著者
荻野 均 善甫 宣哉 松田 均 湊谷 謙司 東 信良 古森 公浩 大北 裕 本村 昇 志水 秀行 藤吉 俊毅
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

突然に発症し致死率の高い急性大動脈解離に関して、全国規模の診療データベースがなく、診療エビデンスも少ない。本研究においては、心臓血管外科に関する全国規模の悉皆性データベースであるNCD内のJCVSDと血管外科データベースに期間限定で追加項目を設定し、さらにステントグラフト実施基準管理委員会のデータも加え、急性大動脈解離の外科治療に特化したデータベースを作成し外科診療の実態を把握する。重篤かつ致死的な急性大動脈解離の克服のための全国規模の網羅的診療基盤データとして初めての試みであり、「脳卒中・循環器対策基本法」の対象疾患である急性大動脈解離の救急診療体制作りの基礎データとして有用と考える.
著者
杉山 悟 東 信良 孟 真 保田 知生 市来 正隆 佐久田 斉 松原 忍 八杉 巧 山田 典一 三井 信介 八巻 隆 岩田 博英 坂田 雅宏 佐戸川 弘之 菅野 範英 西部 俊哉
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.403-409, 2014 (Released:2014-11-25)
参考文献数
6
被引用文献数
7 2

要約:全国的には今まで十分な調査が行われていていなかった弾性ストッキングの使用状況と合併症の実態について,本学会の弾性ストッキング・コンダクター養成委員会とサーベイ委員会により調査を行った.192 施設からの有効回答があり,重大な合併症として,神経障害6 施設,潰瘍形成20 施設,下腿切断1 施設(心不全合併),肺塞栓2 施設,合計で28 施設(15%)からの報告があった.弾性ストッキングの適切な使用のためには,正しい理解の広い啓蒙が必要である.患者に対し圧迫療法を適切に指導するために,日本静脈学会が資格として認定しているストッキング・コンダクターの有資格者を中心とした医療スタッフによる適切な指導と経過観察が重要である.
著者
東 信良
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.187-195, 2018-06-05 (Released:2018-06-01)
参考文献数
20

糖尿病時代の到来によって,重症下肢虚血の診断は,循環障害(大小血管障害),易感染性に加え,時として合併する神経障害とそれによる変形や乾燥などの影響を受けて複雑化しており,目の前の患者の足病の病態を的確に理解するのは容易ではなくなっている.血行再建,感染に対するドレナージなど,タイミングを逸すると大きな組織欠損を余儀なくされるため,足病の治療を専門的に行う医療者だけでなく,初療を行う医療者にもわかりやすい分類,診断基準が求められる.そうした中にあって,米国血管外科学会から足病をwound, ischemia, infectionの3方向から診断するWIfI分類が提唱され,最新のガイドラインでその適用が推奨されている.治療方針やその順番の決定に加え,治療後の適切な管理を行ってゆくうえで,血管専門医は勿論のこと,足病に関わる他診療科や多職種にも同じ基準が受け入れられて,普及し,WIfI分類が診療科や施設を超えて共通言語として用いられることが期待される.