著者
板東 敬子 五十嵐 順悦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.73-79, 2017-02-05 (Released:2017-03-22)
参考文献数
10

有機化合物中の硫黄及びハロゲン(フッ素,塩素,臭素及びヨウ素)分析において,あらかじめ燃焼装置内で硫黄及びハロゲンを含む有機化合物を燃焼分解し,ガス化された硫黄酸化物及びハロゲン化物を吸収液に通じて捕集して溶解・回収したのち,これをイオンクロマトグラフで定量する自動分析装置が開発されている.硫黄が共存する化合物中の臭素及びヨウ素の分析値については,異常値が得られることがこれまでに度々指摘されてきた.当該装置に著者らが開発した流通装置を接続して検討を行ったところ,許容誤差範囲内(計算値±0.3% 以内)の良好な分析値が得られることが判明し,5元素同時分析法を開発できたので報告する.
著者
田中 芳一 東 敬子 平田 孝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.457-462, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1

保存中の市販無菌調製豆乳の品質評価指標を設定するために,各種生菌数,官能検査,色調変化,pH,酸化還元電位(ORP),化学発光量,遊離アミノ酸含量等について検討した。工場で入手した製造直後の豆乳を5, 25,37℃の各温度区で0~2カ月保存し,各実験に供した。菌数測定の結果,微生物汚染は観察されなかった。官能検査では25℃2カ月保存のもの,37℃半月保存のものは明らかな変質(P<0.01)が認められた。色調変化として黄色から白色,または退色への移行傾向があった。pHは保存直後にわずかに酸性側に変化した。高温に保存したものはORPが低下し,また化学発光量が増加した。遊離アミノ酸の組成や含量は変化しなかったが,アンモニアの生成が観察された。アンモニア含量は保存温度,保存期間に高い相関性をもっており,アンモニアが豆乳の品質評価指標として有効であると思われた。
著者
田中 芳一 東 敬子 平田 孝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.463-466, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
18

市販の無菌調製豆乳を,5, 25, 37℃にて0~2ヵ月保存したときに生成される揮発性物質を,GC,およびGC-MSで分析した。その結果,アセトン,n-ペンタンを含む14種類の揮発性物質を検出し,同定した。このうち,アセトアルデヒド,アセトン,n-ペンタン,n-ヘキサナールは豆乳の保存温度,保存期間に高い相関性をもって増加していた。アセトンとn-ペンタンの増加は特に著しく,豆乳を37℃で2ヵ月保存するとアセトンは約15倍,n-ペンタンは約17倍に増加した。アセトンは揮発性物質中に占める量も多いので,この無菌豆乳の品質評価指標として有効であることを示唆していた。次に,アセトン,およびアンモニアを指標として無菌豆乳のシェルフライフについて検討した。
著者
東尾 久雄 一法師 克成 伊藤 秀和 東 敬子
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.303-307, 1997-11-30
被引用文献数
1

浅漬の賞味期限と密接な関係がある漬液白濁の起こり易さと原料野菜との関係を検討した。<BR>浅漬の漬液白濁の起こり易さは野菜の種類で異なった。キュウリの浅漬は他の野菜のものに比べて白濁が起こり難かったが, 接木による影響はなかった。漬液白濁が起こり易いハクサイにキュウリを同封したところ, いずれの量のキュウリ添加によっても, 漬液は白濁した。漬液中のカリウムイオン濃度は浅漬加工後の貯蔵中に増加したが, 野菜の種類で異なった。漬液中の全糖リンゴ酸含量は貯蔵中に一端増加した後減少したがその変化の程度は野菜の種類で異なった。アミノ酸含量もキャベツ・キュウリ・ナス浅漬で同様な変化が見られたが特にキャベツで大きく変化した。収穫及び水洗後のキュウリ・ナス・ダイコンに付着していた総生菌数グラム陰性菌, 真菌及び乳酸菌のいずれの菌数もキャベツに比べ少なかった。
著者
堀江 秀樹 伊藤 秀和 一法師 克成 東 敬子 五十嵐 勇
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.425-428, 2004 (Released:2008-03-15)
参考文献数
11
被引用文献数
7 13 3

キュウリの嗜好評価の上で,食感の評価が重要である.そこで,キュウリ果実の果肉部の肉質を評価する方法を提案した.本法では,キュウリ果肉部にプランジャーを貫入させ,プランジャーの先端が果肉中を移動する間の力の変化を記録した.プランジャー貫入中の力の変化を指標化し,CI(crispness index)とした.CIはプランジャーが果肉中を貫入する間にかかる力を2次微分し,その絶対値の和として計算した.CIはコリコリした食感のキュウリ果肉において高い値を示した.多くの果実の食感評価の指標として「硬さ(組織破断時の力)」が広く用いられてきたが,CIは「硬さ」とは異なる特性を表すものと考えられる.従来法による「硬さ」の測定ができれば,新たな装置を準備しなくともCIの測定が可能で,「硬さ」とCIを用いることにより,より精度の高いキュウリ果実の食感評価が可能になるものと期待される.