著者
李 娜
出版者
北海道大学大学院文学院
雑誌
研究論集 (ISSN:24352799)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.21-34, 2022-01-31

従来では,可能の否定文について禁止や不許可など用法があることは指摘されてきた。本稿は,このような現象に着目し,さらに動作主を聞き手のみならず,話し手や第三者を含め,可能本来の意味を踏まえ,可能の否定文を多角的に議論したものである。言語行為論では,可能形式が表す許可などは間接発話行為として扱われることがある。本稿では,間接発話行為に関わる適切性条件という側面ではなく,共通基盤という概念を援用し,動的な観点から会話参加者が否定の可能文を使用することでどのような共通基盤化のプロセスを経て,どんな共同行為を達成できるかを論じてきた。共通基盤が形成された際に状況文脈,形式文脈,知識文脈という3種類の文脈の役割を考慮しながら考察を行った。考察した結果,従来で指摘された禁止や不許可以外に,大きく相手の提案に対する却下,依頼または発話者の情緒表出という多義な解釈があることがわかった。
著者
李 娜 青山 透 堀 弘 江崎 孝行
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.763-769, 1997-08-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
12
被引用文献数
4 3

24時間循環風呂のレジオネラ汚染対策を検討するため, この風呂を使用している家庭を選択し浴槽水のレジオネラと一般細菌数を抑制する試みを行った.実験に先立ち, 24時間風呂を使用している家庭16軒の浴水を調査した所, 6軒の浴水からレジオネラが分離された.陽性になった5軒を選び, 風呂水を交換しモニターを開始したところ5軒中3軒の風呂からLegiouella pueumophilaが分離され, 菌数は最高値で103CFU/mlに達した.また一般細菌数も最高値で105CFU/mlに達した.このことから24時間循環風呂の汚染を除去する対策を立てるため, 使用後の浴水に塩素剤を投入し, 一般細菌とレジオネラの菌数の変動をモニターした.初期有効濃度が2ppmになるように塩素を投与すると1時間後には一般細菌, レジオネラのいずれも検出されなくなった.この条件で実際の浴槽の菌をモニターした結果, 毎日, 使用後に塩素濃度が2ppmになるように投与した場合, レジオネラは検出されなくなることがわかった.