著者
星野 祐子
出版者
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.245-254, 2006

This paper aims to describe the discourse structure of a radio advice program called "Telephone JINSEI SODAN" and the role its emcee plays in the program. Each episode of this long-running call-in show involves an adviser, an advisee and an emcee and centers on the advisee's problem. The 20-minute program can be divided into 5 phases. I. Opening remarks ; the emcee and the advisee exchange greetings and the advisee acknowledges the opportunity to gain useful information ; II. Unfolding the problem ; utilizing a Q-A format, the emcee induces the advisee to describe his/her problem. The emcee then makes the gist of the issue and introduces the adviser over the phone ; III. Advising ; the adviser counsels the advisee on what to do ; IV. Summarizing ; the emcee intervenes and wraps up the previous advice-giving ; V. Closing remarks: the emcee and the adviser greet each other and the advisee expresses his/her gratitude again. The emcee takes part in Phases I, II, IV and V but not in Phase III. As a program host, the emcee uses discourse markers that facilitate a shift from one phase to the next. Such discourse markers\include "ja", "de", and "hai".
著者
高崎 みどり 杉本 明子 佐々木 泰子 立川 和美 星野 祐子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、文章・談話の中の引用表現について、その実態を明らかにし、分析を施すことを目的とした研究である。扱ったデータは雑談、目的をもった会話、随筆等と多岐に渡る。引用表現について、文レベルでは扱えなかった諸現象に注目し、話し手および書き手の言語行動の戦略的所産として捉え直すことで、引用表現研究の新たな研究の可能性を示すことができた。
著者
篠原未歩 石井英里子 星野祐子 山田光穗
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.40-55, 2021 (Released:2022-03-18)

映像視聴が人にもたらす効果の研究では,主観評価や眼球運動計測を用いる研究が多く行われているが,生体信号を軸とした研究事例が少ないのが現状である.また,「癒やし効果」に関しては評価基準が難しく,明確な研究報告が行われていない.そこで,本研究では「癒やし効果」に着目し,主観に左右されない生体信号を用いることで高精細映像がもたらす効果を明らかにする.癒やし効果の評価にはリラックスに関連する副交感神経の影響を評価することが最適だと判断し,計測する生体信号は心拍数,呼吸数,脳血流動態,皮膚温度とした.さら に,映像品質に関する重要な要素である解像度と色域 ・輝度に着目し, ,2種類の実験を行うことで,より詳細に高精細映像が人にもたらす癒やし効果を解析・検討した. 本研究結果では,高解像度・広色域・高輝度の自然映像に 大きな 効果が見られた.このことから,高品質な映像条件で視聴することによって,実際に見る景色に近づき,自然の中にいる時と同等の癒やし効果を得られる可能性が高いことを示した.
著者
菅沼 美由起 山村 知生 星野 祐子 山田 光穗
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.8-20, 2017 (Released:2019-11-03)
参考文献数
18

口唇動作認識とは,音声認識と顔認識を組み合わせたマルチモーダル認識であり,発話認識技術の1つとして研究されている。我々はこの技術に着目し,顔認識ソフトを用いた発話トレーニングシステムを本研究室で開発した。今回我々は,本研究室で開発したシステムを用いて英語発話トレーニングを行った。それに伴い本校英語教員の発話データを取得し,データベースの作成も行った。このトレーニングでは英語教員の口唇動作と発話学習者の口唇動作を比較して発話トレーニングを行うことで,プレゼンテーションや面接時の発話改善,外国語の発話能力改善に役立てることを目的としている。発話の改善を示す評価結果は発話学習者に学習へのインセンティブとなる。本稿では発話動作を時系列に並べた口唇動作履歴による主観的な評価に加え,音声を可視化することのできるIPA チャートを用いた客観的な評価法の検討を行った結果を示す。
著者
大友 隆秀 望月 信哉 石井 英里子 星野 祐子 山田 光穗
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.36-42, 2020 (Released:2020-03-20)
参考文献数
23

コンシューマー向けの低価格な非接触型の視線入力装置が販売されるなど視線インタフェースには大きな注目が集まっている。我々はこの非接触型の装置を使用した新しいユーザインタラクションシステムの開発を試みた。提案するインタラクションシステムは注視点と注視時間に基づいて、ウェブページからユーザが関心を持つと推定される単語を自動的に抽出し、画面に関連情報を自動で呈示する。本稿では、興味情報の抽出を行うインタラクションシステムの基礎的な検討として、提案するシステムの仕組みと検証を行った結果を示す。
著者
星野 祐子
雑誌
十文字学園女子大学紀要 = Bulletin of Jumonji University (ISSN:24240591)
巻号頁・発行日
no.47, pp.91-104, 2017-03-24

近代日本における外来語の受容と定着過程をみてみると、明治期は、文明開化をきっかけに西洋語由来の外来語が、日本語の語彙体系に大量に組み込まれた時期としてみなすことができる。続く大正期は、外来語のカタカナ表記が徐々に定着し、表記の標準化が図られた時期として、そして、昭和初期は、大正期に大衆化した外来語が徐々に整理され、定着していく途上の時期として捉えることができる。さて、外来語の流入は、新しい文化の流入と等しいわけだが、新しい文化として、庶民に最も身近であったものは、おそらく食文化ではないだろうか。そこで、本研究では、グルメ雑誌の先駆けである『月刊食道楽』を資料に、明治末期、昭和初期における外来語の使用実態とその機能を分析する。庶民生活の中で、「食」にまつわる外来語はどのように表現されたのだろうか。 明治期『食道楽』と昭和期『食道楽』をそれぞれ比較したところ、明治期『食道楽』は、欧米の食文化を伝えるために、言わば文脈上必須の語として外来語が用いられていたことが明らかになった。そのため、読み手への工夫として、ルビや付記の活用がみられた。ただし、日本語文における外来語の取り入れ方については、パターンがあるわけではなく、形式に原語の名残がみられることも多かった。和語と外来語の結合についても、現代から言えば違和感のあるものも多く、廃れていった結合パターンも散見された。また、外来語を使用することでの文体面での効果としては、スタイリッシュな響きの演出、カタカナ表記の使用による漢字・ひらがなとの差別化などが挙げられる。そして、昭和期『食道楽』では、外来語の使用がより一層戦略的になった。外来語使用に、洗練された現代的な印象を求めるのは明治期と相違ないが、文脈の助けを受け、皮肉や滑稽さの伝達に外来語が効果的に使われるようになったのである。この点に明治期と異なる外来語の使いこなしを認めることができる。