著者
高崎 みどり 杉本 明子 佐々木 泰子 立川 和美 星野 祐子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、文章・談話の中の引用表現について、その実態を明らかにし、分析を施すことを目的とした研究である。扱ったデータは雑談、目的をもった会話、随筆等と多岐に渡る。引用表現について、文レベルでは扱えなかった諸現象に注目し、話し手および書き手の言語行動の戦略的所産として捉え直すことで、引用表現研究の新たな研究の可能性を示すことができた。
著者
杉本 明子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.347-361, 2022-12-30 (Released:2022-12-30)
参考文献数
57

本研究は,小学校教員に対する質問紙調査により,(1)日本語のディスレクシア児の書字に関する特徴的な認知障害を包括的に検討すること,(2)それらの認知障害を測定する尺度を作成し,その信頼性・妥当性を検討すること,(3)日本語のディスレクシアの書字障害にはどのようなサブタイプが存在するのかを明らかにすること,(4)各々のサブタイプは読み書き能力とどのように関係しているのかを検討することを目的とした。書字特性の因子分析の結果から,日本語のディスレクシア児では書字に関して4つの主要な認知障害――心的辞書障害,視覚性障害,音韻性障害,書字運動障害――が存在すること,および,これらの認知障害を測定する「ディスレクシア児の書字障害尺度」(WDS-DC)は,信頼性・妥当性が高いことが示唆された。さらに,クラスタ分析により発達性書字障害のサブタイプを分析したところ,重度多重障害群,中度多重障害群,視覚処理障害群が存在することが示唆され,重度多重障害群と中度多重障害群は全ての文字種の読み書き能力において,視覚処理障害群,ボーダー群,障害なし群より低いことが示された。
著者
杉本 明子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.153-162, 1991-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
4 1

This study was an attempt to investiga te why and how writers have reflections in writing opinion essays. This article focused on the processes of writers' examining, clarifying, and organizing knowledge in reflection. Previous studies had pointed out the importance of discourse knowledge in reflective writing. This study attempted to show the important role of task situation (i.e. relations between writers and readers, ideas they have, kind of text writers produce, content of the assertion) in reflection. In this experiment, Ss were assigned to one of three treatment groups (one writing with task situation, another writing without such situation but with the instruction to use discourse knowledge, and the control group) to examine effects of task situation and discourse knowledge. The major results were as follows: 1) Task situation activated persuasion schema which played a role as a perspective for writers to examine, to clarify and to organize knowledge in writing. 2) Given the instruction to use discourse knowledge without task situation, writers rarely organized knowledge coherently or held global reflective process.
著者
杉本 明子 柏崎 秀子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.93, pp.13-18, 2002-05-20

本研究では、日本語学習者が電子メールを利用して行ったコミュニケーションにおいて、どのような発話の機能や構造が見られるのかを質的に分析し、発話機能と発話ぺアの構造の関係、議論における立場表明の表現方法、議論の構成要素の観点から、日本語学習者の議論が対人配慮の点でどのような特徴を持っているのかについて考察した。その結果、相手の意見に賛成する場合には、メールの最初で明示的な表現で賛成の意見表明をするのに対して、反対する場合には、まず根拠を記述してから暗示的な表現で反対意見を述べる傾向があるということが見出された。日本語学習者の議論形式は、対人関係の配慮から、自分の意見の明確な表明や相手への明示的な批判は回避するという日本人特有の議論形式に類似しているということが示唆された。
著者
杉本 明子 柏崎 秀子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.92, pp.13-18, 2002-05-20

本研究では、日本語学習者が電子メールを利用して行ったコミュニケーションにおいて、どのような発話の機能や構造が見られるのかを質的に分析し、発話機能と発話ぺアの構造の闘系、議論における立場表明の表現方法、議論の構成要素の観点から、日本語学習者の議論が対人配慮の点でどのような特徴を持っているのかについて考察した。その結果、相手の意見に賛成する場合には、メールの最初で明示的な表現で賛成の意見表明をするのに対して、反対する場合には、まず根拠を記述してから暗示的な表現で反対意見を述べる傾向があるということが見出された。日本語学習者の議論形式は、対人関係の配慮から、自分の意見の明確な表明や相手への明示的な批判は回避するという日本人特有の議論形式に類似しているということが示唆された。