著者
村山 航
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.262-268, 2004-08-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

This study investigated effects of test format on use of different learning strategies and their perceived utility. It was conducted in a classroom setting. Sixty seven (67) eighth grade students participated in the study, and were randomly assigned to one of two experimental conditions: fill-in test or essay test conditions. They took a history class for five days, and at the end of each session, took a test about the lecture with the format of their conditions. Results showed that in comparison with fill-in format, essay format facilitated use of deep-processing learning strategy, and decreased use of such strategies as rote memory. No significant effect was found for perceived utility of learning strategies, suggesting that it did not mediate the format effect. Underlying mechanism of the format effect and practical value of the current research were discussed.
著者
高橋 亜希子 村山 航
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.371-383, 2006-09-30
被引用文献数
1 6

総合的な学習(総合学習)の時間の導入から3年が経過し,成果の一方さまざまな困難も指摘されている。総合学習で生徒への適切な支援やカリキュラム編成を考えていくためには,総合学習の達成を促進する要因を検討する必要がある。本研究では,先行研究ではあまり検討されてこなかった総合学習に特徴的な学習様式に着目し,総合学習を達成するために必要な要因を検討した。特に,量的検討と質的検討を組み合わせた手法を用いて,探索的な検討を行った。調査1では,総合的な学習に参加した高校生106人に対して質問紙調査を行った。その結果,教科の成績のみならず,テーマ決定や学習者の意欲・作業の進捗状況などが,総合学習の成績と相関を持つことが示された。調査2では,調査1において残差が大きかった生徒を抽出してインタビューを行い,事例を通した質的な検討を行った。その結果,「生徒の自我関与の深い領域とテーマとの結びつき」「研究の枠組み・計画の明確性」「情報収集や支援・資源へ向かう能動性」「教師からの適切な支援の有無」の4つの主要な要因が得られた。それぞれの要因に関して,総合学習独自の学習様式との関連から考察を行った。
著者
村山 航
出版者
高知工科大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は,昨年度作成したトリビアクイズ課題・マジックショー課題を用いて,機能的磁気共鳴画像法によって,知的好奇心の脳内基盤を調べることが目的であった。この実験では,トリビアクイズやマジックショー課題をスキャナ内で被験者(大学生)に提示し,クイズの答えやマジックのタネをどれくらい知りたいかを,意思決定課題を用いて調べた。この意思決定課題の反応を用いて,知的好奇心に関わる脳内部位を知ることが可能になる。この実験では,こうした知的好奇心を掻き立てる刺激だけでなく,食べ物の写真も提示し,外発的な報酬(動機づけ)に関わる脳部位も調べることで,この両者の脳内表象が重なっているかをしているかを調べることも可能になる。実験の結果,知的好奇心も外発的な報酬(食べ物)も,線条体という脳内の報酬系によって支えられていることが明らかになった。一方,意外なことに,知的好奇心特有,もしくは外発的な報酬に特有の脳部位は,現在までの分析では得られていない。このメインの結果は,現在論文を執筆中である。こうしたメインの脳イメージング実験に加え,いくつかの実験や文献レビューを行い,知的好奇心の心的メカニズムに関して,いくつもの系統的な検討を行った。たとえば,文献レビューの1つでは,知的好奇心が脳内の報酬系を活性化させることで,生活における適応的な自己制御を促進することを明らかにし,研究論文として出版された。また,別の行動実験では,こうした外的報酬と内発的報酬のダイナミクスに関して,人間は不十分な理解しかないため,自己制御的行動に不順が生じる可能性を示唆した。