著者
渡邉- 東馬 加奈 大井- 東馬 哲雄
出版者
日本植物分類学会
雑誌
分類 (ISSN:13466852)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.131-151, 2016 (Released:2017-01-16)

日本に分布するオオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサ(別名: ホソバウマノスズクサ)の識別においては,葉形態に基づく混同がしばしば見受けられる.葉が心形であるものがオオバウマノスズクサ,三裂のものがアリマウマノスズクサと区別されることがある.しかし,これら2種それぞれに心形葉~三裂葉がみられ,種内のみならず個体内においても葉形態は変異に富み,またその変異は種間においても連続的である.一方,これら2種は花形態により明確に区別され,オオバウマノスズクサは舷部が黄緑色で広倒卵形,アリマウマノスズクサは舷部が濃紫褐色で倒三角形である.本調査では,オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサの分類学史を踏まえ,混同している状況を整理することで,これら2種の正しい識別形質を普及することを目的とする.
著者
内貴 章世 仲宗根 忠樹 大井・東馬 哲雄 米倉 浩司 阿部 篤志
出版者
The Editorial Board of The Journal of Japanese Botany
雑誌
植物研究雑誌 (ISSN:00222062)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.134-139, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
15

国内では沖縄県与那国島にのみ分布するヤエヤマハシカグサExallage auriculariaが約40年ぶりに再発見されたので報告する.近縁種を含めた分子系統解析を行ったところ,先行研究と同じく本種は単系統ではないことが示唆され,与那国のものはタイやフィジーに分布するものと近縁であることが示された.本種は形態が多型的で種内分類群が提唱されたことがあり,種内および近縁種との関係性を明らかにするためにはさらなる解析が必要である.
著者
邑田 仁 東馬 哲雄 田中 伸幸 秋山 弘之 林 蘇娟 米倉 浩司 菅原 敬 根本 智行 永益 英敏 遊川 知久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ミャンマーに延べ6回18人を派遣し合計5282点の標本資料を採集した。その他地域から補足的に収集した標本、および従前の「南ヒマラヤの植物多様性」調査で収集した標本資料等を合わせて分子系統解析を含めた系統分類学的解析を行い、新分類群を含む多数のミャンマー新産植物を発見した。このうち45新産植物、1新属、6新種はすでに論文等で公表した。この結果南ヒマラヤ地域の植物相は日華区系の西端としての特徴を示すと同時にインド区系の東端やインドシナ区系の北西端としての性格をもっていることが再確認され, 区系地理学的境界領域としてのより精度の高い解析の必要があることが明らかとなった。