- 著者
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山本 博昭
山本 昇
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.2, pp.467-475, 1985-01-31
本報では, 国内果樹園の地理条件, 栽植密度にできるだけ合致しうる小型で自走式の果実振動収穫機と捕果専用機を設計・試作し, それらの基本的な作動特性を明らかにした。1) 試作したリム・シェーカは, クローラ型走行部, スライダ・クランク機構を利用した振動発生部, 枝をつかむブームとクランプ部, クランプを任意の位置へ移行させる位置決め機構部及びエンジンと動力伝達部から構成され, 走行部以外はすべて油圧駆動とした。したがって, 振動数, 振幅も適宜変更することができ, 枝をにぎるきよう握力も調節が可能である。2) 本機は定格8馬力のエンジンを塔載したが, クランプシリンダ等のアクチュエータ作動に約3馬力の動力が消費され, 枝を加振するのに使用可能な限界動力は5馬力程度となる。また振動する枝の正味仕事量を求め, 油圧駆動系加振部の動力伝達効率を計算すると, その値は40%以下となった。したがって, ゆすられる枝の振動負荷が約2馬力を越すとエンジンの動力不足が生じ, 本試作機の加振可能な限界振動数は, 設定振幅20mmで約17Hz, 28mmで15Hz, 43mmで14Hzとなった。より高い加振振動数, 振幅を確保するためには, さらに高馬力のエンジンを塔載する必要がある。3) 試作したキャッチングフレームは, クローラ型走行台車の上に装着された円形捕果面を有し, 油圧揺動モータの作動により瞬時の開閉が可能となる。捕果面は, 中心から円周方向に18°の登り匂配を持ち, その面積は約7m^2と12.5m^2の2通りに変えることができる。4) 捕果面上の各点に加速度計を埋設した木球を落下させ, 衝突時の最大衝撃加速度, 反発率等を測定した。落下高さ1.2mの場合を例にとると, 捕果面上での最大加速度は10∿40gの範囲に分布し, 全般には捕果面を支持するアーム上に近づくほどその値は大きくなるが, 直接地面に落下させた値(硬い地表面で150g, 柔かい地表面で約100g)に対比すると高い緩衝効果が認められた。