著者
上村 朋子 本田 多美枝
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.3, pp.194-207, 2004

本稿では、「概念分析」の手法について概観し、それぞれの手法が生み出されてきた背景について論じた。「概念分析」は1960年代の看護理論の開発に伴い、その構成ブロックである「概念」を明らかにする必要性から、欧米を中心に探究が進められているものである。看護の分野で使用されている「概念分析」の手法は、高校生の概念分析スキルの向上を意図して導かれたウイルソンの方法から展開している。その主なものは、システマテイックな方法として評価され、先行研究において最も採用されているウォーカーとアーヴァントの方法、また時間や状況による概念の変化に着目したロジャーズの革新的方法、実践現場で概念がどのような意味で使用されているのかを重視したバイブリッド・モデル、さらには、いくつかの概念を多面的に分析する同時的概念分析などである。「概念分析」は、これまで曖昧に使用されてきた「概念」を明確にすることを通して、看護の現象に迫る方法を提示している。それぞれの手法の活用にあたっては、分析の目的に適した手法を選択して、クリティカルな思考を展開することが重要である。
著者
上村 朋子 本田 多美枝
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report = The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing, intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.194-207, 2005-03-01

本稿では、「概念分析」の手法について概観し、それぞれの手法が生み出されてきた背景について論じた。「概念分析」は1960年代の看護理論の開発に伴い、その構成ブロックである「概念」を明らかにする必要性から、欧米を中心に探究が進められているものである。看護の分野で使用されている「概念分析」の手法は、高校生の概念分析スキルの向上を意図して導かれたウイルソンの方法から展開している。その主なものは、システマテイックな方法として評価され、先行研究において最も採用されているウォーカーとアーヴァントの方法、また時間や状況による概念の変化に着目したロジャーズの革新的方法、実践現場で概念がどのような意味で使用されているのかを重視したバイブリッド・モデル、さらには、いくつかの概念を多面的に分析する同時的概念分析などである。「概念分析」は、これまで曖昧に使用されてきた「概念」を明確にすることを通して、看護の現象に迫る方法を提示している。それぞれの手法の活用にあたっては、分析の目的に適した手法を選択して、クリティカルな思考を展開することが重要である。
著者
小手川 良江 本田 多美枝 平川 オリエ 本田 由美 寺門 とも子 八尋 万智子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report = The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing, intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.15-25, 2010-12-25

本研究の目的は看護師の「職業キャリア成熟」に影響する要因を明らかにすることである。看護師の「職業キャリア成熟」(27点〜135点)に、属性・経験年数・家族の支援・キャリア計画をたてるうえで影響の大きいライフイベント・役割モデルの有無・メンターの有無が影響していると考え、概念枠組みに基づき調査項目を設定した。設置主体が同じである二つの総合病院(A病院509床、B病院301床)に勤務する看護師を対象とし、無作為抽出により374名に調査用紙を配布した。調査は無記名自記式質問紙調査とし、郵送にて回収を行った。分析は記述統計量、t検定、一元配置分散分析、相関分析を行った。結果、「職業キャリア成熟」と経験年数に有意な差はなかった。しかし、全ての経験年数で他の下位尺度と比較して<職業キャリア計画性>が低かった。現在起こっているライフイベントの中でキャリア計画をたてるうえで影響が大きいものとしては、結婚61名(30.7%)、育児49名(24.6%)が多かったが、配偶関係や子どもの有無による「職業キャリア成熟」に有意差は認められなかった。しかし、家族の支援が高い群は有意に「職業キャリア成熟」が高く、家族の支援による影響が示唆された。また、役割モデルやメンターの存在がある群は、「職業キャリア成熟」が有意に高く、キャリア成熟の影響要因であることが示唆された。
著者
寺門 とも子 喜多 悦子 小川 里美 エレーラ ルルデス 本田 多美枝 上村 朋子 松尾 和枝 五十嵐 清
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
no.12, pp.57-62, 2013

日本赤十字九州国際看護大学では2012年10月、国際協力機構(JICA)インドネシア看護実践能力強化プロジェクトの一環として、インドネシア看護職の実践力強化のための継続教育システム(キャリア開発ラダー)実践研修の機会を得た。この実践研修はインドネシア保健省をはじめ、看護教育学部を持つインドネシア大学ほか5大学とその協力病院から責任者レベル看護教育担当者18名が参加し、日本赤十字九州ブロック医療施設3施設と本学の協力によって行い、一定の成果を得た。この成果は、引き続き、JICAプロジェクトとして、本学が中心となり、インドネシア国内の看護職現任教育(インサービストレーニング)に活かし発展させていくこととなった。本学が企画し、研修の評価に関わったので、これまでの経過と成果を報告する。Under the auspices of the Japan International Cooperation Agency (JICA), The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (JRCKICN) organized and conducted a training program that aims at reinforcing nursing practice in Indonesia by introducing the Japanese Red Cross career development ladder in nursing continuing education system, A total of 18 nurses participated in the training course; they currently hold line management positions at either the Indonesian Ministry of Health, one of the 5 partner faculties of nursing, or partner university hospitals. The first part of the training program was conducted in close collaboration with 3 Red Cross Hospitals and the Kyushu block. Results attained in the program's first phase are being applied during "in service training" at the national lee. This report presents the program planning and implementation processes along with preliminary achievements.
著者
喜多 悦子 江藤 節代 本田 多美枝 上村 朋子 青山 温子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

「人間の安全保障」は、個々の人間は暴力/紛争と、適切な保健サービスの利用・就学・就業・移動など、身近な欠乏から護られるべきとする概念だが、世界人権宣言など、古くから理念の集約とする意見もある。しかし、本理念が新たに必要になったのは、近年、多発する地域武力紛争(Complex Humanitarian Emergency、CHE)や国際武力介入、併発するテロ、巨大自然災害・新たな感染症、格差や貧困など、現在の地球上の人間の安全を脅かすものは、これまでの「国家安全保障」の範疇にはなく、改めて個々人の安全が問われているからといえる。一方、世界で最大多数を占める保健医療者として、人々の安全における看護者の役割は明確でない。本研究では、わが国の看護教育をふくめ、類似の概念があったかどうかを検討し、近隣諸国における看護およびその教育での扱いを調査してきた。これまで、わが国および近隣諸国の保健医療面、特に看護者に「人間の安全保障」の概念があるかどうかを調査したが、明確な認識があるとの確証は得られなかった。アジア随一のドーナーでもあるわが国には、160を超える看護大学と数百看護専門学校があり、看護職養成施設数は充足している感があり、また、その多くで国際保健/看護を扱っているが、国内的にも国際的にも、「人間の安全保障」の概念が取り入れられているとは云い難い。近隣諸国の看護職は、なお、その社会的地位の確立がなされていない上、教育においても、技術的に終始していることが多く、理念、ことに「人間の安全保障」の概念すら明確に理解されていない。国際看護師協会(International Council of Nurses,ICN)の謳う看護者の役割とも矛盾しない保健面における「人間の安全保障」の実践に看護職者の関与が期待されることを、研究報告書としてまとめた。
著者
松尾 和枝 本田 多美枝 江島 仁子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.7, pp.29-34, 2009

学生による授業評価に双方向性をもたせ、組織的・即時的に授業改善に活かすシステムづくりは、多くの大学で課題となっており、近年は、コンピュータの利用が注目されている。2002年から2007年の5年間を対象に、コンピュータによる授業評価システムに関する文献検討を行った。その結果、(1)授業評価システムのコンピュータ化は年々増加しているが、看護を含む保健医療分野での取り組みは報告がない、(2)システムはWeb上に作成することにより、組織的に実施することが可能となる、(3)媒体として携帯電話の利用は有用である、(4)授業評価システムは単独ではなく、多機能な学習支援システムの一部として統合できる可能性がある、(5)有用な授業評価システムにするには運用上の工夫が必要である、ことが明らかとなった。