著者
杉山 浩平 大崎 博之 今瀬 眞
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.42, pp.85-90, 2006-05-11
被引用文献数
4

近年、現実に存在するさまざまな複雑ネットワークの構造への注目が高まっている。このようなネットワークの構造が持つ特性は、例えば情報検索・データマイニング等へ、さまざまな形で応用が可能であると考えられる。しかし、ネットワークの構造からどのようなことが分かるか、また、ネットワークの構造をどのように活用できるかについては、これまで十分な検討が行なわれていない。そこで本稿では、論文の参考文献一覧・著者情報をもとに、論文の引用関係ネットワークおよび論文の共著関係ネットワークを構築する。さらに、ソーシャルネットワークの分析に用いられている、ネットワーク分析手法を適用することにより、論文の引用・共著ネットワークがどのような構造になっているかを明らかにする。その結果、論文の引用関係ネットワークはグループ構造を持たないこと、ノードの入次数(論文の被引用数)の分布がべき乗則に従うことなどが分かった。また、論文の共著関係ネットワークはグループ構造を持つこと、スケールフリー構造を持つことなどが分かった。
著者
村松 真理子 池上 俊一 杉山 浩平 日向 太郎 芳賀 京子 松田 陽 奈良澤 由美 中川 亜希
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

南イタリア・ヴェスヴィオ山麓は紀元後1世紀の火山噴火で埋没したポンペイ等の古代都市が発見され、近代考古学・古代史研究の礎が築かれた「領域 (イタリア語 territorio)」である。本研究計画は(I)2002年以来東京大学が当地域で行うソンマ・ヴェスヴィアーナ古代ヴィラ遺跡調査を総括し、(II) 歴史学、美術史、パブリック・アーケオロジー、文献学、文化史の専門家である分担研究者が協働し、当該「領域」の「古代の記憶」に位置付ることで新たな知見を獲得し、(III)国際シンポジウム等を通して文化遺産の研究・保存活用をめぐる国際的議論において、広く統合的人文知の新たな展望と社会的役割を呈示する。
著者
津川 翔 杉山 浩平 大崎 博之 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.204, pp.105-110, 2008-09-04
被引用文献数
1

本稿では、参加者のソーシャルネットワークのトポロジ構造から、開発型オンラインコミュニティの成功度を推定する手法を提案する。近年、社会活動のネットワーク化が急速に進んでおり、ネットワーク上にさまざまな種類のコミュニティ(オンラインコミュニティ)が形成されている。オンラインコミュニティを活発化し、成功へと導くためには、まず、オンラインコミュニティの現在の状態を適切に把握することが重要である。これまで、オンラインコミュニティの成功要因を分析した研究や、ソーシャルネットワークを分析した研究が数多く行われている。それらの研究結果は、参加者のソーシャルネットワークのトポロジ構造が、オンラインコミュニティの成功に大きな影響を与えることを示唆している。そこで本稿では、特に開発型のオンラインコミュニティを対象とし、ソーシャルネットワークのトポロジ構造からコミュニティの成功度を推定する指標CSI(Community Success Index)を提案する。開発型オンラインコミュニティのCSIは以下のように求められる。まず、参加者のソーシャルネットワークのトポロジ構造から、オンラインコミュニティにおける各参加者のリーダシップ度を推定する。推定した各参加者のリーダーシップ度から、オンラインコミュニティの成功度CSIを計算する。さらに本稿では、オープンソース・ソフトウェア開発のための代表的なオンラインコミュニティである、SourceForgeのログを用いた実験により、提案するCSIの有効性を評価する。その結果、提案するCSIは、開発型オンラインコミュニティの成功度の推定に有効である可能性が高いことを示す。
著者
杉山 浩平 大崎 博之 今瀬 真 八木 毅 村山 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.314, pp.7-12, 2007-11-08

本稿では、さまざまなリンクマイニング手法や従来のデータマイニング手法を統合的に扱うことができるフレームワークNMF (Network Mining Framework)を提案する。近年、リンクマイニングに代表される、複雑ネットワークのトポロジ構造を利用するさまざまな取り組みが活発に行われている。これまで数多くのリンクマイニング手法が提案されているが、これらは異なる分野でそれぞれ独立に研究されてきた。このため現状では、それらのリンクマイニング手法を相互に連携させて利用することは困難である。そこで本稿では、さまざまなリンクマイニング手法や従来のデータマイニング手法を統合的に扱うことができる、「ネットワークマイニング」のためのフレームワークNMFを提案する。NMFは、入出力の形式が統一された7種類の機能ブロックによって構成され、これらの機能ブロックを自由に接続することにより、さまざまなネットワークマイニング手法の実現を可能とする。さらに本稿では、NMFの利用例を示し、NMFによって高度なネットワークマイニングが可能となることを示す。