著者
丸山 純一 長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.151, pp.31-36, 2006-07-06

本稿では,悪意あるユーザによって不正に改造され,利己的な挙動をするTCP(tampered-TCPと呼ぶ)がネットワークに与える影響を評価する.具体的には,tampered-TCPの中でもウィンドウサイズの上げ幅と下げ幅を変更したものを対象とし,数学的解析手法を用いて,TCP Renoコネクションとtampered-TCPコネクションが共存する環境における,tampered-TCPコネクションの平均スループットを導出する.さらに,シミュレーション評価によって数学的解析手法の妥当性を検証するとともに,以下の3点を明らかにする.(1)上げ幅が3以上の場合,再送タイムアウトが増加することによってスループットが低下すること,(2)下げ幅を小さくすることでスループットが増大すること,(3)下げ幅を小さくすることの効果より,上げ幅の増加によるスループットの低下の影響の方が強いこと.これらの結果を通じて,tampered-TCPの有効範囲がごく狭い領域に限られることを示す.
著者
橋本 雅和 阿多 信吾 北村 浩 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.689, pp.79-84, 2005-02-24

IPv6の持つ新たな機能であるエニーキャストは, 同じサービスを提供する複数のサーバに共通のIPアドレスを割り当てて複数のサーバの中から最適なサーバを1つ選んで通信する機能であり, その特性から様々な用途が期待されている.特にIP層でのエニーキャストの実現は, 既存のアプリケーションに変更を加えず使用することができるという利点がある.しかし, 通信の対象となるノードがインターネット上に広く分散しているという特徴を持つグローバルエニーキャストの実現には, 既存の経路制御を大きく変更する必要があり, 実現が困難であると思われてきた.そこで本研究では, Mobile IPv6とグローバルエニーキャストのメカニズムの比較から多くの類似点を見いだして, Mobile IPv6のメカニズムを応用することによりグローバルエニーキャストを容易に実現できることを発見したので, その手法を報告する.
著者
北村 浩 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.420, pp.121-126, 2006-12-07
被引用文献数
13

IP通信のセッションを多重化して識別するには、ネットワーク層のアドレス情報とトランスポート層のポート情報を用いて行うものだと思われている。この方式では異なる二つの層で多重化を行うことになり、フィルタリングをはじめ多くの機能実装の効率が悪いことに加えセキュリティ的にも問題があり、適切な方式になっていない。この方式が用いられてきたのは、一般に1つのノードには1つのIPアドレスしか割当てないため、ポートでの多重化を考えたためである。しかし、IPv6の時代になり、1つのノードに複数のIPアドレスを割当てることが一般的になった今、セッションの多重化方式を見直す時が来ている。本論文はUnified Multiplexと呼ぶネットワーク層一層だけで多重化を行う新しい通信方式に関するアーキテクチャについて論述する。
著者
福田 健太郎 若宮 直紀 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.241, pp.49-54, 1997-08-28
被引用文献数
6

本稿では, MPEG-2符号化された動画像における, ユーザの要求する動画像品質と必要帯域の関係を明らかにしている. TV会議システムの様な分散型マルチメディアアプリケーションにおいて, ユーザの要求する動画像品質を保証するためには, ATMやRSVPなどのような帯域保証可能なネットワークを用いることが有効である. しかしながら, これまで量子化の度合いや, 空間解像度, 時間解像度などの動画像品質を決定するQoSパラメータと, QoSを保証するために必要となる帯域の関係は明らかにされておらず, 特に動画像の実時間転送を行なう際に適切な帯域割当を行なうことは困難であった. そこで, 本稿では実際のMPEG-2動画像データに基づき, これらのQoSパラメータから容易に必要帯域を導出することができる関係を明らかにしている. また, 本稿ではQoSパラメータと実際にユーザの感じる動画像品質(主観評価)の関係についても明らかにしている. 本稿に示す相関関係を用いることにより, ユーザの要求する動画像品質を提供するQoSパラメータを決定し, さらにQoSを保証するために必要な帯域をあらかじめ予測することが可能となる. また, ネットワークが高負荷の場合など必要な帯域の確保が困難な場合に, 動画像品質を出来る限り高く保ちつつ必要帯域を減らすためのレート制御法についても検討を行なっている.