著者
定延 利之 杉藤 美代子 友定 賢治 CAMPBELL Nick 犬飼 隆 森山 卓郎 本多 清志 朱 春躍
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

「音声言語」教育の基礎資料を作成するという本研究の目的を果たすために、基礎資料の全体的デザインを検討し、検討結果を反映させる形で調音映像資料と、会話音声資料の作成をおこなった。調音映像資料については45回を越える実験を通して「母音」「rとl」「有声音・無声音」「口蓋化」「促音」「無声化」「早口言葉」「りきみ」「空気すすり」等の映像資料を元にした。その中心は日本語であるが、比較対照のために英語・中国語の実験もおこない、調音映像の資料を作った。会話音声資料については、基礎資料作成のための材料として、大学生対話や低年齢層話者も含めた家庭内会話、社会人会話など100時間にせまる会話の映像と音声を記録・観察した。これらの作業の過程で、たとえばりきみや空気すすりのように、これまで軽視されていた行動が、大きな役割を果たすことを明らかにした。また、調音動態と会話分析の双方を収容する包括的な枠組みとして「文法」(音声文法)の必要性を明らかにした。以上の作業を通して得られた知見は、その都度「基礎資料の全体的デザイン」の再検討に反映した。得られた知見の学会発表や論文集出版、パネルディスカッション企画、24回の打ち合わせを通して、音声文法の若手研究人材の育成につとめた。これらの知見を日本語教育や国語教育に真に役立てるために、日本語教育や国語教育の関連学会大会でのデモや発表をおこない、「日本語音声コミュニケーション教育研究会」「日本語音声コミュニケーション研究会」を立ち上げ、成果を問うた。それとともに、インターネット上に基礎資料のサンプルを一部英語版も含めてアップし、国際的な規模で、教育現場の意見のフィードバックをおこなった。また、われわれの活動を広報するために、学会講演や一般書の出版、国際ワークショップ開催や新聞インタビュー、広報誌でPRするとともに、インターネット上にホームヘージを開設した。
著者
平井 啓之 竹本 浩典 本多 清志 党 建武
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.216-228, 2008-04-01
被引用文献数
1

3次元MRI動画と音声を用いて高品質な合成音声の生成を可能にする声道断面積モデルのパラメータ推定手法の提案を行う。始めに,複数話者のMR画像より計測された声道断面積関数を用いて,複数の話者,複数の音素の声道断面積関数を表現できる声道断面積モデルを構築する。次に,単語発声時の3次元MRI動画の声道形状から作成した声道断面積モデルを初期値として,モデルから計算された伝達関数が同じ単語を発声した時の音声のスペクトル包絡と一致するようにシミュレーテッドアニーリングを用いてパラメータの補正を行う。複数の単語に対してパラメータの推定実験を行い,合成音声と実音声とを比較することにより本方式の有効性を確認した。