著者
木戸 詔子 大野 佳美 角田 万里子 口羽 章子 中原 満子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.140-147, 2006-04-20
被引用文献数
1

高齢者にむせないで利用しやすい「合わせ酢」の開発を目的に,その前段階として女子大生を対象として,3種類の市販の食酢を用い,4種類の方法で調製した「合わせ酢」の官能評価を行った。なお,酢の物が「好き」「どちらでもない」「嫌い」の3グループに分けて評価を行った。その結果,以下の通りにまとめられた。1)「基本の合わせ酢」を市販の「穀物酢」,「米酢」,「純玄米酢」を用いて評価したところ,酢の物が「好き」のグループでは,「穀物酢」がすっきりしてさわやかであるなどの理由で「米酢」よりも好ましく,「純玄米酢」はまろやかな点から好まれた。しかし,「どちらでもない」のグループでは3種類の食酢での相違はほとんどみられなかった。「好き」と「嫌い」のグループ間で「穀物酢」や「純玄米酢」で調製した「基本の合わせ酢」では,0.1%の有意水準の差があったが,「米酢」では3グループ間での有意差はなく,「嫌い」のグループで評価が高かった。2)「基本の合わせ酢」の加熱処理は,穏やかな沸騰持続20〜30秒が,風味が失われず,酸度が5%低減してまろやかさが得られたが,官能評価では,3グループともに期待される効果は見られなかったものの,「嫌い」のグループでは5%有意水準で加熱による評価が高かった。3)「合わせ酢」を3倍に希釈した食酢10%相当の「希釈の合わせ酢」は,特に「嫌い」のグループで0.1%の有意水準で高い評価が得られた。4)砂糖濃度5%の「合わせ酢」の官能評価では,「好き」および「どちらでもない」のグループと「嫌い」のグループでの評価では,それぞれ0.1%の有意差があったが,砂糖濃度が8%になると5%有意水準となり,砂糖濃度13%では有意差がなくなり,「嫌い」のグループの評価は「好き」の評価と同等の高い評価を示した。5)「合わせ酢」について,香り,酸味,甘味,塩味,旨味,おいしさ,のみ込みやすさ,後味,総合評価の9つの評価項目間の相関関係を求めたところ,特に「のみ込みやすさ」は「総合評価」と強い正の相関関係をもち「合わせ酢」の重要因子であることが明らかとなった。また,「のみ込みやすさ」と「酸味」は負の強い相互関係を示し,「甘味」と「香り」が正の相関関係を示し,「のみ込みやすさ」の重要因子であることが分かった。この研究は日本調理科学会近畿支部・高齢と食分科会の研究活動の一環として行ったものである。
著者
岸本 正実 幣 憲一郎 田中 真理子 和田 啓子 福田 美由紀 姫野 雅子 桑原 晶子 小川 蓉子 木戸 詔子 稲垣 暢也 田中 清
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.253-258, 2009 (Released:2009-10-29)
参考文献数
13
被引用文献数
4

肥満は通常body mass index (BMI) によって判定されるが, 本来肥満は脂肪細胞過多である。そこで本研究では生活習慣病患者166名を対象に, BMIとbioimpedance analysis (BIA) 法による体組成の関係を検討した。BMIは体脂肪量と, 相関係数0.914と強く相関したが, 除脂肪量とは相関係数0.434と中等度にとどまり, BMIと除脂肪量の相関係数は, BMI≧25 kg/m2群ではBMI<25 kg/m2群より低かった。BMIによる肥満 (≧25 kg/m2) と, 体脂肪率による肥満 (男性≧20%, 女性≧30%) の関係は, 後者の判定に対して前者の特異度は高いが, 感度は低く, BMI25 kg/m2以上では, ほぼ確実に体脂肪率による肥満が存在するが, 25 kg/m2未満でもその存在を否定できない。栄養アセスメントにおいて, BMIに加えて体組成評価の併用が必要であり, また感度・特異度などによる解析を考慮すべきである。