著者
山中 直明 西村 光弘 石黒 正揮 岡崎 義勝 川西 哲也 釣谷 剛宏 中尾 彰宏 原井 洋明 廣岡 俊彦 古川 英昭 宮澤 雅典 山本 直克 吉野 修一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.3, pp.315-336, 2021-03-01

2020年に我が国でも5G商用サービスが本格開始され,2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは,5Gを応用したサービスのトライアルが行われる.一方,同時に将来の技術やニーズを先取りしたBeyond 5G/6Gの研究開発スタートの年となる.Beyond 5G/6Gを検討する際は,将来を予想して必要となるサービスを左手とするならば,ブレークスルーにより発展する基盤技術を右手として,それらを融合するネットワークアーキテクチャを面的に考え,同時に時間軸のステップを考える必要がある.そのため,総務省が主体となり「Beyond 5G時代の有線ネットワーク検討会」を発足させ,キャリア,国立研究機関,アカデミアに加え,本分野の代表的な電子情報通信学会研究専門委員会の委員長,コンソーシアムの主導者にも参加頂き,Beyond 5Gのオーバービューとブレークスルー技術等の取りまとめを行った.本論文では,そこで取りまとめた「ネットワークビジョン2030」を電子情報通信学会の多くの読者,研究者に提供することにより,自らのビジネスや研究へのヒントを得ると同時に,各分野の最新動向をフィードバック頂くことで,常に最新のビジョンへブラッシュアップすることを目指し,執筆を行った.
著者
木全 崇 寺西 裕一 細川 貴史 原井 洋明 下條 真司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.339-350, 2020-02-15

IoT(Internet of Things)において生成されるデータを,時刻などの連続値をキーとして保存・処理可能な分散クラウドストレージ上で消費電力の削減を実現する新たな管理・制御手法VNLB-ESを提案する.VNLB-ESは,分散クラウドストレージシステムにかかるストレージ負荷・検索負荷・処理負荷を,仮想ノードを用いて効率的に複数の物理ノード(計算機)に分散させる機能を備える.また,要求される処理に必要となるリソース量が少ない状況では,仮想ノードが稼働しない物理ノードを確保して,停止/一時停止状態とする機能を提供する.これら2つの機能の組合せにより,物理ノード間の効率的な負荷分散を実現しつつ,システム全体の消費電力を大幅に削減する.シミュレーション評価,および,実機を用いた評価により,VNLB-ESが,既存の負荷分散方式と比べて最大で電力消費量を70%程度削減できることを示した.
著者
大西 真晶 原井 洋明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信
巻号頁・発行日
vol.112, no.44, pp.179-185, 2012-05-14
参考文献数
11

地震,台風などの広域災害発生直後でも健全である無線アクセス網の構成法として無線メッシュ網の基地局の位置に基づいて局所分散構成可能なネットワーキング手法として迂回経路を用いたドロネーオーバーレイ網構成手法が提案されている.本研究報告ではこの詳細な実装方針について検討する.まず,ローレイヤと迂回経路レイヤ,ドロネーオーバレイネットワークレイヤにおける接続の関係について整理する.また,各層の関係に基づいた接続の確立手順についても検討する.具体的には既存の接続を最大限に利用した安定的な迂回経路の確立を優先し,確立の可否が不明な層の接続の確立を後回しにする.迂回経路による接続の確立後,この接続を用いて制御メッセージを交換し他の層の接続を確立する迂回経路の後追い接続構成法の手順について検討する.また,簡易なシミュレーションの実行により,構成手順の動作を確認する.
著者
鈴木 基志 高橋 耐志 原井 洋明 小関 健
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J88-B, no.8, pp.1411-1421, 2005-08-01

波長変換装置の導入は,ネットワーク全体の装置コストや管理コストの削減につながる可能性がある.経路上の各リンクで異なる空き波長を用いてパスを設定し,波長の有効利用ができるからである.本論文では,近年多くの研究がなされている,波長パスと波長群パスの二階層による階層型光パスネットワークにおいて,波長変換装置の導入によるコスト最小構成を検討する.我々は,複数の波長パスを波長群にグループ化するときと波長群パスを分解するときのみに波長変換を許すこと,及び,それを実現するノード構成を提案する.整数線形計画法により階層型光パスネットワークの最小化問題を定式化し,問題を明確にする.多ノードのネットワークでも適用可能なヒューリスティックアルゴリズムを導入して,提案ノード構成によって有意なコスト削減効果が得られることを示す.その結果,波長変換のコストが光スイッチコストの20%程度であれば全体のコスト削減につながること,及び,ノード数がふえるほど,ノードコスト削減効果を得られることが分かった.40ノードネットワーク,波長多重数16,波長変換のコストがスイッチコストの10%という条件では,提案ノード構成は,波長群を導入しない場合よりも34%のコスト削減効果,波長変換を導入しない場合よりも10%のコスト削減効果が得られることが分かった.