著者
杉村 健 吉田 毅
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.33-42, 1986-03-23

研究Iでは、小学2、4、6年生を用いて、京大NX知能検査の下位テストである「日常記憶」の得点が高い者は低い者に比べて、国語、社会、算数、理科の4教科すべての成績がよく、記憶力が学業成績の重要な規定因であることを示した。記憶力と成績の関係は学年と教科によって若干異なっており、例えば、国語と記憶力の関係は2年生よりも4、6年生で強いことが示唆された。記憶力が高い者の学業成績の標準偏差は小さく、記憶力が低い者の標準偏差が大きいことからみて、記憶力が高い場合は高い学業成績を予測できるが、低い者については学業成績が予測しにくいといえる。研究IIでは、数学の学習塾に通っている中学3年生の子どものうちで、小学6年生のときに実施した京大NX知能検査の数因子よりも空間因子の偏差値が5点以上低い者2名(S.Y.とA.H.)と高い者1名(Y.Y.)を選び出し、その指導過程を紹介するとともに、計算を主とするテストの成績と図形を主とするテストの成績(いずれも塾で実施)を中学1年と2年のときに比較し、中学3年のときに再び知能検査を実施した。S.Y.は、小学6年と中学3年の知能検査がともに数因子>図形因子であって、数学の成績も1年生、2年生ともに計算>図形であり、知能の因子と数学の成績の間に完全な対応がみられた。事例A.H.は、小学6年では数因子>空間因子であり、中学1年の成績はそれに対応して計算>図形であったか、中学2年では計算<図形に変わり、それに応じて知能の因子は数因子=空間因子となった。事例Y.Y.は、小学6年、中学3年ともに知能検査では数因子<空間因子であったのに、数学の成績は中学1、2年ともに計算>図形であって知能の因子との対応はみられなかった。数因子と空間因子の偏差値の差があまり大きくない場合には、数学の成績との対応関係があまり明確ではないことが示唆された。
著者
杉村 健 多喜 裕美
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.79-91, 1991-03-01

2、4、6年生の国語と算数の宿題について組織的に調査を行なった。学年が進むにつれて、宿題に要する時間、宿題をいつもしている者、学習塾に通っている者は増加するが、宿題が好きな者、宿題が成績の向上や授業の理解に役立つと考えている者、復習や予習をする者は減少する。男女差は国語の方が大きい。成績と宿題との関係は2年生よりも4、6年生で強い。成績の良い者は良くない者と比べて、宿題をいつも、自分から進んでしており、2年生では親に見てもらう者が少なく、国語の予習をし、算数の宿題が役に立つと考えている。
著者
杉村 健 清水 益治
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.45-51, 1988-03-01

FIGHT日文式学習意欲診断検査を用いて、中学生の学習意欲と学業成績の関係を調べた。学習意欲の現れ方では集中力、回復力、および学習への主体性が学業成績と関係が深かった。持続力は男子の学業成績と関係があった。学習意欲の要因では学習達成動機、学習への興味、学習への価値感が学業成績と関係があったが、学習の自己能力感は関係がなかった。学習意欲を支える要因としては答案の利用法が学業成績と関係が深かった。
著者
山本 敏久 杉村 健
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-124, 1996-03-01

宿題を忘れた級友が叱責されるという仮想場面で、小学2、4、6年生の反省の程度を調べた。すべての場面で学年とともに反省の程度が減少した。4、6年生では、叱責に対して反発する子どもよりも萎縮する子どもの方が反省するが、宿題を忘れた理由を聞くと、前者の子どもの反省が促された。教師の機嫌が悪いからと認知する子どもよりも、励ますためと認知する子どもの方が反省するが、理由を聞くと前者の子どもの反省が促された。反発感情と機嫌認知、萎縮感情と励まし認知はそれぞれ反省に対し類似した効果があった。
著者
杉村 健 多喜 裕美
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.79-91, 1991-03-01

2、4、6年生の国語と算数の宿題について組織的に調査を行なった。学年が進むにつれて、宿題に要する時間、宿題をいつもしている者、学習塾に通っている者は増加するが、宿題が好きな者、宿題が成績の向上や授業の理解に役立つと考えている者、復習や予習をする者は減少する。男女差は国語の方が大きい。成績と宿題との関係は2年生よりも4、6年生で強い。成績の良い者は良くない者と比べて、宿題をいつも、自分から進んでしており、2年生では親に見てもらう者が少なく、国語の予習をし、算数の宿題が役に立つと考えている。
著者
山本 敏久 杉村 健
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.119-124, 1996-03-01

宿題を忘れた級友が叱責されるという仮想場面で、小学2、4、6年生の反省の程度を調べた。すべての場面で学年とともに反省の程度が減少した。4、6年生では、叱責に対して反発する子どもよりも萎縮する子どもの方が反省するが、宿題を忘れた理由を聞くと、前者の子どもの反省が促された。教師の機嫌が悪いからと認知する子どもよりも、励ますためと認知する子どもの方が反省するが、理由を聞くと前者の子どもの反省が促された。反発感情と機嫌認知、萎縮感情と励まし認知はそれぞれ反省に対し類似した効果があった。
著者
杉村 健 多喜 裕美
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.p123-136, 1990-11

The purpose of this study was to examine developmental changes in the hierarchical relations of natural concepts. A total of 24 questions such as "Is a X a kind of Ys? were provided for the higher-middle, the middle-lower, and the higher-lower relations in the two natural concepts: living thing/fish and bird/gold fish and pigeon, and food/fruit and vegetable/banana and cabbage. Half the questions represented correct inclusion relations such as "Is a bird a kind of living things?" and the remaining ones represented incorrect inclusion relations such as "Is a living thing a kind of birds?" Forty-seven kindergartners, 85 second-, 99 forth- and 123 sixth-graders were required to answer the 24 questions by "Yes" or "No". Correct scores. (1) The scores were about the same for the kindergartners and the second graders, and increased from the forth to sixth graders. (2) The scores of correct questions were high even in the kindergartners and did not change with grades by the forth graders, whereas those of incorrect questions were low in the kindergartners and increased with grades. (3) The scores of foods were higher than those of living things for the forth and the sixth graders but for the kindergartners and the second graders the two scores did not significantly differ. (4) The scores of correct questions were significantly higher than those of incorrect questions in the middle-lower relations, but the two scores were about the same in the higher-middle and the higher-lower relations. Response patterns. (1) For the correct questions the percentages of the subjects who showed the correct answers in the three relations (○○○ pattern) were larger for the foods than for the living things, whereas the reverse was true for the incorrect questions. (2) The percentages of the subjects who showed the ○○○ pattern both in the correct and incorrect questions were very small in the kindergartners and the lower graders. Even for the sixth garders the percentages were 44.7 for the foods and 35.0 for the living things.
著者
杉村 健
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.211-215, 1966-12-31

本研究の主な目的は,教室における暗黙の強化は競争場面では生じるが,非競争場面では生じないという仮説を検証することであった。被験者は小学校5年生の児童であった。1学級の男女それぞれ20名ずつからなっている4学級のうち,2学級の者には競争的教示のもとで課題が与えられ,残り2学級の者には非競争的教示のもとで与えられた。8個の図形に対応する1から8までの数字を書かせる符号問題を4分間ずつ2日続きでやらせた。第1日目の成績と男女の数にもとづいて各学級を半分に分け,第2日目の開始前に,各学級の半数の者に対して第1目目の成績についての明白な強化(称賛・叱責)が与えられた。すなわち競争場面と非競争場面のそれぞれについて,1学級の半数の者は級友の前で正の強化(称賛)が与えられ(EP群),残りの学級の半数の者は同様に負の強化(叱責)が与えられた(EN群)。前者の学級においてなにも言われなかった者は,級友が強化されるのを観察することによつて,暗黙のうちに負の強化を受けたとみなされ(IN群),後者の学級では明白な負の強化を与えられた級友を観察することによって,暗黙のうちに正の強化を受けたものとみなされた(IP群)。第2目目の正答数から第1目目のそれを引いた値を測度として実験的処理の効果を調べたところ,主な結果は次のとおりであった。(a)競争場面では,暗黙の強化における正と負の効果のちがいが大きく(IP群とIN群),明白た強化での正と負の効果にはあまりちがいがなかった。(b)非競争場面では,明白な強化における正と負の効果のちがいが著しいが(EP群とEN群),暗黙の強化ではそれがわずかであった。(C)明白な強化においては,男子では正と負の効果にちがいが認められないが,女子では正の強化が負の強化にくらべて著しく成績を向上させた。(a)と(b)の結果から,暗黙の強化という現象が競争場面でしか生じないという仮説が大体支持され,そしてその理由が考察された。(C)の結果は,女子が明白な正と負の強化に対して,敏感にそして分化的に反応しやすいという点で,従来の研究と一致Lた。