこれまでの動向を整理し、遠隔オンライン授業の課題について議論する。本研究ではその課題を解決するための学習デザインとして、デジタルアーカイブを活用した遠隔オンデマンド型授業と対面授業の組み合わせによる、探究的キュレーション授業を提案する。デザインした授業で2020年4月より小学校と中学校で年度を通して授業実践を行い、児童生徒の認識変容を検証する。この手法により、学習指導要領で掲げられたICT・MLA資料の活用や探究的な学びを実現するとともに、休校という社会的要請が生じる感染症や災害等の不測の事態、地方と都市の教育格差、不登校による学習機会の喪失など、社会的諸課題の解決にも寄与することができると考える。