著者
伊藤 隆 木村 容子 大田 静香 山本 昇伯 須田 憲男 中澤 一弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.244-249, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

こむら返りに対する芍薬甘草湯の効果は知られているが,近年,偽アルドステロン症の副作用が多く報告されている。こむら返りに用いることのできる漢方製剤で,甘草を含まないものが期待されている。今回,こむら返り患者26例(平均年齢70.7 ± 12.1歳)に対して,甘草を含まない漢方製剤である四物湯エキスを投与したところ,改善18例(69%),不変8例(31%)であり,前者の腹力は後者よりも推計学的に有意に低い結果であった。また,特に今回の有効例のうち,代表的な4例について詳述した。四物湯は貧血様症状に用いられてきたが,こむら返りには用いられて来なかった。四物湯は,芍薬甘草湯と同等の有効率であり,実証ではない高齢者で緊急性が求められない場合にはより用いられてよい方剤と考えられる。
著者
山本 昇 長谷川 紘司 末田 武 木下 四郎
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.258-264, 1975-09-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
4 1

This study was carried out to compare the effects in open interproximal areas on the plaque-removing ability of 1) toothbrushing plus the use of the interdental brush (Denticator Co.), and 2) toothbrushing plus the unwaxed dental floss (Gudebrod Bros. Silk Co.). Ten adults, without prosthetic restorations within or adjacent to the test areas and abnormal arrangement of the teeth, were devided into two groups.The participants performed either interdental cleaning procedure alternately at one week interval. The test teeth were consisting of first molars, lateral incisors and were in contact normally with neighbouring teeth and had open interdental spaces. The bucco-menial surfaces of the test teeth were estimated.The toothbrushing alone by modified Stillman's method removed 58% of interproximal plaque deposited at test areas, however notciable reduction of dental plaque were achieved by additional use of interdental cleaning devices (interdental brush 95%, dental floss 86%). There was no statistically significant difference between two.It has been concluded that it is difficult to clean the interproximal areas only using the toothbrush, and that the use of interdental brusn is effective for the interdental cleaning in open interproximal areas.
著者
山本 昇吾 藤東 祥子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.13-21, 2015 (Released:2015-06-29)
参考文献数
20

【目的】原発開放隅角緑内障に対して,標準的治療を基本にして長期にわたり漢方治療を行った症例を呈示し,緑内障治療における漢方の意義について考察する。【症例】症例1は,男性で初診時17歳の原発開放隅角緑内障症例である。34年間で3度手術を行ったが,漢方治療を継続しながら経過を観察し得た症例である。症例2は,女性で初診時56歳,初診より約30年前に原発開放隅角緑内障と診断されたが,その後希望により漢方治療を19年間継続している症例である。いずれも失明状態になることが危惧されていたが,漢方治療を継続することにより視機能を維持し,眼圧もコントロールすることができた。症例3は,女性で初診時23歳,漢方内服中に眼圧は正常範囲に低下し,内服中止により眼圧上昇を示した。【考察】原発開放隅角緑内障における眼圧上昇に対して有効な特定の処方名は挙げられないが,少しでも有効な漢方方剤はある。また,漢方を継続的に服用することは視機能維持にも有効である可能性がある。【結語】漢方薬は原発開放隅角緑内障の眼圧低下及び視機能維持の補助的治療に用いて有効である。
著者
山本 昇吾 藤東 祥子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.347-358, 2011 (Released:2011-09-15)
参考文献数
28
被引用文献数
1

再発性眼疾患に対して再発防止の目的で漢方治療を行った症例を呈示し,漢方治療の有効性について考察した。眼科漢方30年の経験の中で,再発予防を目的として漢方治療を施した症例は27例あった。疾患の内訳は,再発性麦粒腫,再発性多発性霰粒腫,再発性結膜下出血,再発性糸状角膜炎,再発性角膜ヘルペス,Posner-Schlossman Syndrome,中心性漿液性脈絡網膜症,再発性硝子体出血であったが,随証治療の原則に従い,継続的に漢方治療を施したところ27例中12例で3年以上にわたって再発を認めなかった。再発性眼疾患に対する再発防止は一般に困難と考えられているが,これらの結果は再発性眼疾患に対する漢方治療の有効性を示唆するもので,漢方は今後も試みるべき治療であると考える。また,今回の検討から,再発性疾患に対して治療を施した場合にその治療が有効であると言えるまでの年数に関する一つの基準として3年~4年が妥当ではないかと思われた。
著者
小川 拓也 倉持 元陽 山本 昇志
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.139-142, 2011-02-12

本稿では,光学的整合を必要とする複合現実において,既知物体が作る影の情報から光源位置を推定する手法を提案する.正確な光学的整合の実現には,鏡面球に映り込む画像を取得することにより周囲環境の光源位置を推定する手法が多く行われている.しかし,鏡面球には様々な物体が映り込むため,光源位置のみを正確に推定することは難しい.そこで提案手法では,正方形マーカを固定する4隅の押しピンが作る影を利用し,その重心座標と影の形状から光源位置を正確に推定する手法を検討した.再現実験の結果,推定した光源位置情報を元に生成した仮想物体の影が実際の影とほぼ一致することが確認できた.
著者
薗田 将樹 山本 昇伯 髙田 敦子 菊地 学 田宮 大介 遠藤 良二 伊藤 隆
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.155-160, 2018

<p>東洋医学的治療が有効であったうつ病の3症例を報告する。3症例とも同一職場(全17名)の職員。症例1は46 歳男性,勤続20年。主訴は抑うつ,不眠。症例2は28歳女性。勤続9年。主訴は嘔気,気分不良。症例3は41歳男性,勤続15年。主訴は焦燥感,不眠,抑うつ。3症例に対して抑肝散および抑肝散加陳皮半夏で加療し,症状の改善がみられた。今回,処方選択において3症例が同一の職場環境であることを考慮した。抑肝散には母子同服という服用法が伝えられている。また,精神神経分野にて情動伝染(Emotional Contagion)という情動の共有システムがHoffman(1984)により提唱されている。総合的に考えると母子同服は情動伝染を考慮した経験的治療法であり、同一職場のような同じコミュニティ内でも応用可能と考察した。本症例のように,同一職場内の情動伝染を考慮した職場内同服は有用である可能性がある。</p>
著者
地野 充時 辻 正徳 隅越 誠 小林 亨 山本 昇伯 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.152-156, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
9

中建中湯は便秘に使用されることが多いと報告されている方剤である。今回,下痢,軟便に有効であった症例を経験した。有効5症例のうち,便秘を呈さなかった症例は4例であった。中建中湯は下痢・軟便症例にも有効であり,便秘に拘る必要はない。有効例においては,(1)腹鳴・腹満,(2)腹直筋攣急,(3)冷え,が多く認められ,これらの臨床症状が本方を処方する時の目標になりうると考えられた。
著者
飯田 智恵 山本 昇
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.1_43-1_50, 2004-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
24

安全な温罨法の表面温度と継続時間を検討することを目的に,熱による皮膚組織の変化を検討した。一定温度に保った銅管に,ウレタン麻酔下でマウス大腿部を接触させ,様々な温度と時間で加温後,7日後までの皮膚の変化を光学顕微鏡で観察した。42℃5時間または43℃以上の加温で表皮細胞核濃縮や表皮下水疱,肥満細胞脱顆粒,コラーゲン線維配列変化,白血球浸潤が観察され,7日後までに真皮深部まで壊死に陥った。42℃2時間加温では変性像が軽度見られただけであった。また異なる材質(アルミニウム管,ネル布,ポリエステル布)を接触させた場合,43℃2時間加温でも傷害の程度は銅管に接触させた場合より弱く,皮膚組織の壊死は観察されなかった。以上のことから43℃以上や42℃5時間の加温で低温熱傷発症の可能性が高いことが示唆された。従って,低温熱傷を予防するために温罨法の表面温度への配慮と適切なカバーの材質の選択が必要である。
著者
山本 昇吾 藤東 祥子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.347-358, 2011-05-20
参考文献数
28

再発性眼疾患に対して再発防止の目的で漢方治療を行った症例を呈示し,漢方治療の有効性について考察した。<br>眼科漢方30年の経験の中で,再発予防を目的として漢方治療を施した症例は27例あった。疾患の内訳は,再発性麦粒腫,再発性多発性霰粒腫,再発性結膜下出血,再発性糸状角膜炎,再発性角膜ヘルペス,Posner-Schlossman Syndrome,中心性漿液性脈絡網膜症,再発性硝子体出血であったが,随証治療の原則に従い,継続的に漢方治療を施したところ27例中12例で3年以上にわたって再発を認めなかった。<br>再発性眼疾患に対する再発防止は一般に困難と考えられているが,これらの結果は再発性眼疾患に対する漢方治療の有効性を示唆するもので,漢方は今後も試みるべき治療であると考える。また,今回の検討から,再発性疾患に対して治療を施した場合にその治療が有効であると言えるまでの年数に関する一つの基準として3年~4年が妥当ではないかと思われた。
著者
山本 昇三
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.29, no.326, pp.1072-1084, 1980-11-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
38
著者
植田 久美子 山本 昇志 中口 俊哉 津村 徳道 三宅 洋一
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.67, no.Suppliment1, pp.28-29, 2004-05-27 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2
被引用文献数
1

For exact color reproduction between printing matter and projected image, it is necessary to match the color on absolute XYZ color space. However, the color value of each pixel is affected by stray light from the surrounding pixels which is due to the multi-reflection of optical lens in projector. In this paper, we analyzed the influence of each color value between printing matter and projected image, and modeled the relationship. This model became possible to estimate the color change of projected image. Using this estimation, the color of image is corrected to match the printing matter. We demonstrate the proposed method for the print of Macbeth color checker and shows that the model is effective for color matching of projected images.
著者
山本 博昭 山本 昇
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.467-475, 1985-01-31

本報では, 国内果樹園の地理条件, 栽植密度にできるだけ合致しうる小型で自走式の果実振動収穫機と捕果専用機を設計・試作し, それらの基本的な作動特性を明らかにした。1) 試作したリム・シェーカは, クローラ型走行部, スライダ・クランク機構を利用した振動発生部, 枝をつかむブームとクランプ部, クランプを任意の位置へ移行させる位置決め機構部及びエンジンと動力伝達部から構成され, 走行部以外はすべて油圧駆動とした。したがって, 振動数, 振幅も適宜変更することができ, 枝をにぎるきよう握力も調節が可能である。2) 本機は定格8馬力のエンジンを塔載したが, クランプシリンダ等のアクチュエータ作動に約3馬力の動力が消費され, 枝を加振するのに使用可能な限界動力は5馬力程度となる。また振動する枝の正味仕事量を求め, 油圧駆動系加振部の動力伝達効率を計算すると, その値は40%以下となった。したがって, ゆすられる枝の振動負荷が約2馬力を越すとエンジンの動力不足が生じ, 本試作機の加振可能な限界振動数は, 設定振幅20mmで約17Hz, 28mmで15Hz, 43mmで14Hzとなった。より高い加振振動数, 振幅を確保するためには, さらに高馬力のエンジンを塔載する必要がある。3) 試作したキャッチングフレームは, クローラ型走行台車の上に装着された円形捕果面を有し, 油圧揺動モータの作動により瞬時の開閉が可能となる。捕果面は, 中心から円周方向に18°の登り匂配を持ち, その面積は約7m^2と12.5m^2の2通りに変えることができる。4) 捕果面上の各点に加速度計を埋設した木球を落下させ, 衝突時の最大衝撃加速度, 反発率等を測定した。落下高さ1.2mの場合を例にとると, 捕果面上での最大加速度は10&acd;40gの範囲に分布し, 全般には捕果面を支持するアーム上に近づくほどその値は大きくなるが, 直接地面に落下させた値(硬い地表面で150g, 柔かい地表面で約100g)に対比すると高い緩衝効果が認められた。
著者
池田 憲昭 土井 和美 宇野 彰男 山崎 美智子 宮原 英夫 山本 昇 木川田 隆一
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.376-382, 1991-08-31

計算機ネットワークを利用して,研究教育のための様々な情報をオンラインで利用可能とする試みの一つとして,北里大学全学部図書館の全所蔵雑誌および医学図書館所蔵図書の一部に関する所在情報を提供するシステムKLIS(Kitasato Library Information System)を作成した。データベースは,学術情報センター学術雑誌総合目録データベースの個別版提供サービスによって得た磁気テープから必要な情報を抽出し,医学部研究用ミニコンピュータHP9000/855sの磁気ディスクファイルとして作成した。収録した件数は欧文雑誌5,134件,和文雑誌4,551件で,各レコードは雑誌名,発行所名,所蔵図書館名,所蔵期間などからなる。さらに,本学医学図書館のオリジナルデータベースである雑誌特集記事索引および最近4年間の新着図書目録も検索の対象としてデータベース化した。検索システムはUNIXオペレーティングシステム上のC言語を用いて作成した。