- 著者
-
木村 清朗
長田 芳和
- 出版者
- 日本魚類学会
- 雑誌
- 魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.4, pp.425-429, 1992-02-29 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 14
日本産バラタナゴは, 在来のニッポンバラタナゴRhodeusocellatus smithiiと中国渡来のタイリクバラタナゴR. ocellatus ocellatusに分けられていた.Acheilognatus smithiiとR. kurumeusの完模式標本を観察したところ, A. smithiiは, 体側に長い明瞭な暗色縦帯をもち, 背鰭と轡鰭の最初の主鰭条がやや強く, 分節が少ないので, バラタナゴとはいえない.R. kurumeusの形態は, ニッポンバラタナゴによく一致した.タイリクバラタナゴの日本への侵入は第二次大戦中であったので, 1900年採集のR. kurumeusの完模式標本, 副模式標本1個体, ほか10個体の標本は, すべてニッポンバラタナゴと判断された.したがって, ニッポンバラタナゴの学名としてR. ocellatus kurumeusが正しい.一方, A. smithiiは, カゼトゲタナゴR. atremiusとスイゲンゼニタナゴR. suigensisによく似るが, どちらとも判定できなかった.