著者
木村 博子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

3年間にわたり、在宅高齢者の地域復帰支援として行なっているコミュニティ音楽療法を122回、阿蘇市仮設住宅におけるコミュニティ音楽療法を10回実施し、その発展形としてのコンサートを6回実施した。それにより、参加高齢者の心身の活性化、自己尊厳の回復、社会意識の向上に有効な効果がみられた。またコンサートにおける地域在住の音楽家の出演は、地域住民の地元音楽文化の再発見ならびに演奏家自身の社会的意識の向上を促し、新しい療法的視点に基づいた演奏活動が始動する等、音楽活動における波及効果が確認された。音楽療法の知見を持つ学生たちによるコンサート企画運営は高齢者理解、異世代間交流の契機となった。
著者
木村 博子
出版者
経済社会学会
雑誌
経済社会学会年報 (ISSN:09183116)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.5-13, 2020 (Released:2021-04-01)

In the age of globalism, to live together with diverse people is a pressing issue. However, the growing disparity of society due to economic inequality makes it more difficult to realize. Music therapy has aimed to help people with disabilities to play a more active part in society since the 1980s. Community Music Therapy emerged in Europe with the aim of changing not people but society in general in order to be more accessible for those with disabilities. Community Music Therapy applies principles of social justice and equality and works within communities in order to realize an inclusive society through “Musicking.” Musicking is an innate ability of human being to perform music, regardless of talent or musical skills. It involves not only the performance of and listening to music but also various activities that enable music to happen, including management of concerts, advertising of music events, backstage work and so on. Community Music Therapy aims to convey the voices of people who suffer from exclusion and isolation to society and its policy lies in the belief that every human being has right to live with dignity without been excluded from community. It can be defined as a (small) social change for creating a more free and equal society through music, which is a pleasant medium for all.
著者
木村 博子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.424-434, 2022-06-15 (Released:2022-06-15)
参考文献数
27

目的 都心部において増加する高齢者の孤立死の背景にある課題を明らかにすることを目的とした。方法 国に東京都23区内A区の2016年の人口動態調査に係る調査票情報の提供の申出を行った。死亡票の記載項目には,死亡診断書と死体検案書の区別はない。しかし,監察医制度のある東京都23区では,死亡診断書または死体検案書を記載した医師の所属施設等が検案を実施する東京都監察医務院等の場合,死体検案書と判定することが可能である。病院・診療所等の記載がある場合は死亡診断書とみなした。自宅死および病院死のうち検案となった病死と,在宅患者訪問診療等により死亡診断書が作成された「自宅看取り死」について,死因,男女別,年齢,配偶者の有無等との関連を記述統計学的に分析した。結果 2016年のA区の死亡件数4,429件のうち,613件が検案死と判定され,うち65歳以上の高齢者は436件(71.1%)であった。自宅死757件のうち,検案死は399件(52.7%)であり,うち病死は271件であった。自宅看取り死は358件(47.3%)であった。34歳以上の検案で病死と判明した自宅死268件の死亡年齢は,男性145件が73.6±11.9(平均値±標準偏差)歳,女性123件が79.5±11.4歳であった。同様の病院死133件の死亡年齢は,男性76件が73.6±14.7歳,女性57件が81.9±9.7歳であった。一方,自宅看取り死358件の死亡年齢は,男性172件が81.3±13.7歳,女性186件が87.0±10.8歳であり,検案死に比べて死亡年齢は有意に高かった。自宅検案死の病死の65.3%,病院検案死の病死の54.1%が虚血性心疾患等の突然死型の疾患によるものであり,自宅看取り死の64.6%は悪性新生物等によるものであった。検案で病死と判明した自宅死のうち,65歳以上の男性110件の65.5%,女性110件の87.3%が単身であり,男性27.3%,女性52.7%が死別,男性16.4%,女性9.1%が離別,男性21.8%,女性25.5%が未婚であった。結論 都心部高齢者の孤立死には,主に突然死疾患の死因に加えて,女性では配偶者との死別,男性では死別以外に離別,男女ともに未婚という背景が影響していると考えられた。
著者
木村 博子
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
no.106, pp.1-15, 2015-03

Laughter or humor is indispensable to our daily lives. Recently the effectiveness of laughter has been recognized in medical and health care settings, especially for its potential for promoting resilience. In spite of its therapeutic power and the long history of combining music with comedy, laughter or humor has not been paid much attention in music therapy. In this article the author looks back at the prior research into laughter in physiology, psychology and social studies and then considers the need and possibility of introducing laughter into music therapy sessions, along with her case study of a 7 years long Community Music Therapy group. Finally, the author suggests that parody or musical comedy of old popular songs which uses the theory of incongruity is useful for creating laughter in Japanese group music therapy sessions.
著者
中 俊博 木村 博子
出版者
和歌山大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13468421)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.119-127, 2002-08-12

W県N郡6町の保育所・園に通う幼児(3歳,4歳,5歳)を対象に質問紙法による生活行動調査の保護者の回答結果から午後10時以降の就寝は3歳,4歳,5歳全体の平均は11.7%である。休日のテレビゲームを「よく行う」と「時々行う」を合わせた比率は,4歳児で23.2%, 5歳児で35.8%であり,一方,自転車のりやボール遊びを「よく行う」は,平日約50%,休日約60%であり,「時々行う」と合わせれば,平日,休日の比率は,約91%の高比率である。次に,日常生活の基本的な動作の完成度調査では,3歳児において「できる」比率の低い動作項目は,「スナック菓子の袋の開封 : 29.7%」「飲料や菓子のフタはずし : 42.9%」「箸づかい : 47.5%」である。また,4歳児では上述の項目の完成度比率はそれぞれ54.5%, 65.9%, 67.8%と上昇し,5歳児では,71.5%,80.1%,76.9%と一層向上する。次に,N町の4歳,5歳児の運動遊びによる活動性の発達について調査した結果,運動遊びによる活動性の変化は4歳女児の立幅跳を除いて,4歳,5歳男女の片足連続とび,立幅跳で有意な増加が見られ,特に5歳男児の片足連続とびでは,6月値54.3±20.54mから10月値73.0±32.91mと18.7mの発達が見られ,また,柔軟性においては「箱なし : 0cm」の柔軟度の最高値の比率変化は4歳,5歳全体で6月約38%から10月には約53%と上昇し半数以上が顎が床にとどく顕著な発達がみられる。また,個人の変化に着目し活動性の5段階基準の分布率からみると6月から10月の発達は片足連続とび,立幅跳の両項目の平均値はA段階(発達良好)7.9±7.0%から15.3±7.3%と約2倍になり,E段階(要運動遊び)が7.6±3.8%から3.3±3.1%と半減している。
著者
森本 恵子 鷹股 亮 上山 敬司 木村 博子 吉田 謙一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1.マイルドな精神的ストレスであるケージ交換ストレス(CS)による血漿ノルエピネフリン(NE)増加反応は、雄ラットにのみ見られるという性差が存在し、これは昇圧反応の性差の原因と考えられる。このメカニズムとして、雄では一酸化窒素(NO)がNE増加を促進させることが示唆された。2.卵巣摘出ラットでもCSストレスによるNE増加反応が見られるが、エストロゲン補充により抑制される傾向があった。また、エストロゲン補充により安静時の血漿NO代謝産物(NOx)が増加する傾向があり、逆に、酸化ストレスマーカーである4-hydroxy-2-nonenalは低下した。3.エストロゲンの中枢神経系を介したストレス反応を緩和するメカニズムについて検討した。c-Fosタンパク質を神経細胞活性化の指標とし、各脳部位におけるCSストレスの影響とそれに対するエストロゲン補充の効果を免疫組織化学法を用いて測定した。その結果、CSストレスにより卵巣摘出ラットでは、外側中隔核、視床室傍核、弓状核、視床下部室傍核(PVN)、視床下部背内側核(DMD)、青斑核(LC)でc-Fos発現が有意に増加したが、正常雌では増加は見られなかった。しかし、卵巣摘出後にエストロゲン補充を行なうとPVN、DMD、LCではc-Fosの増加が抑制された。さらに、LCではストレスによるカテコラミン産生細胞の活性化が、エストロゲン補充により有意に抑制されることが判明した。同部位では、エストロゲン受容体αの存在が免疫染色で確認でき、エストロゲンの直接作用の可能性が示唆された。また、PVN小細胞領域では、エストロゲン補充はNO産生ニューロンのストレスによる活性化を促進することを見いだした。これはエストロゲンの抑制作用におけるNOを介したメカニズムを示唆している。以上の結果より、エストロゲンは末梢血管系においては酸化ストレス抑制作用によって、中枢神経系ではPVN、DMD及びLCの神経細胞に対する抑制作用によって、ストレス反応を緩和する可能性が示唆された。
著者
木村 博子 内田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

酸化ストレスマーカーである過酸化脂質, 4-Hydoroxy nonenal(HNE)やニトロ化物の3-nitrotyrosine(NT), 6-nitrotryptophanの時間分解蛍光イムノアッセイを開発し, lipopolysaccharide(LPS)投与ラット(感染症モデルラット)の心臓・大動脈・腎臓・肝臓・腸管などにおけるHNEや他の酸化ストレスマーカーの生成量の測定, 酸化ストレス発生源の同定を行い, その感染症病態における関与の解明を行った. また高血圧を発症した自然発症高血圧ラット(SHR)に持続的な運動を行わせて運動がスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)合成を増加させて酸化ストレスが減少する仕組みを解明した.